第103回 脂肪燃焼率と脂肪燃焼量の大きな誤解!


第207回 脂肪燃焼 vs 消費カロリーというタイトルでアップデートして掲載いるのでご覧ください。

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ゆったりとした低強度の有酸素運動が、脂肪減少にはベストだと唱える人がいますが、これは都市伝説であり、とんでもない間違いです。

スポーツジムには、トレッドミル、楕円運動マシン、エアロバイク、クロストレーナーなどの有酸素運動系マシンが揃っており、それらのマシンには心拍数TVモニターが備えられています。私が通っているジムのマシンは、低強度(最大心拍数の60%)と高強度(最大心拍数の80%)の二通りの設定になっています。そして前者は「脂肪減少」、後者は「持久力アップ」として分類されています。実は、これが皆さんの誤解を生む大きな原因の一つでもあります。
運動強度に対する心拍数は標準偏差がありますが、このブログではポピュラーな丸めた数字で説明します。

Fat burning zone vs Cardio training zone
ファットバーニングゾーンすなわち脂肪燃焼ゾーンは、最大心拍数の60~70%の低強度運動で、このときのエネルギー消費としての脂肪燃焼率は大凡50%である。
カーディオトレーニングゾーンは、最大心拍数の70~85%の高強度運動で、心血管や呼吸器系を向上させ、脂肪燃焼率は大凡40%である。

このように低強度運動の方が、「脂肪燃焼率」が高いことは、紛れもない事実です。
しかし忘れてはいけないことは、第5回「効果絶大のダイエットコース」、第6回「運動中の消費カロリー」、或いはその他の随所で説明しましたが、時間が一定であれば運動強度の高い方が、消費エネルギー量が大きいと言うことです。

例えば、トレッドミルで30分間運動するとしたら、
ファットバーニングゾーンの場合、エネルギー消費量は100Kcal、従って、脂肪減少は100x脂肪燃焼率50%=50kcal相当となります。
カーディオトレーニングゾーンの場合、エネルギー消費量は180kcal、従って、脂肪減少は180x脂肪燃焼率40%=72kcal相当となります。

高強度運動の方が、“脂肪燃焼率”は低くても、“脂肪燃焼量”は大きいのです。
だから「木を見て森を見ず」となってはいけません!


上記は「低強度の脂肪燃焼率50%、高強度の脂肪燃焼率40%」に基づいて計算したものですが、その他の変数で計算した場合のレポートも多々ありますが、いずれも「時間が一定なら、高強度運動の方が、脂肪燃焼量が大きい」ことを裏付けています。

<豆知識>

最大心拍数Karvonen formula(カルボーネン法)
30歳の男or女で、安静時心拍数65/分の場合
220-30(歳)=190
190-65(安静時心拍数)=125
125x60~70%(低強度)=75~88
125x70~85%(高強度)=88~106
故に、運動時の適切な心拍数は、
Fat burning zone: 65(安静時心拍数)+75~88=140~153
Cardio training zone: 65(安静時心拍数)+88~106=153~171
・・・ということになります。

最大心拍数と最大酸素摂取量の関係は御存じですか?
酸素摂取量VO2 =(1回拍出量)×(心拍数HR)×(動静脈血酸素較差)という関係があり、最大心拍数(MHR)の約60%以下の運動では、心拍数と1回拍出量は運動強度の上昇に比例して上昇しますが、約60%MHR以上に運動強度が上昇しても1回拍出量は上昇しなくなります。従って、約60%MHR以上最大値近くまでは心拍数と酸素摂取量との間には直線関係が成立します。
最大心拍数MHRの約60%強度以上の場合の、%MHR⇔%VO2max換算式です(ACSM方式)は次の通りです。
%MHR = 0.64×%VO2max+37

具体的に計算すると、

(1)Fat burning zone
最大心拍数MHRの60%=36%VO2max
最大心拍数MHRの70%=52%VO2max

(2)Cardio training zone
最大心拍数MHRの70%=52%VO2max
最大心拍数MHRの85%=75%VO2max

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