慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科・坂田真一氏に聞く

--鹿児島へ来られた目的は?
大学院では商店街の活性化を図るための研究をしています。各地をまわってみて鹿児島の天文館は、非常に元気があるなあと。その秘密をさぐりに来ました。
調査資料に目を通す坂田氏
--鹿児島へ来られた目的は?
大学院では商店街の活性化を図るための研究をしています。各地をまわってみて鹿児島の天文館は、非常に元気があるなあと。その秘密をさぐりに来ました。
調査資料に目を通す坂田氏
--天文館の注目すべき点にどのようなことがあげられますか?
各地の中心的な商店街は、メインの駅、たとえば鹿児島なら中央駅ですね、を核にしてひろがっているという傾向があります。ところが、天文館は駅から離れたところにある。しかし、にぎわっているというのが特徴じゃないでしょうか。
さらに、天文館の主要な通りをつなぐように、アーケードが設置されている。雨の日でも安心して楽しめるというのも大きなメリットじゃないでしょうか。アーケードについては、鹿児島は桜島の降灰を防ぐというのも大きな理由だと聞きましたが、それにしても全国でも屈指のアーケード街だと思います。
それから通り会がしっかり機能していること。すべての加盟店があらゆる活動に積極的に参加しているとは思えませんが、キーになる加盟店、リーダーがしっかりして全体を引っ張っていく構図がはっきりしている。それは強いんじゃないでしょうか。
--九州新幹線の影響は?
明確な調査をしたわけではありませんが、たとえば長崎、佐賀あたりでは、「ライバルは天神(福岡市の繁華街)」とはっきり意識しているわけです。若者はみんな天神に行く、と。天神あたりで聞くと、鹿児島あたりからも若い人が来るといいます。新幹線が一部開通して2時間近く早く着けるようになった。これは大きいと思います。将来全線開通したときは、天文館にとってやはり天神は大きな脅威になると。
--そのときのために、顧客の流出を防ぐ効果的な方策を今から考えなければならないと。
そうですね、幸い、天文館のある通り会のリーダーの方々と話をしたところ、強い危機感を持っておられるなと感じました。そういう方がおられるということは、心強いと思います。しかし、商店街が一体となってきちんと取り組まなければ、いい結果は生まれないと思います。
--そういう先例はありますか?
はい、現在京都で取り組まれている「KICS(京都情報カードシステム)」は注目に値すると思います。
これは、今から10年以上前に、クレジットカードの一括処理を目的として8商店街380店舗で発足したのですが、現在までに、商店街、同業種組合も含め44組合1300加盟店を持っています。私の知るかぎりでは、中小商業者で構成された地域情報化団体としては、日本最大規模だと思います。
最大の強みは、加盟店では顧客があらゆるカードを使え、その決済を個々の加盟店がするのではなく、KICSが窓口となり一括・一体化して行うことと、デリバリーを一体化したということではないでしょうか。顧客にとっても、加盟店にとっても、非常に便利なシステムです。
--同じようなシステムが天文館で可能でしょうか?
それは今の時点で何とも言えません。実際に通り会の方々と話をしていると、「京都とはまったく事情がちがう」「地域性がちがう」といった声も聞かれました。私も、京都のシステムがいいですよと、おすすめしているわけではありません。ひとつの先例として学ぶべきもの、研究すべきものはあるのじゃないか、そんなふうに考えています。
--天文館の今後に言えることは?
やはり独自性をどう発揮していくかということではないでしょうか。同一商圏内にアミュプラザ、ドルフィンポートと次々に新しい商業施設がオープンしましたが、天文館のにぎわいは後退するどころか、かえって前進しているとも聞きます。まずその要因を検証し、顧客にとっての天文館の受け止め方を精査し、独自性の発揮につなげていくべきだと思います。
各地の中心的な商店街は、メインの駅、たとえば鹿児島なら中央駅ですね、を核にしてひろがっているという傾向があります。ところが、天文館は駅から離れたところにある。しかし、にぎわっているというのが特徴じゃないでしょうか。
さらに、天文館の主要な通りをつなぐように、アーケードが設置されている。雨の日でも安心して楽しめるというのも大きなメリットじゃないでしょうか。アーケードについては、鹿児島は桜島の降灰を防ぐというのも大きな理由だと聞きましたが、それにしても全国でも屈指のアーケード街だと思います。
それから通り会がしっかり機能していること。すべての加盟店があらゆる活動に積極的に参加しているとは思えませんが、キーになる加盟店、リーダーがしっかりして全体を引っ張っていく構図がはっきりしている。それは強いんじゃないでしょうか。
--九州新幹線の影響は?
明確な調査をしたわけではありませんが、たとえば長崎、佐賀あたりでは、「ライバルは天神(福岡市の繁華街)」とはっきり意識しているわけです。若者はみんな天神に行く、と。天神あたりで聞くと、鹿児島あたりからも若い人が来るといいます。新幹線が一部開通して2時間近く早く着けるようになった。これは大きいと思います。将来全線開通したときは、天文館にとってやはり天神は大きな脅威になると。
--そのときのために、顧客の流出を防ぐ効果的な方策を今から考えなければならないと。
そうですね、幸い、天文館のある通り会のリーダーの方々と話をしたところ、強い危機感を持っておられるなと感じました。そういう方がおられるということは、心強いと思います。しかし、商店街が一体となってきちんと取り組まなければ、いい結果は生まれないと思います。
--そういう先例はありますか?
はい、現在京都で取り組まれている「KICS(京都情報カードシステム)」は注目に値すると思います。
これは、今から10年以上前に、クレジットカードの一括処理を目的として8商店街380店舗で発足したのですが、現在までに、商店街、同業種組合も含め44組合1300加盟店を持っています。私の知るかぎりでは、中小商業者で構成された地域情報化団体としては、日本最大規模だと思います。
最大の強みは、加盟店では顧客があらゆるカードを使え、その決済を個々の加盟店がするのではなく、KICSが窓口となり一括・一体化して行うことと、デリバリーを一体化したということではないでしょうか。顧客にとっても、加盟店にとっても、非常に便利なシステムです。
--同じようなシステムが天文館で可能でしょうか?
それは今の時点で何とも言えません。実際に通り会の方々と話をしていると、「京都とはまったく事情がちがう」「地域性がちがう」といった声も聞かれました。私も、京都のシステムがいいですよと、おすすめしているわけではありません。ひとつの先例として学ぶべきもの、研究すべきものはあるのじゃないか、そんなふうに考えています。
--天文館の今後に言えることは?
やはり独自性をどう発揮していくかということではないでしょうか。同一商圏内にアミュプラザ、ドルフィンポートと次々に新しい商業施設がオープンしましたが、天文館のにぎわいは後退するどころか、かえって前進しているとも聞きます。まずその要因を検証し、顧客にとっての天文館の受け止め方を精査し、独自性の発揮につなげていくべきだと思います。