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 平和への思いを詠んだ短歌コンクール「八月の歌」の表彰式が11日に岐阜県高山市である。記念講演には広島市出身の映画監督、西川美和さん(45)が登壇する。講演を前に、被爆地に生まれながら「敬遠してきた」という平和についての思いを聞いた。

 数多くの映画を手がける西川さんだが、戦争や平和、原爆をテーマにした作品はない。進学した東京で、同級生の会話に「こうなったら戦争だ」とか「原爆落とすぞ」といった言葉が平気で出てきた。幼い頃から原爆のことを聞かされてきた西川さんにとって「やっぱりあり得なかった」。広島で生まれ育った者と、そうではない者との違いに驚いたという。

 一方で、戦争を目の当たりにしていない世代として、平和というテーマを避けてきた。「実際に目にした世代がいる以上、戦争を描くことには勇気がいる」と考える。広島や長崎の人たちだけが語り部となって語り継いでいくべき、との考えにも違和感を感じる。「使命のようなものを背負わせたがる圧力を感じてきた」

 西川さんは作家として、旧日本…

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