良書です。 こんな本が読みたかった。 日本統治下で生きた方々へのインタビュー集。 ただこれは原本が英語です。 インタビュー対象が在米韓国人(1910年代~1930年代生まれ 51名)です。 朝鮮半島で生まれ日本の統治下で暮らし、その後アメリカに移民した方の話です。 先に読んだ「朝鮮総督府の警察官僚の回想紀」では 現地人との接触話が全くなかった。(京城帝国大学時代の同級生は除く) エリート官僚だったから、朝鮮人庶民と接することがなかったのでしょう。 そういう意味で、支配された側の、普通の人々の個人史は大変興味深かったです。 インタビューされる人が全員後年にアメリカに移住した、比較的裕福な人たちだとしても 朝鮮八道を網羅する出身地の方が日本の統治下でどのように暮らしていたかを 項目ごとに語ります。 一人の人のインタビューを全部まとめて編集していないので、 構成上あれっ同じ人?と思うことがありますが、まあ大丈夫。 一つ一つの記述が目に浮かぶようです。 行ったことがない平安南道、ハムギョン道、黄海道…。 いつか行けるようになるかな。 結構長距離移動してる人がいる。職を探して、あるいは刑事から逃げるため…。 原書が英語だからか、英→日の翻訳文だからか、文章が淡々としています。 それとも、日本や韓国から遠く離れた、アメリカという土地だからこそ 過去を客観的に語ることができるのかもしれません。 『黒い傘の下で 日本植民地に生きた韓国人の声』ヒルディ・カン著 桑畑優香訳(2006年) https://www.amazon.co.jp/%E9%BB%92%E3%81%84%E5%82%98%E3%81%AE%E4%B8%8B%E3%81%A7-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%A4%8D%E6%B0%91%E5%9C%B0%E3%81%AB%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%81%9F%E9%9F%93%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E3%81%AE%E5%A3%B0-%E3%83%92%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3-%E3%82%AB%E3%83%B3/dp/4860201892 p、114 「あるものはこの機に乗じて浮かび上がった。 彼らはおそらくどんな状況になってもそうしただろう。 能力のある朝鮮人が、この植民地で、ほかにいったいどうすることができたというのだ? せっかくのチャンスを棒に振るか、徹底的に抵抗し、あげくの果てに、投獄されるか殺されるか。 あるいは、日本に加担するか、道は限られていた。」(B・カミングス) p、192 「日本の支配下にあった時代、私たちのように抵抗せずに ただ従っていた朝鮮人がどんなに多かったことでしょう。 多くの人は、自らの意思ではなく、ほかに選択肢がないために従っていたのです。」 抵抗した人は死んでしまったから後日インタビューに答えることはできませんね。 あるいは独立運動してた人は、北で幹部になったそうです。 あるいは以前読んだ総督府元警察官僚(日本人)の話では、 戦後、韓国の代表者が独立運動をしていた人だったので、 「取締の対象だった者と交渉するなんてやってられん」と、 外務省(朝鮮担当)の仕事を辞めさせてもらった、という面白い記述が手記にありました。 私ならどうしたかな…。 いくらインフラを整えてくれても、 やっぱり他民族に支配されるのは嫌だと思います。私ならね。 でも怖いから、従っていただろうな。 そして支配が長期化すると慣れてしまって(諦めてしまって) 人生が有利な条件になるよう行動したかもしれない。 ちょうどここに出てくる大勢の方と同じように。 最初は独立運動に賛同してるけど、1919年に多くの人が殺されたし その後は警戒しますよね。 この本を読んで、どう解釈するかは自由です。 それでも、日本はいいこともしたーって言う人もいるでしょう。 そこからは考え方の違いになると思います。 誰かがああだこうだ書いてる本を読むより 当事者のインタビュー本を読むほうが遥かに有用です。 誤解を避けるために付け加えると、、 著者(アメリカ人女性)は、夫(在米韓国人)のお父さんが 楽しそうに子供時代の話をするのが不思議で(植民地の残虐なイメージとは違い) 本にまとめたのだそうです。なのでこの本は日本への告発本ではないんです。 教育に情熱を傾けていた日本人の先生も、 拘置所で思想犯に一目置いてくれてた日本人職員も、 職務に忠実だった総督府のエリート警察官も、 みんな時代の中で一生懸命生きた人たちだと思います。 あす川西中央図書館に返却しますので 是非、読んでください。 『黒い傘の下で 日本植民地に生きた韓国人の声』ヒルディ・カン著 桑畑優香 訳 ブルース・インターアクションズ 発行 2006 こんな良い本が大手出版社でないというのも、なんか間違ってます。。。 あとタイトルが良くないかな。黒い傘は要らないんじゃないかと。 |
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最近の韓国は国交樹立後の50年の協力関係は忘れたかように
100年前の怨念を中心に動いています。
2019/3/17(日) 午後 2:38 [ タシボギ ] 返信する