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【高校野球】

“日本一”の足で決勝点! 作新、3年ぶり頂点へ「満点快盗」

2019年8月12日 紙面から

作新学院-筑陽学園 10回表作新学院無死一塁、打者松尾のとき二盗成功する福田

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◇全国高校野球選手権<第6日> 作新学院5-3筑陽学園

 3年ぶりの全国制覇を目指す作新学院(栃木)は延長10回、5-3で筑陽学園(福岡)を破り、初戦となった2回戦を突破した。勝負を決めたのは走塁。10回先頭の福田真夢(まなむ)外野手(3年)が左前打で出て二盗し、さらにヒットエンドラン空振りで三塁へ進み(記録は三盗)、1死後に中島の安打で決勝ホームを踏んだ。3回戦は、岡山学芸館と対戦する。 

 甲子園の土で汚れたユニホームが殊勲の証しだった。作新学院の決勝点をもぎとったのは、福田の足。無死から左前打で出て、二盗、三盗でチャンスをつくった10回1死三塁。足を警戒して極端に浅かった前進守備の二塁手の足元を抜く中島の中前打で生還した。

 「二盗は自分の判断。2度出塁していたので、ピッチャー(の動き)は分かっていた。三塁に進んだのはエンドラン。バッターが空振りしたが、走った以上はセーフにならないといけない」。ヘッドスライディングで土だらけの胸を張った。

 “日本一”の足だ。小さな頃は陸上の競技会にもかりだされ、宇都宮市立城東小6年のときに、全国大会の走り幅跳びで優勝した。宇都宮シニアでプレーした旭中でも陸上部に所属。作新学院では、毎日の練習でスタート勘を磨き、実戦で観察眼を養い、50メートル6秒0の足を大きな武器にした。栃木大会では下位も打っていたが、甲子園から1番に抜てきされ、1回に先制点につながる中前打、3回には二盗を決めて2点目の生還。筑陽学園のエース西舘のけん制の動き、走るタイミングはつかんでいた。

 2016年に今井達也投手(西武)を擁して全国制覇したが、その翌年からは2年連続で初戦敗退。ことしのチームは秋も春も結果が出せず、小針崇宏監督(36)は春の県大会後にカンフル剤を打った。3年生全員をグラウンドから締め出し「1、2年生でやれ」と命じた。3年生はグラウンド周辺の清掃や草むしり。下級生は必死になった。3週間後に頭を冷やした3年生が戻ったときにはチームは底上げされていた。

 掲げてきた「守備と走塁で勝つ野球」の真骨頂を発揮して初戦を突破。3年ぶりに甲子園で勝利の校歌。福田は「甲子園で流れる作新の校歌は気持ち良かった。次の試合はもう始まっている」と気を引き締めた。どんなことでも真の夢を追い求めてほしいとの願いがこめられた真夢(まなむ)という名前のように福田が甲子園優勝を目指す。 (小原栄二)

 

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