歌手になるため。
と、彼女は言った…。
――――
「歌手に、なりたいんでしょう?」
「なりたいです!なりたいけどっ…」
少女の前で笑う女の人。
少女が出した飲み物には一切手をつけない。勿論、お菓子にも。
「それなら、あたしは貴方を歌手にしに来たの」
「でも…私、家を離れるわけには」
少女は、女の人と目を合わせることが出来なかった。
美人で、スタイルもいい。おまけにさっきからの口調は割と明るく、優しい。完璧な女性だ。
それに、自分の夢。「歌手」にしにきた。というもんだ。
普通に考えて、受け入れてしまう。-はずだ。
だけど、少女はそうはいかなかった。
どうも、女性の言ってることが気に入らない。というより、分からない。
「無理です!私にそんなところ…」
「大丈夫。心配しなくても、生活はこっちが援助するから」
テーブルの上を見ると、一枚の紙。
『ミュージックストーリー歌空 会長 西山茉希』
そう書かれていた。
「…あたしは、貴方にチャンスを与えてるのよ…。メロディーちゃん。
プロの歌手になる、チャンスをね…」
茉希は笑った。
その少女…メロディーの顔を見て。
メロディーの頭に、たくさんの思いがうかぶ。
ごくっと、唾を飲んだ。
メロディーは、覚悟を決めた。
それを宣言するように、言う。
「分かりました!私、歌空を目指します」