負けた。今季最多タイ3失点。10戦勝ちなしだったどん底の名古屋に、川崎はあっけなく白星を譲った。攻撃志向のチームが開始から守勢に回り、鬼木監督は「受けに回った。それが一番の敗因」と厳しい表情だった。
試合前に想定外のアクシデントが発生した。5試合ぶりの復帰戦に臨むはずだったMF大島がふくらはぎに違和感を訴え、急きょ先発から外れた。攻撃の組み立て役を失い、パスワークが自慢のチームはノッキングを繰り返した。球を前に運ぶことさえままならない。不安定な試合運びが隙となり、致命傷となった。
前半11分、左CKのこぼれ球から先制点を許すと、その7分後には中谷、シャビエルと中央をつながれ、和泉に沈められた。指揮官は「動揺があった」と言えば、史上10人目のJ1通算450試合出場を飾れなかった中村は「混乱した。攻守で用意してきたものを出せなかった」と唇をかんだ。
首位・FC東京を猛追するはずが勝ち点9差。夏場に3戦未勝利と急停止を余儀なくされ、中村は「それでも自分たちがファイティングポーズを取れるかどうか」と言った。史上2クラブ目のリーグ3連覇へ向け、川崎が正念場を迎えた。 (松岡祐司)