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2019年8月11日 紙面から
DeNA-中日 先発し、5イニング0/32失点だった小笠原=横浜スタジアムで(中嶋大撮影)
前回登板から1年がかりで竜党期待の左腕が帰ってきた。左肘と左肩の故障で今季初登板となった中日の小笠原慎之介投手(21)が10日、DeNA戦(横浜)に先発。5イニング0/3を2失点(自責点1)に抑えた。終盤に救援陣が打ち込まれて今季10度目のサヨナラ負けを喫し、復帰戦を勝利で飾ることはできなかったが、試練の夏場に心強い男が戻ってきた。
止まっていた時計の針が再び動き始めた。神奈川・東海大相模高時代に何度も戦ったハマスタで背番号11が腕を振る。最後の登板となった昨年8月11日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)から364日。小笠原が1軍の舞台に帰ってきた。
毎回のように走者を許すが、決定打は許さない。プロ入り後最速となる151キロを計測した直球を軸に粘り強く投げた。「逃げないように」。女房役の武山と確認した通り強気に打者の懐を攻める。打撃でも5回2死から中前打を放つと遠藤の適時打で一気に本塁へ。足から滑り込み、ユニホームを泥まみれにしながら3点目をもぎ取った。
疲れが見えた6回に伊藤裕に一発を浴び交代。5イニング0/3を6安打2四球2失点(自責点1)で後続につないだ。だが試合後、口を突いたのは反省の弁。「全てにおいて全然ダメ。試合をつくっても負けたら意味ないので」と厳しい表情。勝負の夏場に呼ばれた意味を4年目の21歳は分かっている。それだけに敗戦の事実を受け止めた。
今季初登板まで長い道のりだった。昨季は球団史上最年少で開幕投手。順調なスタートを切ったはずだった。開幕から約1カ月が過ぎたころ、左肩に痛みが走った。痛みの影響で自慢の直球が140キロを下回る試合もあった。だが「開幕投手はチームの顔。離脱するわけにはいかない」と腕を振り続けた。
大役を任されたときに決めた覚悟。だが代償も大きかった。肩をかばううちに左肘も痛め離脱。9月にはメスを入れた。リハビリも順調には進まない。1歩進めばすぐに後退する状況。「肩肘をかばって怖がってるのかもしれないですね…」。出口が見えなかった。
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