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【社会】

津田氏招くシンポ中止 神戸市など主催 「過剰対応」批判も

 神戸市の外郭団体「神戸市民文化振興財団」は九日、ジャーナリストの津田大介氏を招いて十八日に開く予定だった現代アートのシンポジウムを中止すると発表した。津田氏が芸術監督を務める愛知県の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が中止になってからシンポへの抗議が相次いでいた。

 シンポは企画展とは関係がなく、神戸市側の過剰ともいえる対応に表現や言論の自由を守る観点から批判の声も上がっている。

 財団は「津田氏が登壇すると愛知の問題ばかりが注目される。公金を使うイベントの目的が達成できない」と説明。抗議を受けたことが理由ではないとしている。関係者を通じて津田氏の了解を得たという。

 津田氏は九日、「(抗議の殺到を)申し訳なく思う。行政が行う文化事業の在り方が危機にひんしており、オープンな場で表現の自由や芸術イベントの在り方を話せなくなり大変遺憾」とのコメントを発表した。

 シンポは神戸市や外郭団体による実行委員会が主催し、九月から市内で開催される芸術イベントをPRするために企画。津田氏や芸術家ら計三人が「アートは異物を受け入れるのか」をテーマに議論する予定だった。

 市などにあった抗議や問い合わせは八日までに約百件。「津田氏はふさわしくない」といった内容や「予定通りやってほしい」との要望もあった。

 自民党の上畠寛弘市議らは八日に財団側へ登壇者の見直しを要請。上畠氏はツイッターに「神戸の芸術祭が津田氏のプロパガンダにならないよう申し入れました」と投稿した。一方、共産党の市議団は九日、市に「統制ではなく表現の自由を守る立場で毅然(きぜん)と対応すべきだ」としてシンポ中止の撤回を申し入れた。

 

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