東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 8月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

<つなぐ 戦後74年>長崎原爆の日 核廃絶に力を貸してください

長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典で放たれたハト=9日午前、長崎市の平和公園で

写真

 長崎は九日、被爆から七十四年を迎えた。長崎市松山町の平和公園で令和最初の「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」が営まれ、田上富久市長は平和宣言で、核廃絶の実現へ「声を上げよう」と市民社会に連帯を促した。さらに「日本は核兵器禁止条約に背を向けている」と批判。一刻も早く署名し批准するよう、政府に強く求めた。

 安倍晋三首相はあいさつで、核なき世界実現への努力を続けることは「わが国の使命」と述べた。ただ、核禁止条約には触れなかった。広島市の松井一実市長も、六日の宣言で田上氏と同様の条約参加要求をしており、被爆地との隔たりが改めて鮮明となった。

 平和宣言で田上氏は、十七歳の時に長崎で被爆した山口カズ子さん(91)の詩を冒頭で紹介。「核がもたらす生き地獄を繰り返してはならない」という被爆者の思いを代弁し、長崎を最後の被爆地にするとの強い決意を示した。

 核超大国の米国とロシアが核の近代化を推し進める中、核廃絶に向けた人類の努力が次々と破壊され「核兵器が使われる危険性が高まっている」と懸念を表明。核兵器を大幅に削減する具体的道筋を示すよう、両国に要求した。

 語り部活動を続けてきた長崎市の山脇佳朗さん(85)は、被爆者を代表して「平和への誓い」を朗読。首相に「米国に追従することなく、核廃絶の毅然(きぜん)とした態度を示して」と迫った。

 会場には約五千二百人が参列。原爆投下時刻の午前十一時二分、黙とうをささげた。核保有国を含む六十六カ国のほか、国連や欧州連合(EU)の代表者らも出席した。長崎市が七月末までの一年間で新たに死亡を確認した被爆者数は、国が定める地域外で原爆に遭った「被爆体験者」を含め、計三千四百二人。原爆死没者名簿への記載総数は計十八万二千六百一人となった。

◆Please lend us your strength 「平和への誓い」山脇佳朗さん

 Please lend us your strength to eliminate nuclear weapons from the face of the earth and make  sure  that  Nagasaki  is the last place on Earth to suffer an atomic bombing.

 Thank you.

  2019年8月9日 被爆者代表 山脇佳朗

 【長崎市提供の訳】 

 この世界から核兵器を廃絶し、長崎を最後の被爆地とするために皆さんの力を貸してください。ありがとうございました。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】