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(雪次郎)俺の考えた新しいお菓子です。
これが俺の新しい魂です!
(なつ)へえ~。 おいしそう…。
これ バター煎□? 何か挟んであるの?
そう! その挟んであるものが肝心なんだ。何だと思う?
(夕見子)もったいぶらずに早く言いなさいよ。
バターと あんこだ。
(一同)ええっ?バターに あんこを混ぜ合わせてみた。
(一同)なして?題して…。
何だと思う?
そこまで もったいぶんのかい!
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
題して… おバタ餡サンド。
おバタは うちの名字の小畑とバターをかけてあるからおバタのバタは カタカナで おバタ。
それに あんこの餡。
それを挟んであるから サンドでおバタ餡サンド。
どう?(雪之助)なるほど 小畑餡。
雪月独自のあんこってことか。うん そう! したから…。
(2人)おバタ餡サンド!
(とよ)今んところ感心してんのは父親だけだね。
(妙子)何か オバサンって聞こえるわね。
よかったら食べてみて。さあ。
(天陽)喜んで頂くわ。私も 喜んで頂きます。
(坂場)頂きます。(門倉)よし 食ってやる。
(良子)楽しみだわ。
(雪次郎)倉田先生も。(倉田)よし 分かった。
ほら 夕見子ちゃんも。
わざわざ こったらことで呼ばなくても…。
(一同)うん!
うまい!おいしい!だべ!
本当?正直に言っていいからね。
本当においしいわ これ!
いろんなものを挟んで試してみたんだけど最終的にはこのブッセ生地と おやじのバター煎
□ビスケットがいいと思って。
ビスケットは 時間がたつと生地が戻るから それも面白いかなって。
なるほどな。
バター煎□が やわらかくなるんだね。そう。
夕見子ちゃん どう?
ん? うん… 大したもんだわ。
結局 あんたにはお菓子屋が合ってたんだね。
おいしいわ。
そうかい? やった~!
これこそ 奥原や天陽にも負けないお前の魂だな。
はい 先生。 ありがとうございます。おやじ おふくろ ばあちゃんも どうぞ。
どれ。どんなかね。
おいしい! 本当おいしいわ 雪次郎。
いかった。 ばあちゃんは?
うん いんでないかい。あんこの風味で バタ臭くないしね煎□も やわらかくなってきて年寄
りにもいけるよ これなら!
そうかい。
おやじは?
こしあんも試したのかい?
(雪次郎)こしあんはバタークリームと なじみ過ぎるんだわ。
粒あんが6 バタークリームが4くらいの割合がちょうどよかった。それに 一番相性がよかっ
た焼き塩を 隠し味に使ったんだわ。
初めて… お前に先越されたわ。
したら これ 雪月で売っていいのかい?
うん。 売らなきゃ そのうち誰かに作られちまうべや ハハハハ…。
よし!
やったね 雪次郎君!うん… これで もう やっと一人前だ。
それは まだ早い。
(笑い声)
夕見子ちゃんおバタ餡サンドのバターは今度 夕見子ちゃんの工場で作るバターを使うつも
りだ。うん。 そうして。
夕見子ちゃんの作るバターが十勝の 雪月の菓子になるってことだ夕見子ちゃん。
そったらこと 言わなくても分かるって。
夕見子ちゃんの作るバターと十勝の菓子がくっつくんだわ。
は?
これは もう 夕見子ちゃんと十勝の菓子屋が くっつくのと同じだべ。
夕見子ちゃんと雪月が結ばれる運命だと言っても過言ではねえべさ。
過言すぎて 意味分かんないわ!
したら 分かるように言うべ…。
夕見子ちゃん 俺と結婚してくれ。
えっ!
俺と結婚して下さい!
雪次郎君…。雪次郎…。
お前… 何を言いだすの?
血迷ったかい?
俺は ずっと この日を待ってたんだわ。夕見子ちゃんに そう言える日を…。
今日 みんなに集まってもらったのもそのためだ。
なして みんなを集めなきゃいけないの。
十勝の男は 昔から人前で プロポーズするのが習わしだ。
それは あんただけだべさ!
雪次郎 よく言った!
みんなの前でフラれてもすぐに諦めがつくからな…。
あんたは 私を諦めなかったべさ。バカ やめろ お前…。
夕見子ちゃん…夕見子ちゃんは 夕見子ちゃんらしくはっきり答えてくれ。
知らんわ そったらこと…。
夕見 待って!
こうなったら逃げるわけにはいかないべさ!
私でいいのかい…。えっ?
本当に… 私でいいのかって聞いてんの!
おじさん おばさん とよばあちゃん…私は 雪次郎君と結婚するようなそったら資格は な
いかもしれないのさ。
資格? そったらこと あるわけねえべさ。
そったらこと あるわけないべさ!
東京に駆け落ちしたって話かい?
私は あれを聞いて夕見子ちゃんを見直したね。もしかしてそったらこと気にしてんのかい?
したら 俺にも そんな資格はねえ。
結婚に必要なものは 資格ではない。
覚悟だ。
夕見には その覚悟があるの?
俺にはある!
結婚しても夕見子ちゃんのしたいことすればいいべさ。
うちの家族の前で それを約束する。
俺は夕見子ちゃんが好きだ。
昔っからだ。
今は もっと好きだ。
私は もし 結婚するとしたらあんたしかいないと思ってた。
えっ… いつ… いつから?
いつって…いつの間にか そう思ってたわ。
本当かい?本当かい 夕見子ちゃん? やった!
なっちゃん やったわ!
うん… 雪次郎君 夕見 おめでとう!
(拍手)
雪次郎…。雪次郎 おめでとう!
こっぱずかしいわ!そりゃ そうだな。
お前が言うなよ。(笑い声)
一つだけ問題があるわ。(雪次郎)何だ? ばあちゃん。
あの柴田のじいさんと親戚になるってことよ。
ああ…。ああ…。
君のおじいさんと仲が悪いの?
性格が ぴったり似過ぎてるだけ。
お嬢さんを 僕に下さい!
(富士子)ええっ!(砂良)これは 本当にびっくりするわね。
こったら短い間に 2度もあんのかいこんなことが。
えっ?
(剛男)これは偶然なのか?偶然みたい。
夕見子 お前 いつの間に雪次郎君と…?
自分でも分かんない。はあ?
いつの間にかそういう覚悟はできてたみたい。
覚悟? 何言ってんだ?
夕見らしいしょ。
雪次郎君でいいの?
え… えっ?(富士子)あ いや 変な意味でないの誤解しないでね。ああ…。
雪次郎君のことを 本気で好きなのか結婚のことを真剣に考えてるのかってこと。
そったらこと結婚してみなくちゃ分からないしょ。
はあ?(雪次郎)いいんです!
こういう夕見子ちゃんと結婚したいんです。
変わってるね 雪次郎君も。
(明美)昔から合ってると思ってたよ 私は。
確かに 夕見ちゃんに合う人はそうそう いないかもね。
まるで 本当に バターとあんこだわ。
みんな 私を何だと思ってんの?
分かった。したら 反対する理由はないべさ。
父さんにもないよ。夕見子と雪次郎君が それでいいなら。
ありがとうございます!
待って。 じいちゃんは?
(泰樹)うまいな これ。
やった!問題ないみたい。
一つだけ問題がある。
雪月のばあさんと 親戚になることじゃ。
すごい 見事に。ぴったりでしょ?
ん?あっ いや…。
したら 夕見子にも なつにもいっぺんに 春が来たってことかい。
我が家に 春が来たってことさ。
タンポポが咲いたってことだよ。
おめでとう 夕見子。
何 急に てれてんのさ。
それじゃ いっぺんにやりませんか?北海道で。
えっ?えっ?
結婚式を 同じ時期にこの十勝で挙げるんです。
そんなこと… まだ イッキュウさんの家族にもお会いしてないのに。
大丈夫。僕の家族も きっと喜んでくれます。
そんなことができたら うれしいけどね。
うん。 2組いっぺんにか…。
よし そうしよう!
その方が めんどくさくないし恥ずかしくない!
夕見 その理由が恥ずかしいべさ!
えっ? 何で恥ずかしいのさ。
さあ 皆さんも食べて下さい。
ああ。頂きます。
おバタ餡サンドです。
私から まだ これを言っていなかったな。
夕見子ちゃんよ なつよ おめでとう。