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2019-08-08

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・書きはじめてはみたものの、書いている話が、 
 どういう展開になるのか、どう着地するのか、
 まったくわからないことがあります。
 「そんなの信じられない!」という人もいるでしょうが、
 ぼくにはあるのです、そんな例をこれからお見せします。

 さて、マンガ家になりたいと思ったぼくでしたが、
 さしたる努力もせず、はじめの一歩も踏み出さず、
 ただうやむやのうちに、マンガ家はあきらめたのでした。
 で、ふと、いまさら思ったのです。
 ぼくがもっと努力をして、研究したり修業したりして、
 相当の力量を身につけてマンガ家になったとしたら、
 水木しげる先生だとか浦沢直樹先生だとか、
 吉田戦車先生だとか和田ラヂヲ先生だとかと、
 「しょうばいがたき」になっていたということだぞ、と。
 いやいや、そんな方々と競争できるとしたら、
 それはもうオリンピックに出るようなクラスの話だから、
 それよりはずっと低いレベルのところで、
 苦労したり自己満足したりしながら生きてたんだろうな。
 …危なかったぜ! ほんとうのじぶんより40倍くらい
 才能があったり努力ができたりしていたら、
 もっとずっとキビシイ人生を送っていたにちがいない。

 野球なんて、もっともっと怖いよ。
 ぼくが、実際のじぶんより80万倍くらい才能があって、
 しかもまじめに練習もしていたら、もしかすると(!)
 プロ野球選手になっていたかもしれないじゃん。
 そしたら、ぼくがファンという立場でえらそうに
 「あいつがしっかりしないからどーのこーの」
 なんて言ってる、二軍と一軍の間くらいの選手に
 成長していたかもしれないわけですよ。
 もちろん実際の80万倍くらいうまくいったら、ですよ。
 最高にうまく行ってしまったら、大変だったですばい。
 小学校6年生くらいの早い時期に、
 野球の選手になる夢をあきらめてよかったですよ。

 宇宙飛行士の夢も早めにあきらめてよかったし、
 言いにくいけどビートルズになることも、あきらめた。
 夢をあきらめ、努力もせずに生きてきてどうでしょうか。
 結論的に言えば、ほんとに助かったよ、でした。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
なるようになった、というのは、けっこう幸せかもなぁ…。


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