「SE」と「SIer」は「どちらも同じくプログラミングを職業とする人を指す用語」と多くの方は誤解されているかもしれません。実は、似て非なるものである両者を、本記事では「SE」と「SIer」の違いから業務内容までまとめて解説します。
SEとは?SEの仕事内容
システムエンジニア(System Engineer)を略してSEと呼ばれています。”エンジニア”の名のとおり、SEの仕事内容はクライアントが欲しているシステムをかたちにする仕事となります。「システムをかたちに」といっても、具体的には次のような各工程を経てシステムを構築していきます。
- 要件定義 :
システムの範囲を決定。作る機能と作らない機能とを明確にします。 - 設計:
要件定義を元に、システムがどのような機能を提供するのかを決定し、また、インターフェイスを設計します。外部設計、内部設計などと分けることがあります。 - プログラミング:
別名、PG,製造とも呼ばれます。プログラミングの工程は外注することもあります。 - テスト:
別名、試験とも呼ばれます。分割して作成したプログラムが動くかどうかのテストをする単体テスト、分割して作成したプログラムを合体させたときに動くかどうかのテストをする結合テストなどがあります。 - 運用:
システムのバックアップやセキュリティーサポートなど、クライアントへ納品後の対応をします。 - 付帯作業:
導入手順書や運用手順書など、導入や運用に必要なドキュメントを作成します。
このような工程をとおして、クライアントが要望するシステムを具体化し、開発して運用まで対応する仕事がSEの役割です。
SIerとは?SIerの役割
SIerとは「システムインテグレーター(System Integrator)」で、日本では通常「エスアイアー」と呼ばれています。「SI企業」と表現されることがありますが、同義です。システムインテグレーターを直訳すると「システムを統合する人」という意味ですが、英語の意味のとおり、「SIer」はシステム構築から導入のすべてに責任を持つ「事業者」のことです。
SIerの仕事内容を工程に分割すると、おもに次の8つが挙げられます。
- 業務内容の分析:
まず、システム化するべき業務を分析します。業務の分析が不十分な場合、役に立たないシステムが出来上がってしまいます。 - 改善策提案などのコンサルティング:
多くのシステム開発を手掛けたSIerであれば、業務改善のノウハウが蓄積されています。これらのノウハウを生かして、クライアントに業務改善のコンサルタントを行います。 - システム設計:
SIerのメインの業務の1つと言える業務です。 - プログラム開発:
プログラム開発は下請けに位置するSIerに発注することが多い業務です。 - ハードウエアの選定・調達と設置
- OSやデータベースソフトウェアなどのミドルウェアの選定や調達
- システムの導入サポート業務:
クライアントがシステムを十分使いこなせるよう、導入計画策定・現場での操作サポートなどを行います。マニュアルの作成も含みます。 - 納品後のアフターサポート:
納品・導入したシステムの保守管理やトラブル対応などです。
SIer企業は、企業が求めるシステムの導入(運用に載せる)を担います。
SEとSIerの違い
前項をお読みになってすでにお気づきでしょう。「SE」は“個人”であり「SIer」は“法人”であるという点が、SEとSIerの違いです。SIerはシステム構築などを行う組織自体を指しますが、SEは個人・人材を指し、独立してSE業務を行う人を指します。SIer業界においては、SIerに雇われて働く人もSEと呼ばれます。SIer業界での業務において、SIerは法人としての場所で、そこで勤務している人がSEということになります。
ただし、SIerは会社規模やプロジェクトの規模により、業務内容が大きく異なります。よって、各SIerで勤務するSEの仕事内容も変化するのが一般的です。大規模プロジェクトの場合を考えてみると、大手SIerで働くSEは、業務分析やコンサルティング業務、下請発注した仕事の進捗管理やプロジェクト全体の運営などを行うことになります。
SEとSIerを取り巻く業界動向
自身の職種について語るとき「私はSIerです。」というのは誤りで、「私はSIerで働くSEです。」というのが正解ということになります。
また、自身の勤務先について語るときは、「当社はSEです。」というのは誤りで、「当社は多くのSE を抱えるSIerです。」というのが正解ということになりますね。
変化の激しいシステム開発の世界では、SEとSIerという用語が、実際の意味とは別の意味として使われて定着していることが多々あります。
SEとSIerを取り巻く全体像も見ておきましょう。
SIer業界とWeb系業界
「SIer」はシステムを導入する「事業者」の意味とは別に、「SI業界」などと、業界の区別を示す場合にも用いられます。「SI業界」としてのSIerは、銀行や政府機関など、自身でシステム開発の機能を持たない組織をクライアントに、BtoB(企業や行政との取引)をメインとして行う業界を指します。
一方、業界としてのSIerと対極として語られることが多いのが、「Web系業界」と呼ばれる業界です。Web系業界に属する企業を例として挙げると、Twitter や CookPad(クックパッド)、 メルカリといった、自社でWebサービスを作り、収益を出しているような企業です。
業界としてのSIerは、業務で作成するシステムの規模が大きく、業界で働くSEには大きな仕事に参画できるメリットがあります。
また、クライアント企業から1次請け、2次請けと上から下へと流れる労働集約型ビジネスから逃れられないのがデメリットとされています。
一方、Web系業界ではWeb系業界のSEが開発・運用するのは、自社サービスであるため、自己責任で導入まで自由に進行でき、最新技術を取り入れ易くなったり、無用なクライアントからの圧力が軽減されることがメリットとなります。
その一方、大規模プロジェクトに参画する機会は少ないことがデメリットといえます。
SEとSIerを取り巻く課題
「SE」と「SIer」という観点から、近年の傾向や課題を見てみましょう。
サービスの提供にあたり、それを実現するSEの存在は欠かせません。またSEにとっても、SIerで大きなシステムの構築や保守運用に関わる経験を積むことは成長の糧となります。
ただ、最近では、SE人材が慢性的に不足していることから、サービスが適切に提供されなかったり、また提供が遅延するといった影響が発生するようになりました。特に現在、人材不足が叫ばれているのがWeb系業界の開発に携わるSEです。
Web関連のシステムは、トレンドが目まぐるしく変わる上、多くの企業がIoT(Internet of Things、モノのインターネット)を自社の経営戦略の柱に位置付けたいと考えており、それを実現するのがWeb系業界のSEだからです。
多数の家庭内の機器と自社のサービスをインターネットに繋げ、インターネットを介した自社サービスを展開したいと各企業が考えています。SIer業界であってもWeb系業界であっても、Webにまつわるシステムを企画する場合、こうした課題や要望に対し、各システム開発企業は、解決方法や提案をクライアント企業に提供しなくてはなりません。
一方、Web系のSEの人員不足により、システムの具現化ができないというのが現状となっています。
まとめ
「SIer」といってもサービスを提供する組織・法人を指す場合も、業界を指す場合もあり、またそこで働く「SE」の定義も曖昧なものとなっています。それだけ、技術の進化や変化は早く、用語の定義自体を定めることが難しいと言えます。
技術者を目指す方がするべきことは、「SIer」や「SE」など用語だけを見て判断するのではなく、業務内容や企業が提供するサービスについて、自身の目で調べ、職種や業務内容を自身で確認していくことと言えそうです。
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