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【大リーグ】

メジャーのシンデレラボーイ! スピードガンゲームで剛速球→契約

2019年8月8日 紙面から

◇AKI猪瀬コラム「MLBへの扉」

 すぐにでも映画化されそうな、23歳のシンデレラ・ボーイの実話が米国で注目を集めています。物語の主人公はネーサン・パターソン。高校時代まで野球をしていましたが、本人いわく「大学で野球を続けるだけの実力はなく、高校時代で野球人生は終わりました」

 しかし、時がたつにつれて再び野球への情熱が湧き上がり、自己流でトレーニングを開始。昨年8月にレンジャーズ傘下3Aナッシュビル戦を観戦した際、球場内に設置された「スピードガン・チャレンジ・ブース」で球速を計測したところ、最速96マイル(約154キロ)を計測しました。

 昨年12月に自動車事故に遭い、利き腕とは逆の左手首を骨折するアクシデントにも見舞われましたが、めげずにその後もトレーニングを続けた彼に契機が訪れたのは今年2月。剛速球を投げる無名の青年のうわさを聞きつけたアスレチックスのスカウトが接触。本格的なトレーニングメニューを伝授、また的確なアドバイスを送り続けるなどして、その成長を静かに見守りました。結果、パターソンの球速は常時150キロ以上を計測するまでになりました。

 7月15日。パターソンは兄と一緒に訪れたロッキーズの本拠地・クアーズフィールド内の「スピードガン・チャレンジ」に再び挑戦。ブースで投球する弟を兄がスマホで撮影し、その映像を自身のSNSに投稿。その動画には、最速96マイルを投げ込むパターソンの姿に「MLBの皆さん。剛速球を投げる弟と契約して」とのメッセージが添えられていました。

 投稿から2週間後に吉報が届き、パターソンはア軍の球団事務所でマイナー契約。「僕の無謀な挑戦を応援してくれた家族や関係者に感謝します。少年時代からのプロ野球選手になる夢がかないました。しかし、僕の挑戦は終わっていません。これから新しい夢物語が始まります。次の物語は、メジャーリーガーになることです」と喜びのコメントを出しました。

 パターソンが晴れて夢をかなえたときには、元マイナーリーガーで高校教師だったジム・モリスが家族と教え子に背中を押され、35歳でメジャーリーガーになった実話に基づく映画「オールド・ルーキー」のように映画化されるかもしれません。 (大リーグ・アナリスト)

 

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