東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 8月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

「不自由展」出展者ら再開求める 意見聞かず中止「暴力的やり方」

「表現の不自由展・その後」の展示中止について記者会見する出展者の中垣克久さん(中)ら=東京・永田町の衆院第2議員会館で

写真

 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が公開後に中止になった問題で、有識者らでつくる「表現の自由を市民の手に 全国ネットワーク」などが七日、東京都内で集会を開いた。「今回の事態は、日本が『表現の不自由な社会』であると改めて実証した」として、中止の撤回と展示の再開を求めるアピールを公表した。 

 アピールは「問われるべきは慰安婦問題へのヘイトクライムやガソリンテロという脅迫行為」と指摘。「本来、これらの脅迫から表現の自由を守るべき行政が、中止によって表現の自由への侵害を行った」とした。

 世話人代表で武蔵野美大の志田陽子教授(憲法学)は「表現の自由が大変な危険にさらされ、自粛や萎縮をしてしまう恐れが大変強い状態が起きている。看過できない」と指摘した。

 企画展は元慰安婦を象徴した「平和の少女像」などを一日から展示したが、芸術祭の実行委員会は三日、ガソリンテロ予告や脅迫とも取れる抗議があったとして、中止を決めた。

 出展者の一人で造形作家の中垣克久さん(75)は「作家の意見を聞かずに中止したのは極めて暴力的なやり方。(平和の少女像を作った作家にも)どんな思いで作ったか聞くべきだが、なおざりにされている」と批判した。

 企画展の実行委員会メンバーの武蔵大の永田浩三教授(メディア社会学)は「平和の少女像という作品をちゃんと見てほしかった。わずか三日の展示だったが、たくさんの人たちが、いろんな見方をしてくれた。それは非常に感動的な場だった」と述べた。 (松尾博史)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】