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【ゴルフ】

全英女子OP優勝の渋野が凱旋 東京五輪で金メダル取りたい

2019年8月7日 紙面から

笑顔で帰国会見する渋野日向子=羽田空港で(いずれも武藤健一撮影)

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 初出場だったゴルフのAIG全英女子オープンで、樋口久子以来42年ぶりに日本人2人目の米ツアーでのメジャー制覇を果たした渋野日向子(20)=RSK山陽放送=が6日午後、羽田空港に帰国し、同空港内で優勝報告会見を行った。到着出口には約300人の人だかりができ、記者会見場には計54社141人の報道陣が集まるなど、一躍“時の人”となったスマイル・シンデレラへの注目度の高さを物語っていた。

 トレードマークになった“シブコ・スマイル”を満面に浮かべ、シルバーの全英優勝杯をまるで街頭で買ったドリンクカップのように軽々と右手に握って、記者会見のひな壇に上がった渋野。「帰りましたあ~。いやあ(騒ぎが)想像した以上だったので、すごくビックリしました」といつも通りの“シブコ節”で質問に答え始めた。

 午後3時前に帰国、4時からこの報告会見を済ませると、さらに7時から日本記者クラブでも会見に臨み、7日に次戦meijiカップの開催地・北海道に飛ぶというハードスケジュール。こうなったのも「すごいことをしたという実感、だんだんと来ると思います」という快挙達成の余波。疲れた表情は一切見せず、丁寧に、終始にこやかに質問に応じた。

 優勝後は「1000件弱」の祝勝連絡があったと言い、改めて「日本が大好き。ずっと私を応援してくださる方がたくさんいる。そのみなさんの前で頑張りたいから(全英Vでツアーメンバーになれる)米ツアーには行きません」と、米国進出を全面否定した。

 一方で「ツアー登録しなくても、向こう5年間のメジャーには出られるそうなので、そこは考えてます」。全英遠征で強く感じたのは「笑顔は世界共通なんだなということ」だと話し、前週の46位から14位にジャンプアップした世界ランクについて「東京五輪に出るにはそのくらいの順位が必要と思っていたので出場につながったかなと」。そして「金メダル取りたいです。攻めと笑顔のゴルフは変わらないと思います」と、元気いっぱいに宣言した。 (月橋文美)

◆一問一答

大勢の報道陣が集まる中、記者会見する渋野日向子

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 -お帰りなさい

 渋野「帰りましたあ~。イギリスに着いた時から日本に帰りたいと思っていたので(笑)。やっと帰れてうれしいです。でも暑かったです、日本」

 -「スマイル・シンデレラ」というニックネームがつきましたね

 「スマイルはいいとして、シンデレラは良く言いすぎかなと。でもそれで私を覚えていただけたのはすごくうれしかった」

 -では、シンデレラではなく何にしましょう

 「“スマイル・オバケ”がいいです。オバケでお願いします」

 -現地の子供たちからの人気もすごかった

 「子どもが好きで、地元の岡山では私みたいになりたいと言ってくれる子も出てきて、ジュニアゴルファーのことも考えるようになった。全英会場でもギャラリーの中に子どもが見えて、その子たちにも楽しんでもらいたくて。仲よくなれました」

 -プレー中に食べていた駄菓子がすごい話題になっています

 「お菓子、ずっと好きなんです。おなかも満たされるし、おいしいし、緊張もちょっとほぐれる、かな」

 -今回の全英で何を学びましたか

 「う~ん、何を学んだんだろう。学びに行ったんですけどねえ。優勝しちゃったから(笑)」

 -昨夏に豪雨被害があった地元への思いは

 「ちょうどプロテストに合格した時で、プロテストを受験することも迷ったくらいだったんですけど、被災しているみなさんが応援してくれて。この1年、その日のことを忘れたことはありません。私がいい結果を出して少しでも元気づけていければと思っています」

 -自身の成長を感じる部分は

 「ここぞという時のパットとショットですかね。緊張する場面でもドライバーを振り切れる。パットも大事なところで決められた」

 -パッティングの秘訣(ひけつ)は

 「私はストロークのことは全然考えないで、リズムのことだけ考えて打っています。今は1メートルなら返しを入れる自信があるので、1メートルオーバーのイメージで打っていますね」

 -笑顔にはどんな力があると思いますか

 「やっぱり笑顔は世界共通なんだと思いました。ギャラリーのおじちゃんが『ゴルフを笑顔にしてくれてありがとう』って言ってくれていたらしいんです。私、そんなすごいことしちゃったのかなって感激」

 -東京五輪への思いは

 「私自身は北京五輪の女子ソフトボール優勝をずっと見ていて、自分も五輪に出てみたいと思った。今でも動画で見ているぐらい。すごく元気になった。自分もそんなふうに日本を元気にできたらと思う。みなさんに楽しんでもらって金メダル、自国開催なので、取りたいと思います」

◆<番記者 とっておき話>快挙達成でもソフトが好き

 帰国会見でも、いつもの“シブコ節”を連発、場内を笑顔にしてくれた。「全英優勝という経験をして、今はゴルフとソフトボール、どちらが好きですか」との質問に、かぶせるような勢いで「ソフトボールです」と即答。質問者をタジタジにした。

 帰国の機内で自身のインスタグラムなどをチェックしていると、その大好きなソフトボール日本代表“女イチロー”と称される山田恵里さんから「始球式してくれませんか?」とのメッセージが入っていた。「え~っ? メチャうれしい。やりた~い!」。だが「スケジュールを見たら、その日はトーナメント中で…。悲しかった。そればかり考えながら帰ってきました」とショボーン。

 いやあ、こちらもシブコのピッチングを見られる機会だったのにと残念無念-。しょうがないから、1カ月前のニッポンハムレディス週にシブコが気に入ってくれた、記者の北海道・千歳の行きつけのお店に黒豚の辛い鍋、やけ食いしに行きますか。 (ゴルフ担当・月橋文美)

 

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