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【芸能・社会】

柳楽優弥&田中泯で新解釈「葛飾北斎」映画 生誕260周年の来夏公開「9割創造1割事実、なれど10割真実」

2019年8月7日 紙面から

映画「HOKUSAI」のビジュアル。左上が柳楽優弥、右が田中泯、下段左から阿部寛、瑛太、玉木宏

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 世界で最も有名な日本人でありながら、その実像は謎に包まれている葛飾北斎。天才芸術家の生涯を新解釈で描く映画「HOKUSAI」(橋本一監督)が、北斎生誕260周年となる来年初夏、俳優の柳楽優弥(29)と田中泯(74)のW主演でSDP配給として全国公開される。

 平均寿命が40歳という江戸時代後期にあって88歳まで生き、描いた作品は3万点以上。2024年から使用される新千円札の図柄に採用された名作「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」は71歳の時の作品という。画号を変えること30回、結婚2度、転居は90回以上と、その生き様は現在も我々の理解を飛び越え、それでいながら史実は少なく、映像化を阻んできた。

 本作は構想3年。青年期の北斎を目覚めさせた版元・蔦屋重三郎、そして老年期の北斎のパートナーとなる人気戯作(げさく)者・柳亭種彦とのエピソードを軸に、「人間・北斎」と、彼が描いた「三つの波の秘密」が生まれるに至った物語を描く。

 青年~壮年期の北斎を演じる柳楽も情報量の少なさに悩んだというが、「さまざまな資料を読んだり、監督と相談していく中で、逆に知られていないからこそ、僕たちで『北斎像』を作り上げていこうと臨ませていただけた」。老年~晩年期を演じる田中は「おそらく僕が日常的にやろうとしてもたどり着かない“ある高み”へ引っ張り上げてもらえる、架空からまるで現実の時間のように変わっていく、起こらないことを起こしていくということが、この映画の持つ力なのだと思います」と解説。蔦屋役の阿部寛(55)がズバリ言う。「最終的には、現場で実際に柳楽くんと対峙(たいじ)することによって作っていきました」

 柳亭役の瑛太(36)、ライバル・喜多川歌麿を演じる玉木宏(39)。日本映画の誇る才人たちが持てる想像力と表現力を結集して生み出した新たな「葛飾北斎」。橋本一監督(51)は胸を張った。「9割創造1割事実、なれど10割真実を目指しました」

◆瑛太が玉木が大いに学んだ

 想像力をかきたてられる本作は、役者として大いに学ぶところがあったと出演者は口をそろえる。瑛太は「時代背景問わず、今の日本でも芸術的なことに身を置く人間として何を覚悟して人前に立つのか、田中泯さん演じる葛飾北斎から教わりました」。玉木も「プロデューサー的な存在が蔦屋重三郎で、僕らはアーティスト。皆それぞれに新しい芽が出てくると嫉妬心が生まれたり、プライドや孤独を感じながら自分と向き合っていく。それは現代にも通ずる」と話していた。

<過去の葛飾北斎映画> 新藤兼人監督、緒形拳主演の「北斎漫画」(1981年)は春画「蛸と海女」をモチーフに北斎の創作意欲の根底にあるものへと迫った。杉浦日向子さん原作のアニメ映画「百日紅~Miss HOKUSAI~」(2015年)は、北斎と彼を支えた娘を軸に江戸庶民の暮らしぶりを描いた。

葛飾北斎の代表作「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」

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