ストレッチは、スポーツや日常生活で筋肉を伸ばす方法の1つ。「動的ストレッチ」と「静的ストレッチ」の大きく2種類に分けられ、一般的にストレッチと聞いてイメージするものは静的ストレッチです。
静的ストレッチの歴史は、まだ約50年ほど。もともとは、体重を落とすためのダイエットプログラムとして、アメリカ人のボブ・アンダーソン氏によって1968年に開発されました。
ストレッチと似ているピラティスは90年ほど前に開発され、ヨガは紀元前から存在していることと比べると、ストレッチの歴史はまだ浅いことが分かります。ここでは、静的ストレッチの歴史について理解を深めてみましょう。
ストレッチは、カリフォルニア出身のアメリカ人であるボブ・アンダーソン氏によって1968年に考案されたメソッドと言われています。
ボブ・アンダーソン氏は運動不足による体重増加で悩んでいました。23歳のとき、減量するためにダイエットプログラムを開発し、当時約86キロあった体重を約61キロまで減らすことに成功しています。
ダイエット成功後、大学で体育の授業を受けているとき、長座体前屈で自分の手が膝に届かないことにショックを受けたことがきっかけとなり、ストレッチをスタート。
ストレッチ開始から数ヶ月後、ボブ・アンダーソン氏はストレッチによって体の柔軟性が向上し、マラソンやサイクリングにおけるパフォーマンスも改善できることを発見します。
さらに、ストレッチによって筋肉痛が早期に軽減されることも発見し、妻のジーン氏や仲間たちと一緒にストレッチのメソッドを作成していきました。
ボブ・アンダーソン氏は、彼が作り上げたストレッチのメソッドを、メジャーリーグやアメリカンフットボールリーグの野球チーム、オリンピックのスキーやフィギアスケートチームに指導。
プロだけでなく、フィットネスを楽しんでいる一般の人たち、障害のある子どもたちなど、幅広い人々に普及した結果、アメリカ全土に広まりました。
1975年、ボブ・アンダーソン氏はストレッチのメソッドをまとめ、妻のジーン氏と一緒に『ストレッチング』を出版。のちに世界19カ国で翻訳・発売され、300万冊が発行されています。
ジーン氏は大学でアートを専攻していたことから、本に載っているストレッチポーズの絵を担当。ボブ・アンダーソン氏がストレッチする姿を写真に撮影し、自らイラストを書いて掲載しています。
ストレッチの歴史はまだ50年ほどで、日本で発祥した加圧トレーニングと同じくらいの年数です。
現在はストレッチ専門店も増えており、自分1人でおこなうセルフストレッチだけでなく、パートナーにサポートしてもらうペアストレッチも広まっています。