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京アニ犠牲、10人公表 「らき☆すた」武本監督ら

事件現場近くの献花台を訪れ、手を合わせる人たち=2日午後、京都市伏見区で(浅井慶撮影)

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 京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」第一スタジオの放火殺人事件で、京都府警は二日、亡くなった同社役員や従業員ら三十五人のうち、遺族が了承したとして十人の身元を実名で公表した。十人は人気アニメ「らき☆すた」監督の取締役武本康弘さん(47)=兵庫県赤穂市出身、人気アニメ「Free!」の総作画監督西屋太志さん(37)=広島県尾道市出身、ベテランアニメーターの取締役木上益治さん(61)ら、二十二~六十一歳の男女。

 府警はDNA型鑑定などで三十五人全員の身元を特定。遺族や会社関係者の心情を考慮し、公表への意向や、報道機関による取材対応の可否などを個別に聞き取り、準備を進めていた。公表が事件発生の七月十八日から半月後となり、対象も犠牲者の一部にとどまる異例の対応となった。

 府警は十人の公表に際し、葬儀を終えているなどの事情も考慮。西山亮二捜査一課長は「身元特定に時間を要したことに加え、遺族らが大切な人の死を受け入れるまでに時間がかかっていると認識している。タイミングと方法を慎重に検討した結果だ」と説明した。

 他の死者二十五人に関しては「実名公表について説明し、理解が得られるよう努めている。具体的な時期は、遺族や会社とやりとりしながら適切に判断する」と話した。

 匿名での公表も検討されたとした上で「身元を秘匿すると誤った事実が流れる恐れがある。事案の重大性などを鑑みた」と述べた。一方、京アニ側は「実名発表をしないよう求める声が多数届いている」として、実名の公表を差し控えるよう書面で要請していた。

 府警によると、公表後に一人の遺族から匿名での報道を希望するとの連絡があった。

 死者三十五人は二十~六十代。司法解剖の結果、死因は焼死二十六人、一酸化炭素中毒死四人、窒息死二人、全身やけど二人、不詳一人だった。このほか重軽傷者も三十三人おり、うち約十人が入院しているという。

 事件は七月十八日午前十時半ごろ発生。青葉真司容疑者(41)=さいたま市見沼区=がスタジオに侵入しガソリンをまき、火を付けたとされる。府警は事件直後に青葉容疑者の身柄を確保。これまでに死因不詳の一人を除く三十四人に対する殺人や現住建造物等放火などの疑いで逮捕状を取った。

 青葉容疑者は重いやけどを負い、大阪府内の病院に入院中で予断を許さない状態が続いている。

◆氏名が公表された10人

 宇田淳一さん(34)=京都府宇治市▽大村勇貴さん(23)=同▽笠間結花さん(22)=京都市伏見区▽木上益治さん(61)=同▽栗木亜美さん(30)=京都市東山区▽武本康弘さん(47)=京都府宇治市▽津田幸恵さん(41)=京都市伏見区▽西屋太志さん(37)=京都府宇治市▽横田圭佑さん(34)=京都市伏見区▽渡辺美希子さん(35)=京都府井手町

   ◇

 京都アニメーションの放火殺人事件で、実名公表を了承した遺族のうち一人から、京都府警を通じて匿名希望に変更するとの連絡がありました。事件・事故報道は、その現実を的確に伝え社会全体の教訓とするため、原則実名で報じており、今回も実名で報じます。犠牲になった方々一人一人の生前の姿を数字ではなく実名で伝える必要があると判断しました。プライバシーや遺族の意向には最大限配慮し、節度ある取材、記事化に努めます。

 

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