森達也氏が危惧 オウム以降の日本社会は「集団化」が加速
――オウム事件以降、政治の面でも社会は変わったと考えますか。
社会が「集団化」した。皆ひとりが怖くなって、連帯したくなった。連帯は「同質」であることが前提です。だから皆で「異質」なものを探して排除したくなる。異質であることの理由は何でもいい。その典型がヘイトスピーチ。同時に集団は、より強い連帯を求めて敵を探したくなる。集団で同調すると力が強くなる。一緒に行動したくなる。そうすると号令が欲しくなり、「強い政治家」を求め始める。米同時多発テロ以降、世界に広がった現象です。トランプにしてもプーチン、エルドアン、ドゥテルテや習近平にしても、かつてであれば独裁的な政治家として批判されていた指導者が高い支持率を持つようになった。安倍政権も同じ。外敵を探す為政者が支持される。だからこそ北朝鮮や中国に対して強気に振る舞う。
■国内の集団化が高まれば外敵を探して攻撃する
1995(平成7)年のオウム真理教信者による「地下鉄サリン事件」から23年。今年7月、元教祖の麻原彰晃(本名松本智津夫、63=執行時)はじめ、死刑囚13人全員の刑が執行された。ドキュメンタリー映画「A」シリーズで信者たちの日常を追い続けた映画監督・森達也氏(62)に、「オウムを…