| 【芸能・社会】巨匠・角川春樹監督、最後のメガホン 来年秋公開、映画「みをつくし料理帖」2019年8月6日 6時0分 
 
 映画「犬神家の一族」(1976年)や「セーラー服と機関銃」(81年)などをプロデューサーとして手掛け、自らもメガホンをとってきた角川春樹監督(77)が、監督としては8本目で最後の映画「みをつくし料理帖」(2020年秋公開)を製作することが決まった。このほど本紙などの取材に応じた映画界の巨匠は、最後のメガホンとなる作品に「私はこの映画に『身を尽くす』」と並々ならぬ意欲を見せている。 江戸時代を舞台に、料理に真摯(しんし)に向き合い運命を切り開いていく主人公・澪の成長と、幼なじみ・野江の女性の友情を描く。 「原作を読んで人と会うのが恥ずかしいくらい涙を流した」という角川監督は「笑う警官」(09年)以来10年ぶりにメガホンをとることを決意。これまでに名作を次々に生み出してきたが「自分にとって代表作をつくる」と最後の作品に執念を燃やす。 映画の公開となる来年は、東京五輪・パラリンピックが開催される。世界での日本食ブームを追い風に日本食を前面に押し出す作品で、海外配給・海外映画祭への参戦も視野に入れる。 主人公・澪を演じるのは若手実力派女優の松本穂香(22)。松本の衣装合わせの際にスタッフが思わず「澪ちゃんが立っている」と言うほどイメージがぴたりとはまった。角川監督も「松本穂香が江戸時代にタイムスリップして澪を演じる。素を出すことが観客の共感を呼ぶ」と抜てきに自信を見せる。 料理の映画でもあるため、料理評論家の服部幸應さんが監修を務め、包丁だけでも4種類使い分ける。料理の個人レッスンを受け撮影に臨む松本は「澪という人は、芯の強さ、周りを包み込むような優しさをいっぱいに持っている人だと思っています。そんな澪を演じることで、物語の中に流れるあたたかさを、見てくださる皆さんにも感じていただけるように、精いっぱい頑張りたいと思います!」とコメント。大洪水に遭い幼なじみの澪と離ればなれになる野江にはNHK連続テレビ小説「半分、青い。」(18年)で注目を集めた奈緒(24)、澪と野江が再会を果たすために重要なかぎを握る男・又次を中村獅童(46)が演じる。 また最後の映画ということで、これまで角川作品に出演した俳優の逆オファーも多い。ある作品で主演した女優が、二言しかセリフがない役で出演するという。松本や奈緒は角川監督とは初タッグとなるが、「基本は角川映画のスターたち」(角川監督)の豪華布陣で臨む。 最近は6歳の息子の育児に精を出す角川監督は「映画を撮ると子どもの行事に出られなくなる」と父親の顔を見せる。最後の作品と決めているが、息子にまた監督作を見たいと言われたらと聞かれると「やります(笑)」と思わず答えてしまった。 ◆角川春樹(かどかわ・はるき) 1942(昭和17)年1月8日生まれ、富山県出身。出版業の傍ら76年「犬神家の一族」で映画界に進出。話題作・ヒット作を連発し、日本映画界を席巻。製作作品はほかに「人間の証明」(77年)「野性の証明」(78年)「男たちの大和/YAMATO」(2005年)など計70作を超える。1982年の「汚れた英雄」で監督デビューし「みをつくし料理帖」が8作目となる。 ◆「みをつくし料理帖」 作家・高田郁さんの時代小説。2009年5月に刊行された第1作「八朔の雪 みをつくし料理帖」から18年9月刊行の「花だより みをつくし料理帖 特別巻」までシリーズ12作で累計400万部を超える。今作は第1~3作のストーリーが元となる。12、14年にテレビ朝日系で北川景子主演でスペシャルドラマ化。17年にはNHKで黒木華主演で連続ドラマ化され、今年12月にはスペシャルドラマも放送される予定。 ◆角川監督が手がけた主な作品◆ 1976年 犬神家の一族 77年 人間の証明 78年 野性の証明 80年 復活の日 81年 セーラー服と機関銃 82年 蒲田行進曲 汚れた英雄* 83年 探偵物語 時をかける少女(原田知世主演) 84年 愛情物語* Wの悲劇 86年 キャバレー* 88年 ぼくらの七日間戦争 90年 天と地と* 93年 REX 恐竜物語* 97年 時をかける少女*(中本奈奈主演) 2005年 男たちの大和/YAMATO 07年 蒼き狼~地果て海尽きるまで~ 09年 笑う警官* 20年 みをつくし料理帖* *は監督作品 
 
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