【高校野球】いよいよ甲子園開幕 見ないと損するベストナイン2019年8月6日 紙面から 令和最初となる夏の甲子園は5日、開会式リハーサルを行い6日の開幕を待つばかり。今秋ドラフトで注目のBIG4といわれた4投手のうち、甲子園にコマを進めたのは星稜(石川)の奥川恭伸投手(3年)だけとなったものの、見どころ満載。アマ野球担当の私が関東を中心とした取材などをもとに独断で「この夏、甲子園で絶対に見てほしいベストナイン」を選びました。 (小原栄二) ◆霞ケ浦 投手・鈴木寛人 最速148キロ、プロ大注目の右腕
最速148キロと真っすぐの軌道から曲がるスライダーで茨城大会で28イニングを投げて3失点。プロスカウトの評価も急上昇。憧れの先輩エース遠藤(広島)をしのぐともいわれ、高橋監督も「決勝は完璧だった。ふだん通り投げてくれれば、やってくれると思う」と履正社戦に期待。 ◆筑陽学園 投手・西舘昂汰 松井裕樹流マウンド度胸のエース福岡大会序盤は主にリリーフで、準決勝、決勝を完投。最速144キロ右腕はこの夏、大黒柱に成長した。マウンド度胸は楽天の松井がお手本。「マウンドで相手の応援歌を口ずさんでいると聞いてそうしています」。8月1日のメンバー発表で初めて背番号「1」をもらい気合も十分。 ◆中京学院大中京 捕手・藤田健斗 佐々木の163キロを捕球秋に負けた悔しさをバネに成長。ことし4月のU-18候補の研修合宿では「個人のレベルが高くまだまだと思った」と痛感、努力を重ねた。大船渡の佐々木の163キロの歴史的捕球による全治1カ月の裂傷も完治。橋本監督が「周りを察知する能力が上がった」というリードも注目ポイント。 ◆智弁和歌山 二塁手・黒川史陽 5季連続、父は甲子園V1993年センバツで優勝した上宮のメンバーだった父を越えるのが目標。5季連続出場で最後のチャンス。「日本一になるための練習をしてきたが4回も負けた。絶対に優勝したい」。この夏は1番。初球から振っていけるのが魅力。高校通算34本塁打のパンチ力もありプロも注目。 ◆花巻東 三塁手・水谷公省 親子鷹を避けた北の2年生4番神奈川・横浜隼人監督の父親譲りのたくましい顔。武者修行に出た花巻東では2年ながら4番。三塁と外野を守り、岩手大会の打率は2割でも8打点の勝負強さで来年のドラフト候補。「父に甲子園は甘くないと言われました。最後の夏だと思って臨みたい」と意気込みもいい。 ◆花咲徳栄 遊撃手・韮沢雄也 聖地での爆発を予言の強打者埼玉大会の打率3割8分5厘も、チーム打率4割超にあっては不調といわれた。「野村さん(日本ハム)も埼玉では調子が悪かったけど甲子園で打った。ヒットを毎試合2本打ちたい」。タイプは違うが、昨夏の甲子園で2試合連続弾などの先輩にあやかる大舞台での爆発を約束した。 ◆八戸学院光星 遊撃手・武岡龍世 打撃改造でブレーク予感遊撃守備ならOBの坂本(巨人)の高校時代以上の逸材。今春センバツは4打数1安打で初戦敗退、夏の青森大会も不調のまま迎えたが青森山田戦からヘッドの使い方を開眼。終わってみれば、チームトップの打率5割8分8厘。「打ち損じが少なくなった」。1番遊撃でブレークの予感。 ◆東海大相模 外野手・鵜沼魁斗 強肩強打のスーパー2年生東海大相模が誇る2年カルテットの一角で、1番を打つ切り込み役であり、神奈川大会で4番の山村に次ぐ12打点を挙げたポイントゲッター。50メートル6秒の俊足が武器。初めての甲子園に「右中間と左中間が広く感じた。足を使ってシングルを二塁打、三塁打にしたい」と意気込む。 ◆山梨学院 外野手・野村健太 通算53本塁打の山梨の大砲ソフトバンクの本塁打王にあやかったデスパイネのニックネームを吉田監督からもらって昨年ブレーク。3度目の甲子園で今春センバツでは2本塁打。高校通算53本塁打を誇り、強力打線を相沢、菅野とともに支える。練習試合で2三振を喫した星稜の奥川との再戦も熱望する。 ◇ いきなり、お叱りを受けそうです。星稜の奥川が入っていない! 今回選んだベストナインは、この7月に関東&岩手を取材した私の印象に強く残った選手、もっと大きく取り上げたかった選手を中心に、友好スポーツ紙記者からの推薦やスカウトの評価をもとに近畿と九州の選手を加えたものです。独自の9人と思ってください。 奥川は今大会の目玉中の目玉ですし、センバツ準優勝エースの習志野(千葉)の飯塚脩人投手、U-18候補の研修合宿を経て成長が著しい津田学園(三重)の前佑囲斗投手、チェンジアップが抜群に切れる近江(滋賀)の林優樹投手も注目です。兄がロッテ投手の智弁和歌山の東妻純平捕手、履正社(大阪)の井上広大外野手も今秋ドラフト候補。彼らについては別表参照です。 一塁手がいないのはたまたまです。ナインの方がすわりがいいので投手を2人にしました。この中でイチ推しは、霞ケ浦(茨城)の本格派、鈴木寛人投手。大舞台で気負ったりしなければ、この大会の主役になる可能性も十分です。筑陽学園(福岡)の西舘昂汰投手はテレビで決勝を見て、汗びっしょりになって西日本短大付を振り切ったのが印象的。甲子園には、福岡で10だった背番号が1になって大黒柱として登場します。 今春センバツでも私が期待していた花咲徳栄(埼玉)の韮沢雄也、八戸学院光星(青森)の武岡龍世、山梨学院の野村健太の各選手は最後の夏のパフォーマンスを目に焼き付けたいものです。 2年生の東海大相模(神奈川)の鵜沼魁斗、花巻東(岩手)の水谷公省の両選手はNPBスカウトが来年のドラフト候補にリストアップする逸材。記憶しておいた方がいい選手です。
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