渋野を指導し、今大会ではキャディーも務めた青木翔コーチ(36)は、ウイニングパットを決めて大笑いするまな弟子とは対照的に、グリーン上でピンを持ったまま目頭をぬぐっていた。
「スイングどうこうよりも、思い切りの良さや決断力。天真らんまんな子で、自分の良さをしっかり出してくれた」
勝負のあやとなった12番パー4。ティーイングエリアに上がったとき、渋野が「行っていいっすか、みたいな顔をしていた」という。「行きたいんでしょ、行け!」と背中を押した。「グリーンの左を狙うって言ってたら右に飛んで行って、あ~、やっべ、終わったわって思った」が、右端に残った。このバーディーで勢いが加速した。ウイニングパットは「6メートルの下りのスライス。スーパー適当だった。入りそうな予感はしていた」と振り返った。
一方、奮闘を見守った父の悟さん(51)は「いつも笑顔でと言っている。ふてくされて、見ている人が嫌な感じになったら駄目」と言う。スタート前にも気さくに記念撮影に応じ、ホール間ではファンとハイタッチ。楽しげにプレーする姿でギャラリーを味方に付けた。