【ゴルフ】12番 起死回生の1オン! 渋野、逆転Vへ運命の1打2019年8月6日 紙面から
◇全英女子OP<最終日>▽メジャー第5戦(最終戦)▽4日、英国ミルトンキーンズ、ウォバーンGC(6756ヤード、パー72)▽曇り、24度、南南東6メートル▽賞金総額450万ドル、優勝67万5000ドル▽72選手 【ミルトンキーンズ(英国)テッド・ムース】渋野日向子(20)=RSK山陽放送=が初の海外戦でメジャーを制覇した。前日後続に2打差をつけて単独首位に立っていた渋野は、3番で4パットを打つなど前半は苦戦して首位を明け渡したが、後半で5バーディーの猛チャージをかけて再逆転。優勝賞金67万5000ドル(約7200万円)を獲得した。6日に帰国し、次戦は9日開幕の北海道meiji杯に出場予定(札幌国際CC島松C)。 スマイルシンデレラが「シンデレラ物語」を完結させた。18番で6メートルのパッティングをガツンとカップの反対側に当てる壁ドンで入れた。「入っちゃったよー!」。この瞬間、日本のゴルフ界が待ち望んだ、42年ぶりの女子メジャー制覇が成就。渋野はパターを振り上げ、この4日間で一番大きな、ヒマワリのような笑顔を咲かせた。 パーなら先に上がったサラス(米国)と並ぶ。「プレーオフ(PO)はしたくない。だから、バーディーか、それとも3パットのボギーか」と覚悟して打った。パターから思った通りに打てた感触が伝わり、1テンポ置いて大歓声が起こった。 「18番グリーンに上がってくる時もすごい歓声で、誰に言ってるのかな~って思って、とりあえず手を振った。うえ~いって。そしたら、私に言ってくれてるんだなって」 3番で10メートルを4パットのダブルボギーにし、トレードマークの笑顔が消えた。その痛手を取り返せないまま前半は終了。 だが、ソフトボールが大好きな渋野は2日前に語っていた。「ゴルフに役立っている点? 最後まであきらめないところ。ソフトは、最終回まで何が起こるか分からないじゃないですか」 その言葉が現実になった。12番パー4。グリーン手前に池があるが、起死回生の1オンも狙える。迷わず手にしたのはドライバー。打球はグリーン右側の土手ぎりぎりに当たり、少し転がってピン8メートルの地点で止まった。2パットでバーディー。再び笑顔を取り戻した。 現地で定着したスマイルシンデレラの異名。当の本人は「何言ってるんだろ。シンデレラは違うだろ。オバケでいいよって」とピンと来ていないよう。この優勝で誰もが欲しがる米女子ツアーのシード権を得たが、まるで興味を示さない。「海外でやりたい気持ちは全くない。移動が大変だし、英語も話せない」。視野に入れるのは、今年の日本ツアーで1億円を稼ぎ、日本のトップ選手になることだ。今週は9日からの北海道meiji杯に出場する。完結した物語はまだ第1章。翌週から日本のトップをエンディングにした第2章が始まる。
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