エグゼイド&ゲンム in IS 作:Momochoco
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ここはIS学園地下にある研究室の一つ、第9610実験室。通称「黎斗の部屋」大量の電子機器に山積みにされた本など、そこでは3人目の男性操縦者にして天才ゲームクリエイターでもある檀黎斗が毎晩のように研究を続けていた。
そして今夜もまた明かりがつき続けていることから、徹夜で研究を続けていたことが窺えた。
だが今夜は珍しく、誰も近寄りたがらない黎斗の部屋に来客の影が見えた。
黎斗の部屋からは無数にキーボードを叩く音が聞こえてくる。そして一段落が過ぎたであろうことを知らせるターンッという打ち込みを最後に黎斗の独白が始まる
「マイティアクションXとプロトマイティアクションXはこれで完了か。あとはシャカリキとゲキトツ、コンバットの修繕が残っているな……」
黎斗は現在マイティアクションXとプロトマイティアクションXの最終調整を終えたばかりだった。今から一週間ほど前に行われた試験もといISを使った実戦形式のテストで、永夢は射撃主体の打鉄に乗る山田と、黎斗はブレードによる接近主体の千冬と戦い戦闘データを手に入れていてたのだ。そしてそれぞれのデータを使い三つのガシャット『シャカリキスポーツ』と『ゲキトツロボット』『ジェットコンバット』の修繕に取り掛かろうとしていた
徹夜続きでボロボロの黎斗の部屋へノックをする者があらわれる。
「入ってかまわないぞ」
その返事を聞き入ってきたのは、緑の髪と目に眼鏡をかけたIS学園の教師である「山田真耶」であった。
手にはバスケットを持っている。
「真耶か……、私の仕事場に一体何のようだ?」
「何のようだじゃないですよ!研究室に籠ってもう一週間にもなるんですから!それに今日は入学初日です!入学式はともかくHRには参加してもらいますからね!」
「わかった。今から準備する」
「ちゃんとシャワーも浴びてきてくださいね。あ、それとお弁当作ってきたので良かったら食べてください」
「……ありがたく頂こう」
世話好きな所がどこか彼女を思い出す黎斗は渋々山田の言葉に従うのだった
☆
入学式が終わり各教室でのHR前。教室の中は盛り上がっていると思いきや、誰一人喋らない状態が続いていた。
というのもイレギュラーな存在が教室が一人いたからである。初めての男性操縦者の一夏であった。現状、一夏以外全員女子でありどことなく話しかけづらい状況になっていた。
そんな中、副担任である。山田真耶が到着しHRを始める
「HRを始めますよ!」
少しでも空気を換えようと精一杯山田真耶が明るい声で話している。だが全く効果はなく沈黙はさらに続く
「えーと、皆さんのクラスの副担任である山田真耶です。一年間よろしくお願いしますね」
ディスプレイに名前が表示が表示される。
だがクラス中は無反応。これには山田もやりにくさを顔に出さずにはいられなかった。
仕方ないと溜息一つにクラスメイトに自己紹介を促す。この後に永夢と黎斗の紹介をいないといけないと考えるといちいち止まってはいられない。
「それでは自己紹介をお願いしますっ!出席番号順で!」
一応順調に進めていた黎真耶だった。だが、自身の置かれた状況に固まっていた一夏のところでつまってしまう。
「……くん。織斑一夏くんっ」
「は、はいっ!?」
大声で呼ばれ情けない声を出した一夏に、クラスから笑い声がもれる。
急に大声を出したことを謝る山田先生を抑え、一夏は改めて自己紹介をする。
「えー……えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします。」
一夏のあまりにも短い、自己紹介に教室が変な空気になる。
一瞬の間の後、一夏の頭に衝撃がはしる。おそるおそる振り向くと自分の姉にしてIS学園教員の織斑千冬がたっていた。
「げえっ、関羽!」
「誰が三国志の英雄か、馬鹿者」
突っ込みを終えた千冬は騒ぐクラスメイトをなだめ自己紹介を一通り終わらせる。
教室が最初より和やかになったところで千冬が真剣な顔つきで重大な話を始める
「実は今日まで極秘裏にはしていたが、このクラスにはもう一人のクラスメイトと副担任補佐がついている」
その言葉に一夏を含め、クラスメイト全員が身構える。極秘の生徒など追加で見つかった男性操縦者であるしか考えられない。
「それではさっそく紹介する。入ってこい永夢、黎斗」
教室に入ってきたのは身長の高いイケメン二人組であった。
片方は笑顔が似合う温和そうな青年で、もう片方はクール系でどこか苛立っているような顔をした青年であった。
「永夢、黎斗自己紹介をしろ」
「今日、皆さんと一緒に入学した宝条永夢です。趣味はゲームで、将来は医者になりたいと思っています。よろしくお願いします!」
「副担任補佐兼ISの整備、開発担当でもある檀黎斗だ。」
二人が手早く自己紹介をすますと千冬は時間が押しているので手早く進んでいく
「二人とも男性操縦者だが仲良くしてやってくれ。特に黎斗の方は性格に難があるから気を付けろよ」
「余計なことを言うな千冬ゥ!」
急な黎斗のキャラ変更にクラス中が度肝を抜かれる。
その後のHRが終わり、休憩時間になると黎斗は山田の手伝いに職員室に戻った。そして永夢の元にはずっと欲しいと思っていた男のクラスメイトができたことで嬉しさ一杯の一夏が永夢の席にやってくっる。
「えっと、俺は織斑一夏。あの、良かったら同じ男性操縦者として仲良くして欲しいんだけど……」
「もちろん、良いよ。僕は宝条永夢。永夢って気軽に呼んでくれていいから」
「分かったよ永夢。いや~、永夢がいてくれて本当に良かった。男一人だと考えると肩身が狭くて狭くて」
「あはは、まあそうだろうね。僕も一夏君がいてくれてよかったよ」
二人が会話してきたところに一人の女子生徒が割って入ってくる。
「……ちょっといいか」
「……箒?ごめん永夢また後でゆっくり話そう」
「気にしないで良いよ」
永夢がそう言うとその女子生徒と一夏はどこかに向けて歩いて行った。
永夢がフリーになったところでクラス中の生徒が自分の側に寄ってきて話しかけてくる。
どうやら会話する機会を狙っていたらしい。
廊下には多額戦の生徒や他のクラスの生徒までいてもはや上野のパンダを見るような状態になっていた。
何とか始業のベル開始のおかげで解放される永夢。ちょっとボディタッチなどがあったことに若干顔が赤くなっている。一夏もいつの間にか戻ってきていた。
その後の授業では一夏が授業に全くついていけていなかったことぐらいで問題なく進んでいる。ちなみに永夢は地頭がかなりいいので問題なかった。黎斗も説明はいらないだろう。
しかし問題は2時間目の休み時間に起きた。
「わたくしを知らない?このイギリス代表候補生のセシリア・オルコットを?」
「代表候補生って何だよ?」
自分の机で突っ伏していた一夏のところにイギリス代表のセシリア・オルコットが絡んでいったのだ。
子供同士の喧嘩だと思い、特に気にも留めていなかった永夢だった。
3時限目が始まりクラス代表の説明が行われる。推薦を募った結果一夏と永夢に票が集中する。
「はい、織斑君を推薦します!」「私は永夢君が良いと思います」
「えっ、僕も!?」
「推薦されたからにはしっかりと決議に参加しても貰うぞ永夢に一夏、自薦でも構わん他にだれかいるか?」
「そのような選出は認められません!男がクラス代表何て言い恥さらしですわ!実力からいえばこのわたくしがクラス代表になるのは必然!」
急にいきり出すセシリアに少し引く永夢。黎斗は教室の端でつまらなさそうに腕を組み眺めていた。
「わたくしはこのような島国までIS技術の修練来たのであって、サーカスをする気は毛頭ありません。大体、文化としても後進的な国で暮らさなければいけないこと自体―――――」
さすがにセシリアの言い草に頭に来た一夏が噛みつく
「イギリスだって大してお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年制覇だよ」
その後も二人は下らない言い争いを続けており、さすがに永夢も止めに入る。永夢はライダー時代よく喧嘩の仲裁に入ったことを思い出していた。
「いい加減にしてください!一夏君もオルコットさんもそれ以上の暴言は自国の評価を下げるだけですよ!IS学園なんですから実際にISで決着を付ければいいじゃないですか!」
「望むところだ」「望むところですわ。それと宝条さん、あなたも参加するんでよ」
「……えっ!……はぁ、仕方ないか」
一夏がセシリアにハンデを提案する。
「ハンデはどのくらいつける」
「あら、早速お願いかしら」
「いや、俺がどのくらいハンデ付けたらいいのかなーと」
その瞬間、教室で一斉に笑いが起きる。現代では男性よりも女性の方が強いとされているのだ。
「……じゃあ、ハンデはいい」
ハンデの提案を撤回する一夏に対して永夢もハンデに対して提案する
「あの、僕はどれくらいつければいいかな」
「だから、ハンデはいらないと言っているでしょう!」
「……そう、オルコットさんがそう言うならそれでいいけど」
ちょっとチベスナ化した永夢だった。
その永夢の顔を見て自分がハンデを付けさせてあげようかとは言えなくなったセシリア。二人目の男性操縦者は謎が多い。下手にハンデを付けるのも実力を図るうえで邪魔になるというセシリアの思惑もあった。
「さて、話はまとまったな。それでは勝負は一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで行う。それと黎斗お前も参加しろ」
「子供の喧嘩ごときに私が首を突っ込む必要はないんじゃないのか?」
「山田先生から聞いたぞ。新しいガシャットが使えるようなったそうじゃないか。それを見てみたくてな」
「ふふ、そうせがまれては仕方ない。この私も参加しよう!」
(黎斗さん、煽てるとすぐ調子乗るんだから)
かくして永夢、一夏、黎斗、セシリアの代表決定戦が決まったのだった