エグゼイド&ゲンム in IS 作:Momochoco
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千冬の車でIS学園に向けて黎斗と永夢は移動していた。
黎斗は疲れたのか眠ってしまっている。これもバグスターの時では出来なかったであろう睡眠を満喫しているように永夢は見えた。黎斗がマイペースに寝ている間も永夢は千冬と山田と綿密な打ち合わせをしていた。これからの生活のこと、IS学園についてのこと、そして篠ノ之束についてのことだった。
「えっ!、織斑さんは束博士と幼馴染だったんですか!?」
「まあな。と言ってもあいつが失踪してからはあまり連絡を取っていないがな」
「じゃあ、IS学園とかに束博士が来ることはないってことですよね?」
「?ああ、たぶん来ないとは思うが……」
永夢は出来る事なら束博士に黎斗を会わせたくなかった。というのも黎斗はISを作った束に嫉妬しライバル心を燃やしていたからである。もし合えば絶対にめんどくさいことになるのは目に見えて分かることだった。それにこれは永夢の予想ではあるが、たぶん束博士も変人であると永夢の感は告げていたのである。
永夢の言葉に疑問を持った千冬が更に詳しく聞きたがって来る。
「どういうことだ?、お前たちは束に何か用事あったりするのか?」
「あ、そういうことじゃないんですけど……。実は黎斗さんがかなり束博士にジェラシーを燃やしていて会ったら絶対に喧嘩してしまいそうなんですよ。」
「……束に嫉妬するとは正気とは思えんな。そこで呑気に寝ている黎斗は実はすごい奴だったりするのか?」
「そうなんですよ、実は―――」
その言葉は永夢にとっては地雷を踏んだに等しかった。これまで永夢は黎斗の悪行三昧に散々、というか人生レベルで迷惑を受けている。これまではそれを愚痴にできる相手などいなかった。だが今は違う、異世界ということもあり、あと腐れなくもなく話せる相手がいる。
永夢はこれまでの鬱憤をすべて二人に話す。黎斗の悪行に自分がどれだけ巻き込まれてきたか、更にその黎斗の父親にですら酷い目にあったこともぶちまける。永夢の口は止まらなかった、最初は苦笑いで済ませていた千冬と山田だったが聞いてくうちに段々と黎斗の所業に引き始める。永夢も17歳に戻った影響なのか思っていることをどんどんと口に出していた。
結局、自分と黎斗の半生を重要な部分を除きほとんど話してしまった永夢だった
「それで最後に黎斗さんが残したこのガシャットを、余命半年になった僕が使ったら黎斗さんとこちらに来てしまったということです」
「「…………」」
「えーっと、どうしたんですか?」
千冬はハンドルから片手を離しこめかみに手を当てている。一方、山田は泣いているのか眼鏡をとりハンカチで涙をに拭っていた。
「いや、あまりにもすさまじい話に少し引いてしまってな……、安心しろ永夢、こちらの世界でこいつが暴れた時には束同様、私も一緒に止めてやる」
「……うぅ…永夢君は苦労してきたんですね。困ったことがあれば何でも先生に相談してくださいね」
「は、はぁ、それじゃあ、何かあったら頼らせてもらいますね」
そうこうしているうちに遠くの方に大きな建物が見えてくる。
「あの、もしかしてあの建物が」
「そうだ、あれがIS学園。世界で唯一のIS専門学校だ。そして永夢、これから君が学ぶ場所でもある」
IS学園。世界唯一のIS専門学校であり日本中いや世界中からIS操縦者を目指して多くの女性が来るまさに世界最高クラスの学園である。永夢はそのあまりの大きさとデザインに感服するのであった
車を駐車場に止め黎斗を起こし、IS学園に向かって歩いていると永夢があることに気付く。
「さっき、IS学園への持ち込みは検査を通さなければならないって言ってましたよね?」
それに山田が答える。黎斗は永夢の考えを察したのか神妙な顔つきをしていた。
「はい、危ないものでなければ大丈夫だと思いますけど……」
「僕達が持っているゲーマドライバーとガシャットはどうなるんでしょうか?一応、異世界のテクノロジーなので僕達が保管しておきたいんですけど」
「仕方ない、そこは私が玩具だと説明をする。黎斗の話ではこの世界では使えないらしいから誤魔化せそうだしな」
そんなので大丈夫なのかと思う永夢であった。
IS学園の検問所に着き、身体検査と持ち物検査が行われる二人。ガシャットとゲーマドライバーはゲームだと説明し検査にかける。
すると、ここにきてある重要な事実が発覚してしまう。
「織斑先生、その、永夢君が持っている荷物から『ISコア』の反応があるんですけど……」
もしかしてと思い千冬はゲーマドライバーを取り出し検査すると確かにISコアの反応が出てきた。
「このことは口外しないでもらいたい。私が直接聞いてみる」
一通り検査を終えた黎斗と永夢は充てられた会議室で千冬たちを待っていた。すると荷物検査を済ませた千冬が詰め寄ってきてISコアの反応が出てきたことをといただす。
「永夢、黎斗どういうことだ。お前たちが持っていたゲーマドライバーとやらからISコアの反応が検出された。何か知っていることはないのか?」
「黎斗さん、何かわかりませんか?」
「……考えられることは一つ。私達がこの世界の修正を受けて肉体が変化したように、ゲーマドライバーもこの世界に合わせて修正され変化した可能性がある。つまりはそれはゲーマドライバーではなくISを使うベルト、つまりは「ISドライバー」になったと言うことだ。だが、あくまで仮説。使って見ないことには分からないがな。まったく、私の最高傑作がISなどという下らないものに変化してしまうとは……」
一応納得する永夢と千冬と山田であった。
二人は全ての簡易検査を終えた後に来客用の部屋に通される。現在の時刻は既に9時を回っており会議やテストは明日に移されることになった。
ただ黎斗だけはゲーマドライバーの調子が気になるのかIS学園内にある研究機関の施設の一部に残ることした。
客室でさっと風呂に入り、食事をとり、すぐに布団に入る。永夢は今日は疲れたのですぐに寝ようと決めていたのだ
永夢は今日一日で起きたことを振り返る。自分の命を捨てるつもりで挑んだはずなのだが、今は健康体になり高校生にまで戻ってる。永夢はこれからどうするか少しだけ考えたが目標は前の世界と変わらなかった。
「この世界でも僕は医者を目指してみようかな……」
そう決めたところで永夢の意識は眠りに入って行ったのだった
◆
久しぶりに気持ちいい朝だった。前の世界では重病者であったため元気な状態で拝む太陽はより一層気持ちよく感じられた。
永夢は顔を洗い、用意してもらった弁当を食べると指定してあった会議室に向かう。
そこには既に山田と千冬がおり、黎斗の姿が見えなかった。
「あの、黎斗さんはまだ起きてきてないんですか。僕起こしに行きましょうか?」
「その心配はない。黎斗はすでに起きている、昨日の夜からな。ゲーマドライバーというやつにISコアが組みこまれていたことの調査とISドライバーの解析を徹夜でしているらしい。だから、永夢お前が黎斗の代わりにこれからの話を進めてくれ」
「わかりました。手早く済ませましょう」
IS学園入学と各国の報告を済ませていく。結局、黎斗共々IS学園に入学することになったのだった。黎斗は多分『もう一度高校に通うなど時間の無駄だァ』とかいいそうだが。
戸籍のない永夢たちが狙われずに安全に過ごせるには生徒になるのが条件なのだから仕方がない。
何とか12時前に必要な種類はそろった。
「午後からはお前たちの実力を見させてもらう、昼休憩後、準備が出来次第アリーナにてISの実技試験を取り行う、永夢も準備しておけよ」
「わかりました」
永夢は昼食の時間になったことを伝えるためと、どのくらい解析が進んでいるのか聞きに黎斗の元へ向かった。
研究室に近づくと大きな声で黎斗が笑っているのが聞こえる。永夢は黎斗の使っている研究室に入ると黎斗が嬉しそうにガシャットを掲げていた
「何か分かったんですか黎斗さん!」
「宝条永夢か。ついにISドライバーの解析が終わったところでね。ISドライバー内でバグスターウィルスは綺麗になくなり、ISコアがCPUとなるような機構に変わっていた。そしてガシャットを解析した結果、ガシャットの中身もISドライバーの規格に合わせた物に修正されている。今、私達が持っているこれらは既に仮面ライダーではなくISとして使えるということだ。これでISコアの解析が自由にできる。だあ――はははっはーはははは!待っていろ篠ノ之束ェ!必ずコアのすべてを解析してやろう!」
「……とりあえず、何か食べに行きましょう」
その後、永夢と黎斗は昼食を取りアリーナへと向かう。
そこにはISを纏った山田が立っていた。
「今回のテストの相手は私になります。まずどちらから戦いますか?」
「永夢、キミが先に行け」
「僕ですか、良いですけど……」
「これを使って戦うといい」
そう言ってゲーマドライバーとマイティアクションXを渡す。
「データを取るのは実戦が一番だ。それに私自身どうなるのかという好奇心もあるのでね……」
「あのー、IS借りて来ますけど打鉄とラファールどちらが良いですか?」
永夢は首を横に振り、ISを借りないことを意志で示す
「僕達は自分で用意したので心配ありません」
「自分で用意?わかりました。それではISを展開してみて下さい」
永夢は集中する。集中が限界人に達した所で一気にベルトにガシャット挿し変身をする。
「変身!!」
『レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!? アイム ア カメンライダー!』
永夢の体に装甲がをまとい二頭身の全身装甲タイプのISに変身する。山田もそのデザインに思わず言葉を漏らす。
「か、かわいい……」
それを観覧席で見ていた千冬は思わず絶句する。対して黎斗は自分の思惑通りに行ったことで笑みを漏らす。
「思っていたのと違うのだが」
「問題ありませんよ織斑先生、変身はもう一段階ある」
「大変身!!」
『レベルアップ!マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクションX!』
アリーナにに響き渡る音声と共にレベル1の状態から変形、また通常のISと同じような頭身のISに変化した。通常のマイティXと違い各部に装甲が追加、飛行能力もあるため完全に別物になっている。ただ顔のデザインやカラーリングなどはライダー時とあまりかわってないため、まさにISと仮面ライダーの融合した姿のようだと言えた
永夢はいつものセリフを決める。それに山田も覚悟を決める
「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」
「変わったISですね。でも、私も教員です。負ける訳にはいきません!」
ISの世界における永夢の初陣が始まる!