彼女の瞳を曇らせたい   作:Momochoco
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後はエンディングだけです


千冬に死ぬほど嫌われている話 Part6

 少年を拾ってから既に数年の時が流れていた。一夏には離れ離れに暮らしていた弟であると説明すると疑問を抱かずに信じ込み、今では仲の良い兄弟のような関係になっていた。最初は内気だった少年も千冬や一夏、そして束やその妹である箒など多くの人間との交流を通して様々な子を学び、徐々に明るさを取り戻していった。

 だがそれとは別に心配なこともある。その進化の早さであった。学習速度が異常であり現在は束の開発しているISとやらを、完璧に理解し開発に加われるくらいまで成長していた。

 

 一方、千冬の方は研究施設潰しを終え現在は普通に女子高生として生活している。強いて言えばバイトを始め、一夏と拾った少年を養うことをしていた。一応は慎ましく暮らせるだけの金がない訳ではない。だがあまり公に使えない金のため出来るだけ千冬が稼ぐようにしているのである。

 

 この日、千冬は疲れに疲れ切っていた

 バイトに学業、部活動と休む日が中々取れずにいた。

 そんな訳で足取り重く自宅に向かって帰路についているところだった。

 

「ただいま……」

 

 そう言ってアパートに入った瞬間、電気がついてないことに違和感を覚える。すると廊下の奥から、何か目隠しのようなもの持った一夏が出迎えてくれた。

 千冬は何ごとかと焦ったが、どうやら一夏達の仕業だと分かり一安心である。

 一夏をは持っていた目隠しを千冬に渡す。 

 

「あかえり。千冬姉。悪いけど目隠しして居間に来てくれる?」

 

「……疲れてるんだがな。分かった少しだけ付き合ってやろう」

 

 正直バイト終わりで疲れていたが一夏たちの計画とやらを無碍にはできない。

 そう言って目隠しをした千冬の手を取った一夏は今に案内する。

 

「もう目隠し取っていいよ。千冬姉」

 

 そこに映っていたのはすでに出来上がった料理と綺麗な苺のホールケーキであった。

 そこでやっと今日が自分の誕生日であろう日だったことを思い出す千冬。

 嬉しくてつい目から涙がジワリと溢れていく。

 弟の少年は満面の笑顔で千冬に話しかける。

 

「「姉さん(千冬姉)誕生日おめでとう!」」

 

この時に千冬は初めて気づく、そう言えば今日は自分の誕生日であったと。

 

「料理は兄さんが、ケーキは僕が作ったんだ……食べてくれる?」

 

「あ、ああ勿論だ。少し感極まってしまってな。よしそれじゃあみんなで食べよう」

 

 三人でとる食事は一段と美味しく感じられた。

 最後にデザートとしてケーキが切り分けられる。感想を聞きたくてうずうずしている少年を横に、千冬は大きな一口でケーキを口に入れる。

 

「どう、おいしい姉さん?」

 

「ああ、とっても美味しいぞ。一夏もこれだけの料理をよく用意してくれた。二人とも本当にありがとう。私にとって今日は最高の誕生日になった!」

 

 心の底からの千冬の言葉に青年は嬉しいのか笑っていた。一夏も顔には出さないが嬉しそうではある。

 この日は織斑家全員が笑顔になった日であった。

 

 

「そんなことが」

 

 千冬や青年の思わぬ生い立ちに驚愕するシャルロット。

 千冬の喋った内容に思わずショックを隠し切れない。

 

「これが私達の過去だ。そしてここからがお前が知りたがっていた『誘拐事件で何があったか』そして何故『誘拐事件から邪険に扱うようになったのか』について話す。覚悟は良いな?」 

 

「はい」

 

 

 ISの登場と白騎士事件が全てを変えることになる。

第二回モンドグロッソ当日の日。千冬は束からの情報提供により一夏と少年が捕まったことを知る。試合を放棄し一目散に監禁場所へと向かう

 そこには拘束され意識を失った一夏と、複数の通常IS、そして全身装甲の異様なISが立っていた。

 対峙した千冬は怒りを露わにし、質問をぶつける。

 

「お前たちは何の目的があってこんなことをする」

 

 その問いに対して全身装甲のISが前に出る。そして顔のマスクを解除すると素顔があらわれた。

 そう見知った顔。金色の髪に青い目をした少年。そこにいたのは自分の弟である少年であった

 

「何で……お前が!!」

 

「目的は一つ。ここに束さんと姉さんをおびき寄せ両方始末、その後兄さんを殺すためだよ。そうすればこの人類最強の称号は僕になる。それってとっても素晴らしいことだと思うんだ」

 

「私は……私はお前のことを本当の家族だと思っていた!いまからでも遅くはない踏みとどまれ!」

 

「ああ、あの家族ごっこか……本当に下らなかったよ。僕にはどうやら天災の遺伝子も混ざってるみたいでね。退屈なことが嫌いなんだ。必要なのは思い通りに動く世界と僕だけで良い」

 

 千冬はあれだけ愛していたのに、気づかないうちに変わっていたことにショックと不甲斐なさを感じる。だがそれでも一緒に暮らしてきた家族で愛している。だから本当は戦いたくない。自分や一夏を欺いてきことへの憎悪と家族として過ごした愛情の二つが交差する。

 …………やるしかないのか。もっている剣に力を込め。最後の問いかけをする。

 

「本当に止まれないんだな…………」

 

「うん」

 

「なら私が止めてやる。家族として」

 

「僕に家族はいらない。必要なのは強さだけだ。来なよ、力だけの無能の失敗作が」

 

 それからISを使った戦いになる。完成された存在に苦戦を強いられる千冬だったが、救援に駆けつけた束とドイツ軍のおかげで何とか鎮圧するっことに成功する。

 だが決して喜ぶべきではない。何故なら最愛の弟が天災の遺伝子に目覚めてしまったのだか。

 

 

「…………」

 

「その後、私は元通りの家族に戻ることを望んだ。そこで束の技術を借りてあいつの記憶と性格、能力を封印、改竄した。そのおかげで今は一般人として暮らしている。勉強や運動が出来ないのも封印によるものだ」

 

「それならどうして邪険にあたるんですか!」

 

「改竄も封印も完璧ではない。きっかけさえあれば何かの拍子に戻ることもありうる。そのきっかけとなるのは過去に体験した現象をもう一度体験することだ。だから私は過去とは正反対の虐待ともいえる行為をしている。優しかった頃の私の記憶を思い出させないためにな。」

 

 青年を苦しめることで記憶を取り戻すことを阻止できる。優しくすれば最悪の天災としての記憶を取り戻す。

 その事実にシャルロットはなにも言えなくなる

 

「私はあいつを憎んでいると同時に愛してもいる。だからこそあいつにはああいう仕打ちをしているんだ。だがシャルロットお前が学園に来てあいつに優しくしたことで過去の楽しかった記憶を取り戻しそうになってしまった。今回のあいつの体調不良がその証拠だ。今は薬で誤魔化しているがいずれは束に再度処置をしてもらうつもりでいる。無理にいじめる必要はない。あいつから手を退け。そうすれば私と一夏とあいつはずっと家族でいられるんだ。さぁ、シャルロットお前はどうする?」

 

「僕は…………」

 

 




ここももっと詳しく書きたかったです


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