彼女の瞳を曇らせたい 作:Momochoco
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01/16 12:30 加筆修正しました
というかうまい具合に表現できず困ってます
シャルロットは言った。自分は罰を受けることに依存していると。
ラウラは思った。その通りだ、罰を受けることであいつとの関係を感じることができたし何より罪を犯した自分が救われていくような感じがしていた。
このままではいけない。今、彼の足が治れば罪は無くなりラウラは再び孤独になることへの恐怖にとらわれてしまう。
足の治療法が見つかったということを伝えるのは決して簡単なことではない。それを言ってしまえば関係が変わり、元の状態には戻れないかもしれないからである。ラウラは廊下を行ったり来たりしながら思い悩む。どうするべきか考えれば考えるほど頭の中に熱が籠っていく感覚がする
一旦、風でも浴びて考えをまとめるかと寮の屋上に向かうのだった。
屋上には夏手前の心地良い風が吹いていた。備え付けられているベンチに座り空を眺める。昼は快晴であったため雲がなく月と星々がよく見えた。
大きな夜空の下の小さなベンチで頭を下げ考える。
(私は一体どうすればいい?どうすればあいつは私の元にいてくれるんだ。他の奴なんてどうでもいい。それにこの感情が醜いなんてことは百も承知だ。それでも欲してしまう。)
そしてラウラはある決心をする
(それならいっそ罪に塗れてみてはどうだろうか?……ああ、そうだ私はもう罪人だったんだ。悔いはない。何としてでもあいつのすべてを……)
ラウラの目はドブ川のようにくすみ淀んでいた。ラウラは決めたのだ、何が何でも彼を自分のものにして手元に置き一生尽くすことを。
ラウラの覚悟は決まった。自分の本当に欲しいもののためなら何でもするという意思が。血にまみれ、嫌われ、蔑まれようとも今のラウラは止まる気はなかった。後悔だけはしないようにとシャルロットは言った。今こそ後悔しないために全力を尽くす時だ。
覚悟を決めたラウラは実行の準備を整えるために格納庫へと向かう。
◆
青年は一人部屋で備え付けの勉強机に向かい課題を処理していた。青年は運動も勉強もそこそこできるだけの普通の男子学生である。だが、一つ違いがあるとすれば普通の男性には扱えないISと言われる兵器が扱えることであった。そのため半ば強制的に子のIS学園に入れられた。
最初は上手くいっていた学園生活だったがある日事件が起きる。暴走したISから友人を守るために戦い下半身不随という障害を負ってしまったのだ。非がないとはいえ暴走したISに乗っていた少女ラウラ・ボーデヴィッヒは償うように青年のために尽くしていた。
(正直、迷惑なんだよな。勝手に殺しかけといて、次は勝手に手助けをする。その程度のことで許せるわけないだろ。足を奪われたんだぞ。……まあ、本当は関わりたくもないんだけど、周りの目もあるし無碍にはできないよなあ……)
ラウラ・ボーデヴィッヒは四六時中青年の世話をしていたが、逆にそれが青年にとっては窮屈で仕方なかった。病的なほどに自分に対して尽くす姿は気味が悪いことこの上ない。出来る事ならもう関わらないで欲しいと思う。それくらいあの時の殺人未遂は青年の心に消えないトラウマを残したのだ。
ただしそのことを表に出すことはない
自分の障害をひけらかすようで嫌だったし、別にラウラをいじめたい訳でもなかった。
ただ自分に対して不干渉になってくれればそれで良かった。
そんなことを考えている青年の部屋にチャイムの音が鳴る
「誰だろう……はーい、ってボーデヴィッヒさんか、どうしたの?」
「晩飯だけでも一緒に食べようと思ってな……ほら、今日はずっと会っていなかったから。夜だけでもと思って」
「そうなんだ。それじゃあ一緒に食べに行こうか」
「いや、たまには私が作ろう。少し時間がかかるが待っててもらえるか?」
断りたい。率直に青年はそう思う。
誰が好き好んで敵である相手の料理を食べようか?
こうして相手に尽くすことが贖罪になると思っているのならそれは間違いである。
青年はラウラのことを自分よがりな存在だと思っている。
少しだけ青年は拒絶の反応を見せる
「……ボーデヴィッヒさん、あんまり無理をしない方が良いよ?僕のことは良いいから食堂にでも行って来たらどうかな?」
「問題ない。お前は黙って座っていればいい」
「な!?僕はボーデヴィッヒさんを心配して……」
「いいから待っていろ。三度目は言わないぞ」
明らかにラウラの語調が強くなっている。目も転校初日の時のような鋭い目に代わっていた。怒りよりも単純に恐怖が湧いてくる。青年は渋々といった表情で仕方なく引き下がる。
それから数十分してから料理が出されてくる。
決して手はそこまで込んでいないもののそれでも食欲をそそる香りが立つ。
備え付けのテーブルに向かい合うように座った二人。
「「いただきます」」
青年もなんだかんだ言いながらラウラの料理をおいしく食べていた。料理に罪はないのである。青年の食べる姿をじっと見つめ薄ら笑いを浮かべるラウラ。気持ち悪いと青年は思った
「あの、ボーデヴィッヒさんは食べないの?」
「実はお前には話さなければならないことがあるんだ」
「ふーん、話さなければいけないこと?って」
「……お前の足を治す方法が見つかったんだ」
その瞬間むせてしまう青年。ラウラは用意していたお茶を青年に差し出す。疑いもせずお茶を飲んでしまう。
急なことでビックリしたがよく考えれば本当かどうかの確証はない。
「んぐ……ごほっ、ごほっ……ふう。それって本当のことなの?」
「ああ、織斑先生から直接聞いたことだ。間違いはない」
「そっか……嬉しいな……」
青年は心からの笑みを浮かべる。また自分の力で歩けることにだ。それと、もうラウラともかかわらずに生活できることも嬉しかった。
だが歩けるようになると話したラウラの顔をは決して楽観的なものでなく、むしろ苦虫をつぶしたような表情をしていた。
怖い。青年は恐る恐るラウラに問いかける。
「ボーデヴィッヒさんは……嬉しくないの?僕が歩けるようになったことに不満でもあるの」
「……私はお前と一緒にいたい。ただそれだけだ。だからお前の足が治ってしまったら私は必要とされなくなるんじゃないかと不安で仕方なかった。」
「……そうだね。でも、これでボーデヴィッヒさんは僕のことを気にかけずに済むじゃないか!」
「それが嫌だと言っているんだ!お前の側には私が必要だ、今までもそしてこれからも
だからお前の足を奪い私自身の罪をもう一度作る。今度は一生消えないような奴を」
ボーデヴィッヒさんがそう言った瞬間、体に力が入らなくなりそのまま車椅子に座った状態で動けなくなった。
どうやら料理に何らかの薬を仕込んだらしかった。
何を言っているのか理解できない。遂にはボーデヴィッヒさんの頭がおかしくなったのか?
どちらにしろこのままではマズイ!何とか助けを呼ばないと!
そう思い口を開けた瞬間に手際よくタオルを巻かれ声を封じられる。
「ん!?ぐっ!!!!」
必死に呻く青年をまるで子供をあやすような声でラウラが語りかける
「大丈夫、足の健を切って二度と歩けなくするだけだ。なにも心配はいらない。そしたら私が一生面倒見てやるから……だから安心して待っていてくれ」
青年を担いだラウラはベッドに投げ捨てた後、持っていたリュックから様々な器具を出していく。
ペンチ、のこぎり、ハンマー、ドリル、全てが物騒なものであった。
その中で注射器を取り出し青年の足に打つ。すると鈍くあった感触は完全に消え去り、まるで腰から下が無くなってしまったようだ。どうやら部分麻酔のようであったらしい。
感覚がなくなったことでより一層、恐怖を感じてしまう。
「……これから目隠しをする。全てが終わったら一緒にドイツに亡命しよう。一応匿ってくれる充てもあるし、私の貯えもある。私がお前の世話をし、お前は私の側にいてくれるだけで良い。すまないが一生かけて付き合ってもらう……」
青年は目隠しをされた。何も見えない暗闇の世界。聞こえるのはラウラの荒い息遣いと自分の早くなる鼓動だけであった。恐怖という感情が体全体に溶けていく。
そしてついに肉が裂ける音と金属のぶつかる音が静寂を破った。
痛みはないが分かる。自分の足が切られ、抉られていくことに。
(今、僕の足が切られているのか……何で……何でこんなことに!僕が一体何をした!友達を救った代償がこれなのかよ!嫌だ、こんな人生!もう嫌だ!誰でも良い助けてくれ……頼む……)
その願いは決して届くことはなかった。
そして青年の足は完全に動かなくなる。
それでも青年の屈辱は続く。
これから先、ずっと自分の足を二度も奪った存在に依存しなければ生きられないのだから。
Ending:B
Ending:Cは時間があれば書きたい
Cの方が酷いかも