アイドルホースが力強く前のライバルへ迫るたびに、ファンの歓声が湧き上がる。ゴール前のデッドヒートに参加した5頭の中から、白毛のハヤヤッコがライバルをねじ伏せ、差し切ってみせた。白毛馬として、JRA重賞初制覇の偉業を果たした。
乗れている田辺の好判断が光った。この勝利で田辺は重賞騎乗機会4連勝を達成。自身の成績には「何が起こるか分からないから浮かれないように」と、気持ちを抑えてきたが、白毛の重賞初Vには「乗れる機会も少ないし、乗れるだけでもうれしいのに、重賞を勝たせてもらって。歴史に名が残るのは光栄です」と、素直によろこんだ。国枝師も「田辺君がよく考えてくれた。先行しようかと話していたけど、ペースが速いから自分の位置から外に出して、スムーズに走らせてくれた」と、鞍上の好判断を絶賛した。
先月25日に新潟競馬場入り。現地での調整を選択したことも功を奏した。「新潟調整が良かったかな。暑い中でもいい調整ができた」と、指揮官の好判断もファインプレーの一つだった。
レース前は2勝クラスで抽選の身だったが、この勝利で大舞台出走への第一歩を力強く踏み出した。国枝師は「この先もダート。使うレースは限られてくるし、オーナーと相談していく。さすが金子さんの馬。本当にかわいい馬」と、満面の笑み。もうかわいいだけじゃない。タイトルホルダーとして、秋の大舞台へ殴り込みをかける。(米内宏一郎)