京アニ放火被害者遺族

警察は報道機関に、死亡した人の名前を報告する義務がある。それを報道するか決めるのは報道機関次第。警察ができることは、遺族が名前を公表しないでくれと言っていると、報道機関に伝える。それだけしかできない。と間違いなく言われました。

何も恨みたくないのに八つ当たりしかできないことが悔しい。犯人サイドにだって善良な親族やいい人もいるってわかっているのに。

正直犯人がとても憎い。憎くて憎くてたまらない。あんな凶悪な事件を起こす人格を形成するにあたって、負の意味で関わったすべての人間に苦しんでほしい。幼稚でドス黒く最低な気持ちがあります。相手の家族や親族をいたわる余裕なんて一ミリもない。

こればかりは考えてみても答えがだせません。加害者のことやその親族、知人を気遣う余裕はありません。ただ、被害者遺族としての気持ちを綴っているだけです。

今回は有名な会社であり有名な監督もおられるので、実名の公表に意義もあるかもしれませんが…。普段から犯罪被害に遭われた方のプライバシーを覗き見することに意義は感じていませんでした。今回、被害者遺族となってみて改めて実感したので声を上げています。

情報を得たことはもちろんあります。得るというよりも、勝手に入ってくるといった感じですが。正直事件の概要に興味を抱くことはあっても、被害者の名前や顔に興味はありません。次のことを考えた瞬間には忘れます。赤の他人にとっては被害者の実名なんてそんなものなのです。

いつも思っていました。レイプ被害で殺害された女性の名前や写真をなぜ公開するんだろう。なにかいいことがあるのだろうか。残された遺族に今のお気持ちは？とマイクを向ける必要はあるのだろう？と。報道することは大切だと思います。でも、心が追いつかないんです。

名前を出されることで、亡くなった家族の中途半端な知り合いがインタビューに答えたり、卒業アルバムの写真や文集をもちだされたり、どんな人物でどんな生き方、学歴だったのかを探られるかもしれないんです。しんどすぎる。本人の出されたくない話や写真が歩きしていくかもしれない。

でも、家族を失ったこの後に及んで、報道の自由だとかジャーナリズムに配慮できるほど、余裕がないのです。すみません。

むしろ事件当初は家族の安否がわからず、連絡もつながらず非常に歯がゆい思いをしました。そのためリアルタイムでの報道やツイッターでの現場の情報はとてもありがたかったです。報道を否定していません。有り難いとおもっています。

このような主張をしたところで、公表されるときは公表されるんです。でも、嫌な気持ちになる遺族が存在することを知ってほしいのです。

マスコミへの過激なヘイトや批判をしたくてこのアカウントを作ったのではありません。ただ単純に、名前を公表されたくない遺族の気持ちをわかってほしいだけなのです。報道機関が悪意をもって名前を公表しようとしているとは思っていません。仕事ですから。

義務があるかどうかの真偽はわかりません。しかし警察の方にはっきりと言われましたよ。警察は報道機関に被害者の名前を報告しなければならないと。間違いなく。むしろ義務でなかったなら拒否できていたのですね。知らなかった。残念すぎます。

どんなに怖くて苦しくて悲惨な死に方をしたのかなんて、名前付きで他人に知られたくありません。本当に。それを知るのは家族だけで十分だと思ってしまいます。氏名の公表を同意された遺族の方々も、また別の観点からしっかり考えた上で判断されていると思います。公表の判断は遺族にまかせてほしい。

公判になって名前が出るのはもうどうしようもないので受け入れます。が、現段階でこの事件にさほど関心がない人の目にまで名前が知られ、インパクトを与えるのが耐えられないのです。こればかりは体験してみないと分からない気持ちかもしれません。

京アニサイドは、遺族同士のプライバシーも現在守っている状況なのです。少なくとも家の家族への対応はこうなっています。よそは知りませんが。そして遺族の実名報道を避けたいという気持ちを尊重すると言ってくださっています。

直接のリプライでトラブルになりくないのでお答えします。すみません、25人全てというソースはありません。訂正いたします。中には確認が間に合わなかったという方もおられるかもしれません。遺族である我々ですら、残りの25名は誰が亡くなっているのか京アニから聞いておりません。