今回は、本坊酒造 マルスウイスキーから駒ヶ岳リミテッドエディションを飲んでみます。

3年以上熟成、バーボン樽、ホワイトオーク樽のヴァッティング

koma2018_「駒ヶ岳」は、マルス信州蒸溜所のモルトのみを使ったシングルモルトのブランドです。

1985年に建設された蒸溜所は、ウイスキーの消費低迷と採算が合わないことを理由に1992年に操業を停止しました。

その後、熟成がされていた原酒を元に、数量限定でボトリングをして販売したのが「駒ヶ岳」で、1996年に発売した「モルテージ駒ヶ岳10年」が最初でした。

ハイボールを起爆剤としたウイスキーの消費が拡大し始めたことを契機に、2011年にマルス信州蒸溜所の操業を再開、2015年に、再開後に蒸溜、3年間の熟成を経た原酒をベースにした「ザ・リバイバル2011シングルモルト駒ヶ岳」を発売しました。

現在では、2011年以降に蒸溜、熟成させたモルトを使うものの他、1985~1992年に蒸溜、熟成させたモルトのボトル、それらをヴァッティングしたもの、さらには新たに建設した鹿児島県の津貫蒸溜所で熟成させたもの、屋久島に建設した貯蔵庫(屋久島エージングセラー)で熟成させたものなど、数量限定であるものの、多種多様なボトルをリリースしています。

今回のリミテッドエディション2018では、マルス信州蒸溜所で3年以上熟成させたバーボン樽原酒、ホワイトオーク樽原酒をヴァッティングしてボトリングしたものになります。

若い原酒とは思えない豊かな香り、まろやかな味わい

では、ストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色はシャンパンゴールド、香りはリンゴとレモンが混ざったようなものを感じます。

口に含むと、口いっぱいにリンゴの香りが一気に広がります。奥からはほのかにピートのスモーキーさも漂い、奥からレモン、樽香がついてきます。
味わいは、じわっとくるようにアルコールからの辛さが感じられますが、尖った印象は少なく、比較的飲みやすいです。全体的には酸味が主体で、甘さが後から伝わってきます。

ロックにすると、石けんのようなフローラルな香りが広がります。それが落ち着くと、リンゴ、レモンが残り香となります。
味わいは、渋みが表に出てきますが、程なくして甘さ、酸味、うま味がミックスされるように覆っていきます。全体的に柔らかくて飲みにくいと感じられません。

ハイボールでは、飲み始めから黒こしょうやシナモンのようなスパイシーな香りが先行し、石けんのフローラルな香りを経てリンゴのフルーティさへと遷移していきます。
その奥ではほのかなピートのスモーキーな香りも得られます。
味わいは、多少の苦味を持つものの、酸味、甘みの方が若干強い印象です。

おそらくは3~6年熟成のモルトを使っていると思われますが、それにも関わらずアルコールのとげとげしさが少なくて飲みやすく、かつ香りの強さも申し分なく、下手な12年熟成のシングルモルトにも勝る印象を感じます。

700mL、アルコール度数48度、価格は8200円ほど。
ただ、昨年発売でプレミアがついていて、私が購入した際には15000円ほどでした。

<個人的評価>

  • 香り A: ストレートでリンゴが強くレモンが続く、加水でフローラルさが目立ち、スパイシーな香りも現れる。
  • 味わい A: 若い原酒でありながらもとげとげしさが少なくてまろやか。柔らかい酸味と甘み。加水でビターが出るが、心地よさを阻害するほどでない。
  • 総評 B: 値段の高さがネックだが、若い原酒で高い熟成感を出せるのは驚異。