人生には常に負荷が伴う。


人生=負荷の連続




あの徳川家康が言った。


人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。



重荷を負うて生き続けなければならない人生。


そのような人生を子どもたちが歩んで行かなければならない上で、教育とは何であろう、教育には何が必要なのであろう。



それは、

子どもたちから、負荷を取り除くことなのだろうか?

いや、それでは大変なことになってしまう。親に守られているうちは、それでもいいのかもしれない。しかし、やがて子どもたちは親もとを離れ、独り立ちしなければならない時が必ず訪れる。

その時、負荷を取り除かれた教育を受けた子どもと負荷を受けながら、それをどう乗り越えていくかを経験し術を学んだ子どもとどちらが社会に適応していくのだろうか。



言わずもがな。




私は過保護と放任は同様の類だと考えている。どちらも子どもの為にはならない。どちらも大人の都合にしか、私には思えない。



私たちは常套句としてまるでわかったかのような口調で

「時代の流れだから」「時代の流れにのる必要がある」「時代が求めていない」「時代錯誤である」「世の風潮からズレている」「時代おくれである」とすぐに言いたがる。


果たしてそうなのだろうか。



確かに「時代を読む力は大切である。」

しかし、上っ面だけを見て、その深さを知らず、または考えもせず、知ろうともせず、あたかもわかったかのように「時代の流れだから」と言い切ることに危険を感じる。



そういう集団心理が私たち人類が最も避けなければならない戦争を時代は平然と行って来た気がしてならないと考えるのは私だけであろうか。


歴史を振り返った時「時代の流れに抗い、批判されながらも戦争反対を貫いて来られた先人のまさに時代を見る目」に今一度耳を傾けなければならないのではないだろうか。

それを「時代の流れ、世の風潮」というわかったかのような語り口で一刀両断していいものなのだろうか。


本当に大切なものは果たして「時代の流れの中にあるのだろうか。」


そもそも

時代の流れとは何だろう。

時代の風潮とは何だろう。

そこに実態は存在していない。






では、敢えて風潮という言葉を使用するが、

昨今の教育界の風潮に

子どもに負荷を与え、それをどう乗り越えるか。どう回避するか。どう向き合うかを教えるのではなく、負荷そのものを取り除くことが教育であると勘違いされているように思えてならない。


確かに負荷を取り除いてあげなければならない場面はある。しかし、それはあくまでもケースバイケースであって、負荷を取り除くことが教育だとは決して思えない。


親からの自立こそが最も大切なことである。であるとしたら、負荷とどう向き合うかを考え、そこからどう未来を切り開き先へ進んでいくかを学ぶ学校でありたい。


それぞれの発達段階に合わせ、

小学校は小学校として、

中学校は中学校として、

高校は高校として、

また、それは地域の特性によっても変わるであろう。学校の特性によっても変わるであろう。集まる子どもの特性によっても変わるであろう。決して画一化出来るような単純なことではない。


何よりも多様性が求められるものである。




生物の歴史を振り返っても、多様性を持てなかった生物は絶滅している。


多様性が如何に重要なものであるか、

考えさせられる。



白と黒。右と左。上と下。画一化した方が安易な秩序は作りやすい。が、その結果、何が起きるか。これまた歴史を振り返ればわかることである。


自分自身を大切にしたければ、画一化された社会作りではなく、多様性のある各自の個性が認められる寛容さを手に入れた社会作りをする必要がある。




その為には負荷をご丁寧に取り除いてあげる教育ではなく、負荷とどう向き合うかを教える教育が必要なのではないだろうか。




私がお伝えしたいことは、こういうことである。








美咲たちは、

音楽作りの過程の中で、当然かかってくる負荷とどう向き合い、どう皆で力を合わせ乗り越えていくか、最終的には自分自身がどうするかを考えながら練習に臨んでいる。この過程から学ぶことはあまりにも大き過ぎるものである。親から自立した時に美咲たち自身の自信となることであろう。

教育ってこういうことなのだろうな、と美咲たちを間近に見ていて感じる。



毎年感じる。

生徒が持つ力、可能性は無限である。それを大人が自分の狭い経験の中で決めつけてはならないと。



本日も負荷と向き合い、皆で力を合わせて、そこからどう先へ進んでいくか。


自分から逃げずに生徒と共に顔晴りたい。



今日は市船吹奏楽部の仲間、旭川商業高校吹奏楽部のコンクールである。


本番で、思いっきり旭商を表現して来てほしい。



関東の地より応援しています。