愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の実行委員会は3日、元従軍慰安婦を象徴した「平和の少女像」などの展示を同日までで中止すると発表した。委員会会長の大村秀章・同県知事が記者会見して、明らかにした。
少女像は国内の美術館やイベントで近年、撤去や公開中止となった作品を集めた企画「表現の不自由展・その後」の一つとして出品された。実行委は少女像だけでなく企画全体の中止を決めた。
芸術監督を務めるジャーナリストの津田大介さんが2日、事務局にテロ予告や脅迫ともとれる抗議電話が殺到しており「安全面の懸念がある」と説明していた。大村知事は3日の会見で「ガソリン携行缶を持って(会場の)美術館に行く」との京都アニメーション放火殺人事件を連想させる内容のファクスもあったと明らかにした。
大村知事に続いて会見した津田監督は「想定を超えた抗議があり中止となった。表現の自由を後退させる事例をつくってしまった」と述べた。
あいちトリエンナーレは2010年から3年ごとに開かれている国内最大規模の芸術祭で、1日に開幕した。名古屋市の河村たかし市長は2日、大村知事に抗議文を出し少女像などの展示中止を要求。文化庁の補助事業でもあり、菅義偉官房長官も同日の記者会見で補助金交付を慎重に判断する考えを示した。