研究機関にも納品実績のある重箱式巣箱の作り方を紹介します。まずは捕獲に使う小さな構成の待ち箱をたくさん作りましょう。
重箱式巣箱は週末養蜂にぴったり
ミツバチは巣箱(養蜂箱)で飼育します。
ニホンミツバチの飼育では、巣箱を「手作り」します。また、巣箱の寸法も人によって異なります。手作りした巣箱でニホンミツバチが飼育できるのは面白いですよね。
ニホンミツバチの飼育に使う巣箱は、色々なタイプがありますが、初心者の方には重箱式巣箱をお勧めします。
趣味でニホンミツバチを飼育するほとんどの人が重箱式巣箱を使用しています。
重箱式巣箱での飼育方法を教えてくれる人や、インターネット上に参考となる情報も多いです。
重箱式巣箱の採用のメリット
- 作るのが簡単
- 飼育の管理が楽
- 採蜜が行いやすい
- 多くの人が使っているので情報が豊富
まずは重箱式巣箱で捕獲にチャレンジすることをお勧めします。
重箱式巣箱の構造を動画で紹介しています。
何よりも巣箱が大事
オオスズメバチにやられた、暑さで巣落ちしてしまったと、トラブル続きの人も多いですが、その原因の1つは巣箱ではないでしょうか?
重箱式巣箱の飼育は、基本的に放任養蜂です。
飼育といっても、野生のミツバチが勝手に巣箱に住み着いている状況に近く、人間ができることは限られています。
ニホンミツバチに快適に暮らしてもらうためには、何よりも巣箱が重要です。
例えば、巣箱の入り口を天敵のオオスズメバチが侵入できない構造にする必要があります。
このようなポイントを抑えることで、ニホンミツバチが快適に暮らせる巣箱となります。
反対に、ポイントを抑えられていない巣箱では様々な問題が起こります。
重箱式巣箱での飼育の問題の多くは、飼育技術の問題ではないのです。
巣箱が悪いとどんなにベテランの飼育者でもうまく行きません。
この巣箱は、放置しておいてもうまく飼育できるようになっているので、初心者でも安心です。
この巣箱の5つの魅力
- アカリンダニ対策が可能
- オオスズメバチ対策もバッチリ
- 底板にゴミがたまらない
- 暑さに強い
- 内部の点検も簡単
詳しくは、重箱式巣箱での飼育は巣箱の出来が命です。安かろう悪かろうは絶対にダメです をお読みください。
ニホンミツバチの捕獲では、2段式の巣箱で十分
ニホンミツバチが入居するまでは、作らなくて良い部分があります。
まず、台の部分や屋根の部分が不要です。
また、捕獲する段階では、箱も2段重ねたもので良いです。秋までに巣も大きくなり、ハチミツが貯まると、4段以上積み重ねる必要があります。
2段だとニホンミツバチにとっては手狭だと思いますが、分蜂の捕獲には影響がありません。
4段で1つ巣箱を設置するよりも、2つに分けて2段のものを2箇所に設置する方が、捕獲できる見込みは確実に高くなります。
捕獲用のニホンミツバチの巣箱を「待ち箱」と呼びますが、待ち箱はこのような小さくても問題ないのです。
まずは待ち箱をできるだけたくさん作りましょう
その他の部分は、ニホンミツバチが捕獲できた後からすぐに作れば間に合います。
このページでも、まず待ち箱の作り方をご紹介します。
重箱
それではいよいよ作り方を紹介します。
巣箱の基本となる部分です。1つ1つの寸法は、外側290×290×150mm、内側220×220×150mmです。杉板の厚さは、35 mmです。
板が薄いと断熱性に問題がありますし、スムシというミツバチの巣をエサとする幼虫に巣箱に穴をあけたときに、板を貫通させられることもあります。
また、オオスズメバチは巣箱をかじって中に侵入しようとします。薄い板を使うと食い破られてしまうことがあります。
35mmの板厚なら安心ですし、断熱性も高いです。
この部分の作り方は、3つの動画を使って説明しています。次の動画をご覧になってください。
重箱式巣箱の寸法の紹介
重箱の組立の様子-1
重箱の組立の様子-2
まず、幅150mm、長さ255mm、厚さ35mmの板をたくさん作ります。
このとき、スライドノコという機械を使用して正確に切断しています。
幅150mm、長さ255mm、厚さ35mmの板に直径3.2mmの穴をあけます。
右の3つ縦に並んだ穴は、木ネジを貫通させるための下穴です。
中央の穴は、巣落ち防止棒用の穴です。
まっすぐ穴をあける必要があるため、ボール盤を使って穴をあけています。
木ネジは、縦に3つあらかじめ開けた下穴を利用します。
力がかなり必要なので、インパクトドライバーがなければ、木ネジで固定できません。
もしお持ちでない場合は、釘で代用されるとよいと思います。
板の向きは、木裏(木の中心部)を外側にすると、気温の変化木の水分の変化による変形が抑えられます。
以前は木表を外側にしていましたが、2008年ごろから木裏を外側に統一しました。
十字に取り付けられている針金は、巣が自重で落下してしまわないためのものです。
このような棒は、落下防止棒などと呼ばれ、一般的に重箱式巣箱に取り付けれています。
巣門枠
巣門枠は、巣箱の出入り口を作るための枠です。重箱を底板に直接乗せると、出入り口がなくなります。
そこで、巣門専用の部品である巣門枠を用意し、底板の上に巣門枠を置き、さらにその上に重箱を置きます。
巣門枠は、重箱と縦と横の寸法は同じで、外側290mm四方、内側が220mm四方です。
高さは重箱の3分の1の50mmです。高さはそれほど重要ではありません。30mmでもいいですし、70mmでも問題ありません。
枠の下側を削ることで巣門を作ります。巣門の高さは7mmです。
これは、夏から秋にかけてニホンミツバチの巣箱を襲撃するオオスズメバチ対策です。
ニホンミツバチは自由に通ることができ、オオスズメバチは通ることのできない高さにします。
巣門の幅は、ある程度広いほうがよいです。目安として、100mm以上確保します。
巣門が狭いと渋滞が起こります。また、気密性が高くなりすぎるので、暑さと湿気に弱くなります。
特に夏場は、巣門が小さすぎるとよくありません。
捕獲時には問題ないのですが、巣門が大きいとスズメバチなどが巣箱の中に巣を作ることがあります。
特に理由がない場合は高さ7mmで巣門を作ってください。
巣門の部分の作り方は、次の動画を参考にしてください。
重箱式巣箱の寸法の紹介 巣門の部分
底板
底板は、文字通り巣箱の底になる板です。重箱には底がないので、板が必要となります。
耐久性はそれほど求められないので、合板でも問題ありません。
鉄製台のような専門の台を使わない限り、底板は巣箱より大きければ、どのような大きさでも問題ありません。
天井部分
最上段には、スノコの板と天井板を取り付けます。
下の天井部分の構造図の、黄色の部分がスノコ板です。スノコの板を取り付けるのは、採蜜をしやすくするためです。
また、日本中で被害が出ているアカリンダニというダニへの対策で、メントールを巣箱に入れる際にはスノコと天井板の構造が必要となります。
スノコの板の作り方は、次の動画を参考にしてください。
重箱式巣箱の寸法の紹介 スノコの部分
動画でも説明していますが、動画に出てきた寸法の意味を書いておきます。
板幅:30mm
板幅は材料などの関係から、25~40mm程度の板を使っています。だいたいの寸法でよいのですが細いと、枚数が多くなって組み立てが面倒になります。
板の間隔:6mm
ミツバチが自由に天井裏に移動できることが条件です。6mmより少し狭くても通過できるのですが、組立の精度も考えてこのくらいにしています。少々広くても問題ありません。
縦向きの板の位置:適当
この板は板を固定しているだけですので、場所はおおまかで結構です。
板厚:5mm程度
天井裏が広くなりすぎると、そこに巣を作ってしまう可能性があります。また、天井板も高くなり、不格好になります。ニホンミツバチが自由に移動できる高さ以上にする必要はありません。
スノコ板に使用する木ネジはステンレス製を使ってください。板から飛び出ないように短めの木ネジを使います。天井板は、スノコの板と干渉しないようになっています。
天井板の作り方は、次の動画を参考にしてください。
重箱式巣箱の寸法の紹介 天井の部分
↓天井板に金網の取り付ける
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巣箱は基本的な構造は同じですが、少しずつ作り方を改良しています。
例えば、アカリンダニの対策のために天井部分の若干の寸法変更を行いました。
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捕獲用の巣箱はこれで十分。たくさん設置しよう
ここまでで捕獲用の巣箱は完成です。設置してニホンミツバチがやってくるのを祈りながら待ちましょう。
まず初心者の方が捕獲にチャレンジする場合、どれだけ巣箱をたくさん作れるか、いろいろな場所におけるかが重要です。
巣箱1つでは確率が低いため、最低でも5個は用意しましょう。
できるだけたくさんの巣箱を作って、いろいろな場所に設置してください。
もちろん、設置場所は自分の土地が、許可を受けたところにしてください。道路脇などの公共の土地などに巣箱を設置するのは違法ですので絶対にやめて下さい。
巣箱の作り方については、動画を使って詳しく説明していますが、作った巣箱を見せてもらうと全然ダメな場合があります。
巣箱の販売も行なっていますので、まず1つ購入してそれを真似て作るのが効率的です
待ち箱だけでなく、巣箱の作り方をより詳しく解説した教材と、ニホンミツバチの誘引に必要な待ち箱ルアーと蜜蝋がセットになった、待ち箱ルアーで始める!週末養蜂スタートキットが初心者の方にはおすすめです。
捕獲には蜜蝋(みつろう)必須!
巣箱を置いておくだけでは、なかなかニホンミツバチは捕獲できません。
まず、巣箱にニホンミツバチの蜜蝋を塗ります。
蜜蝋はミツバチの巣の材料です。蜜蝋を塗ると、捕獲の確率が高くなると言われています。
ニホンミツバチの愛好家なら、必ず言って良いくらい、蜜蝋を塗っています。
必ずニホンミツバチの蜜蝋を塗るようにしてください。
ネットショップなどで売られている蜜蝋は、ほぼすべてセイヨウミツバチのものです。
ニホンミツバチの蜜蝋は入手が難しいため、私たちも販売させていただいております。
待ち箱ルアーかキンリョウヘンも忘れずに
ニホンミツバチを誘引するため、待ち箱ルアーという製品の利用がおすすめです。
2014年に登場し、今では毎年何千人もの愛好家が利用している、大ヒット商品です。
もちろん、必ず捕獲できるわけではありませんが、使わない場合と比べると大きな違いがあります。待ち箱ルアーを毎年リピートされる方も多くおられます。
元々は、キンリョウヘンというニホンミツバチを誘引するランの花が広く使われてきました。
待ち箱ルアーはキンリョウヘンの誘引物質を化学的に合成した製品です。2014年に発売されました。
キンリョウヘンや待ち箱ルアーは実際にどのくらい使われているのでしょうか?
私たちは分蜂マップという分蜂の捕獲報告システムを運営し、日本全国から受け付けています。
分蜂マップの捕獲報告でニホンミツバチが自然に巣箱にやってきたもののうち、90%にキンリョウヘンまたは待ち箱ルアーが利用されています。
広く養蜂家に効果が認められています。使わない理由はありません。
- 待ち箱ルアー利用 45%
- キンリョウヘン利用 45%
- どちらも利用しない 10%
初心者は細かいことは気にしない
巣箱の材質、巣箱の内側を焼くかどうか、巣箱のアク抜きの有無など、日本ミツバチにはこうすれば捕獲できる可能性が上がると言われているものがたくさんあります。
これらは多少は影響があるとは思うのですが、科学的に、統計的に確かめられているわけではなく、どのくらい影響があるかはっきりしているものは少ないです。
統計的に影響をきちんと確かめるには、何百という群れや箱を用意して、他の影響が出ないように条件を整えて実験する必要がありますが、日本ミツバチの飼育では現実的ではありません。
巣箱のアク抜きの必要性や、巣箱の焼き入れについては、飼育者や地域で意見が全く反対であることも珍しくありません。
これは、そこまで影響がないということの表れでしょう。まず初心者の人は、細かいことについてはあまり気にしないことをお勧めします。シンプルに巣箱をたくさん置くことを目標にしてください。
ニホンミツバチはお墓の中や木の中などの様々な場所に巣を作りますが、その環境は様々です。中には、なぜそんなところに巣を作ってしまったんだと不思議に思う場所もあります。
巣箱は必ず分蜂前までに設置しょう!
意外と多い失敗が、巣箱をちゃんと作ったのに設置の時期が遅くなることです。
ニホンミツバチが分蜂する前に巣箱を設置しなければ、捕獲の可能性は大きく下がってしまいます。
分蜂に遅れれば、せっかく作った巣箱も無駄です。
巣箱の制作が間に合わない場合は、販売しています。
特に初心者の方におすすめなのは、捕獲に必要な待ち箱、蜜蝋、待ち箱ルアー、そして、私たちが製作している教材「これならできる!ニホンミツバチの週末養蜂」がセットになった、待ち箱ルアーで始める!スタートキットです。
届いたら巣箱を設置し、待ち箱ルアーを取り付けるだけで、捕獲にチャレンジできます。
あとは、教材でじっくりとニホンミツバチの捕獲のノウハウを学んでください。
教材でより詳しく巣箱の作り方を紹介中
私たちが作成している教材、「これならできる!ニホンミツバチの週末養蜂」では、より巣箱の作り方を紹介しています。
捕獲方法のコツなども紹介しているので、初心者におすすめです。
屋根や台など、捕獲してから必要な部分はこちら!
台や屋根などの、捕獲した後に必要になるものについては、次のページで紹介しています。