アインズ イン アインクラッド   作:NEW WINDのN

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はじまり

「うん? ここはどこだ」

 アインズは、見知らぬ風景に混乱する。アンデット特有の精神安定化は起こらない。それが混乱に拍車をかけた。

「な……なんだと……精神安定化が無効? なんだここは……」

 アインズは、周辺の様子を注意深く探る。

 あたりの風景はゲームではよくある中世の街並みだが、綺麗すぎる。

「うーん、知っている街ではないな。それに……あの世界ではないし……学校でもないな」

 アインズは違和感を感じていた。それは、あの世界にユグドラシルから飛ばされた時とは逆の感覚。どこか作り物めいた感覚があったのだ。

「ユグドラシル? いや、違うな……だが、ユグドラシルに近い気はする……」

 街はリアルで、よくできている。そう、出来すぎなのだ。道には塵一つない。普通に街を歩いていればわかるだろうが、そんなことは普通ありえない。ナザリック内なら塵一つないのはわかるが。

 

(しかし、やっとナザリックに帰ったはずなのになぁ。いったいここはどこなんだろう……やれやれ転移癖でもついたのか?)

 アインズ達はつい先日までナザリックが転移した異世界とは違う空間にいた。

 そこにはアインズとは違う異世界に転移したり召喚されたり、転生したりした者が集められ、学校生活を送るという混沌の世界であった。体もなんとなく縮んでいたような気もする。異世界から集まった四人とその仲間達の空間。名付けるなら"異世界かるてっとワールド"だろうか。

 

(ふーこれで三度目か。さすがに慣れたな……いやまあ慣れたくないけどさ)

 そもそもどのようなロジックで、ユグドラシルからあの世界に転移したのか……それすらわかっていないのだ。このようなことは何回あってもおかしくはないのだろう。

 

「うん?」

 アインズはちらりと窓に映った自分の姿に驚き、目線を戻し、窓へと近づいていく。

「俺だ……俺の顔だ……」

 そう、そこに映っていたのは、懐かしい自分の顔。骸骨ではなく、そう鈴木悟のものだった。

「俺、骨じゃない……人間に戻ってるぞっ!」

 演技(ロールプレイ)ではない自分の素の声で喜びの声を上げた。

「しかし、さらに謎が深まったなぁ。ここはどこなんだろう?」

「何言ってんだい、あんた。ここはアインクラッド第一階の"はじま りの街"だぜ」

 少年が声をかけてきた。彼がきている黒いシャツが妙に似合っていた。

「アインクラッド?」

 どこかで聞いたことがあると、アインズは思う。

「なんだよ。寝ぼけてんのか? ここはSAO……ソードアート・オンラインの中。スタート地点のはじまりの街だよ。もしかして、フルダイブするの初めてなのか?」

「SAOって、あ、あのSAO事件の!?」

 アインズの記憶の中から、昔あった事件が引っ張り出された。SAOというフルダイブ型のゲームの中に一万人のプレイヤーが閉じ込められ、ゲーム内で死んだら本当に死んでしまうというデスゲーム。数千人の死者を出したという一大事件。ここはその世界なんだろうか。

「何言ってんだい、あんた。事件ってなんだよ。たしかに、このゲームは画期的だし発売されたことは大事件だけどさ。あんただって初回ロッド一万人の中の一人。幸運な人じゃないか」

 アバターだとわかりにくいが、恐らく声の感じからは中学生くらいじゃないだろうか。アインズは魔導王としての経験からそう推測した。

「幸運か……だといいんだがな……」

 アインズはこのあとの出来事を知っている。だから幸運だとは思えなかった。もしかすると、この少年は事件の犠牲になるなかもしれないのだから。

「気になるいいかただなぁ。まあ、いいけど。あんたその様子じゃ素人だな。俺はβ版からやってるから、多少ならレクチャーしてあげるよ。ちょうどこれから、コイツに教えるところだし」

「どもー。俺はクライン。で、コイツがキリトな。よろしく……えっと」

 たしかにクライン、キリトと体力ゲージの上に名前が書いてあることに気づく。アインズは自分の名にも気づく。

「私は、アインズだ。よろしく頼む」

 モモンガではなくアインズと表記されているので、その通りに名乗ることにした。

 


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