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ムクドリ大群、一社駅周辺に 騒音、ふん害対策に苦慮

街路樹の周りを飛び回る群れ=名古屋市名東区一社で

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 名古屋市名東区の市営地下鉄一社駅周辺で、ムクドリの大群が盛んに鳴き声を上げたり、ふんを落としたりしている。通常、秋から冬にかけて群れをつくる習性があるが、一足早く訪れた“厄介者”に住民は困り顔。行政も対策を検討しているが、根本的な解決策は見つかっていない。

 ムクドリの群れを一見し、帰路につく人。ひっきりなしに落ちるふんをよけながら歩く人。一社駅前では、夕暮れ時の日常になりつつある。群れが通った後には羽根も舞う。

 夕方から夜にかけてムクドリが集まる木のそばのビルに入る学習塾の室長大名隆さん(39)は「突然大きな鳴き声が上がると、生徒たちと、うるさいね、と会話に上る」と話す。近所の酒屋で働く男性(30)は、自動車の屋根やボンネットにふんを落とされた。ムクドリの移動経路に駐車場があり、被害に遭うという。

 住民の話では、一社では数年前から、春ごろには騒音やふん害が深刻化する。

街路樹に集まるムクドリ=名古屋市名東区一社で

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 弥富市の弥富野鳥園の匹田竜太郎さん(46)によると、群れを作る時期は個体差がある。害虫も食べるムクドリは元来、農村部で重宝されてきたが、開発が進むにつれて都市部に移動し、外敵から身を守るため大きな群れを作るようになった。

 三重県四日市市でも、約十年前から近鉄四日市駅前で群れをつくり、被害を訴える声が市役所に届くようになった。三年前から、訓練された天敵のタカを放つようにしたところ、群れが小さくなったという。

 名古屋市も、四日市へ視察に行くなど、他の自治体の事例を参考に対策を検討している。ただ、費用対効果の見極めが難しく、具体的な施策にはつながっていない。担当者は「人間と共存する方法があれば良いが、なかなか見つからない」と頭を悩ませている。

 ふん害に遭った酒屋の男性は「店のカートにふんが落ちることもある。対策をしてもらえればありがたい」と行政に期待するが、即効性のある対応は難しいのが現状だ。

 (保坂千裕)

 

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