ここ最近、ていうか今年入ってからの時間経過のスピードが目まぐるしくて困っている。
たった今日付変わった訳だけど、今日で1月終わりってマジか。
「WINDNESS」リリースから2週間経ったってマジか。信じられない。
水面下で色々やっているのもあって既に骨身に染みているこのアルバムも聴いてくださる方からすれば全くの新作。
前作「WITNESS」同様、スケジュール帳やDTMのデータ等を見ながらどんな感じで作っていったのか書いていこうと思う。
ちなみに前作について書いたものがこちら。
昨年の6/6で締められているからそこから続きを書きたいものの、話は2015年に一旦遡る。
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2015.12.10〜24(曖昧) 「you’re my mirror」のサビ原型完成
12月23日にライブがあったからそこで披露しようと書き始めたものの結局間に合わず、でもこのサビだけ作ってクリスマスイブにTwitterにアップしたのを覚えている。
Base Ball Bearが「C」と「C2」の再現ライブをやってて「行きたかったなー」とか思いながら。
この音源は残っていて、「WINDNESS」のタワーレコード購入特典であるラジオ音源の中で流しているから気になる人は買ってしまおう。
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2018.3.14〜15(曖昧) 映画「シェイプ・オブ・ウォーター」を観る
「WITNESS」のレコーディング期間中に観に行って、この映画の字幕にあった「raining like hell」というワードに一目惚れして、翌日のレコーディング中にスタッフさんや演者の方に「raining like hellって曲作ります」と言ったのを覚えている。
実際に曲にするのはもう少し先の事。
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2018.5.18 「cruise」サビ原型完成
「WITNESS」の完成作業から約一ヶ月、達成感のあまりもぬけの殻となっていたり、「WITNESS」に関する準備や「sands」のビデオ確認などを夢中でやっていたりで心身ともに新しい曲を作る事へ乗り気じゃなかったなりにも2〜3日に一個くらいのペースでボイスメモに何かを残している。
ちなみにこの日だけで5個の断片が出来ている。
何があったんだろうか。兎にも角にも何かあったんだろう。
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2018.6.18 「Tonight」原型の簡易アレンジ完成
2018.6.23 「Tonight」詞曲完成(ワンコーラス分)
2018.6.25 「Tonight」ワンコーラス完成
2018.6.28 「cruise」ワンコーラス完成
藤田たくみさんにご飯へ連れていってもらったり、RADWIMPSのライブを観に行ったりしている週に出来ている。
要はここで「まだまだだな」とちゃんと思えたというか、達成感から良い意味で抜け出せた感じ。
そしてこのタイミングで「髪の花」のMVが上がったり、ライブがしたいなという気持ちも改めて強くなって、「Tonight」を昼間に完成させてから夕方頃行った打ち合わせでライブがしたいという事、次作(つまりは「WINDNESS」)から顔出しもしたいと伝えている。
この時期に洋楽を一度漁ってみようと色々聴いていて、中でも前々から知っていたながらトロイ・シヴァンが気に入ったので参考にしたり羨ましく思いながら作った。
そしてその勢いのままに作ったのが「cruise」。
先述の通りサビだけはあったからそこからAメロが生まれて、それを聴いて浮かんだ歌詞を書いて、その歌詞に引っ張られてアレンジがそっと浮かんで、それを聴いてBメロが、という風に切磋琢磨しながらというか、やりながら枝葉を芽吹かせてどんどん大きくするみたいな作り方をした。
この曲が出来た日とか数日後とかに雨上がり決死隊の蛍原さんをテレビで観てふと「ワンナイ」を思い出し、コント内で流れていたこの楽曲をふと聴きたくなって聴いたらどことなく「cruise」と雰囲気が重なっていてびっくりした。
この曲も凄く聴いていた。
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2018.7.3 「you’re my mirror」詞曲完成
2018.7.4 「水曜日のダウンタウン」にて「IKKO四文字ワードさえ言ってればロケ成立している説」放送
2018.7.9 「you`re my mirror」完成
ライブで「room」の前後に映える曲があればなと思い、「room」の続編やもしくはプロローグを意識して作ったのもあって、コードも大元の雰囲気が似ていたり、暖かさを注ごうとしながら作った。
この時期信じられないくらい暑かったけど。
Aメロ・Bメロをさらっと歌ってみた時にふと3年前に作ったメロディがすっと出てきて、そこに違和感は微塵も無かったし「これだ」としか思えず、すぐに使った。
優しい音にしたかったから、ずっととんねるずの「星降る夜にセレナーデ」を改めて聴いていた。
結局本当に良い曲過ぎて只々何度も聴くだけとなってしまい、結局まるで違うものが出来上がったけど、聴いてもらえれば言いたい事が分かってもらえる気がするので是非。
そしてこの楽曲の制作途中で観ていた「水曜日のダウンタウン」で「shut it up」のアイデアを得る。
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2018.7.11 「raining like hell」サビ完成
2018.7.16 「raining like hell」ワンコーラス完成
2018.7.31 打ち合わせ
2018.8.4 「shut it up」完成
3月に映画を観に行って以降ずっと、燃え尽きていた頃だって曲りなりにもこのタイトルを以って詞曲を書いては何か違うとボツにしてというのを繰り返して、ようやくサビが出来たものの何か惜しいという思いを抱きつつ、シャワーを浴びている時にようやくビビビとくるメロに巡り会った。
こういう場合、通常なら全裸で浴室を急いで駆け出して録るものの、このメロディに関しては絶対忘れないくらい固く結ばれたという思いがあった故に身体を拭き、着替え、髪を乾かした後にゆったりと録った。
それ程には自信があるメロディで、浮かんだ時は物凄く嬉しかった。
そこからまた数日かけてAメロ・Bメロを練って、アレンジが完成した。
V6の「TAKE ME HIGHER」みたくなれば良いなと思いながら臨んで全く違うものに結果的にはなったものの、凄く気に入っている。
この一週間後に「WITNESS」発売、更にその一週間後に「WINDNESS」の打ち合わせがあった。
この頃にはもう「WINDNESS」というタイトルにするというのが決定して結構経っていて、スタッフさんの間でも馴染んでいた。
「あと一曲凄いのが出来そうです」と帰り際に自らハードルをギャン上げして、帰宅してから「shut it up」のアレンジに取り掛かったのを覚えている。
前半部分にも当初は結構音を入れるつもりだったけど、「WITNESS」のAmazonレビューを読んで、「ドラムのアレンジが上手くなると更に楽しみです」と書いてもらえてたので「聴いておくれや」と思いドラムだけにした。
ヒントをくれて有難う。
届いてくれていると嬉しい。
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2018.8.27 「raining like hell」「cruise」アレンジ・メロフルコーラス完成
2018.8.28 「Tonight」アレンジ・メロフルコーラス完成
2018.9.9・14 ゲネプロ
2018.9.16〜18、20・21、28・30 レコーディング
「shut it up」完成を受けて収録曲決定、8月中はそれらを膨らましたりライブリハを少しやったりしながら過ごして9月に入りゲネプロ。
この辺で少し好きだった女の子ともめて凹み、「WITNESS」や「WINDNESS」のジャケットデザインをしてくれた大楠さんやアー写でのスタイリストを務めてくれたエイジさんに話を聞いてもらう一幕があったり。
そしてレコーディング。
歌入れに全力を注ぎ過ぎた結果コントロールルームで気付かぬうちに眠ってしまったり、あと「Tonight」の歌詞も歌入れを終えた後に書き直して後日録り直したり、色んなハプニングがあったものの楽しかった。
「Tonight」は4回歌詞を書き直して、どれが本ちゃんなのかを一瞬見失うくらい混乱する事も。
あと例の如く笑いすぎて辛かった。
レコーディングは毎回楽しい。
リンク先の動画は「raining like hell」のアウトロのギターソロを撮ったもの。
信じられないかもしれないけど、これOKテイク録れてる時のものですからね。
この時に録れたものが丸々ノーカットで音源に収録されているんで、この映像を頭で流しながら聴くのも良いかなと。
いや、やっぱやめとこうかそれは。
最終日はヤバい台風が来るから電車がほぼ全部18:00で終わるとか言われてた日だったので、ちょろっと歌ってちょろっと録ってあっさり終わった。
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2018.10.23・24 ミックス確認
2018.10.29 マスタリング
2018.10.30 衣装合わせ
2018.11.1〜2 アー写撮影
レコーディングの数日後にはジャケットやアー写に関する打ち合わせやライブリハをずっとやっていてミックス確認、その更に数日後にマスタリング作業。
隣のスタジオがX JAPANのTOSHIさんのカバーアルバムの作業か何かをやっていて、自分たちのスタジオとTOSHIさんチームのスタジオの真ん中に立つと、左から「shut it up」が、右からTOSHIさんの「チキンライス」が聴こえるという、時空がまどろむような感覚を覚える体験が出来て何ともシュールだった。
完成した時はやっぱり凄く嬉しかったし、こんな良いアルバムがあるのかと思えて良かった。
翌日には衣装合わせ、その翌日にライブリハをやって更にその翌日、アー写撮影の為淡路島へ。
母校は通っていた頃の名前とは違う名前を名乗っているし、購買を買いに行っていた校舎は空き地になっていたり、反対に何もなかったところに新しい校舎が出来ていたり、半ば知らないような場所になっていて到着した時は不安に思っていたけど、窓口になってくれてこの撮影を仕切って下さった先生が高2・3の頃の担任の先生で、その先生が迎えに来てくれた時「やっぱここに通ってたよな」と思い出したのが印象的だった。
高2の頃に一瞬だけ不登校になって家に来てもらってしまったり、また迷惑をかける事となったけど、あの時のそれとは随分違って前を向いた迷惑だから許してねとこの場を借りて。
学校での撮影を終えてジャケット撮影。
当初森の中で撮影を希望していたものの良い感じの森が見つからず、探し回っていた頃にスタイリストのエイジさんが「こんなのあるよ」と見せてくれたのが島内にある絵島の写真。
この絵島というのが日本誕生の地とされる場所で、「新たな音楽を自分らしく作る」という意味合いをジャケットに込めたくて森を探していたから「それだ!」となり皆で移動。
照明だったりはカメラマンの神藤さんのアイデアを借りに借りて、結果的に物凄く神秘的な写真となってくれた。
もう少しジャケットの話をすると、「WEAKNESS」のジャケットは空を、「WITNESS」のジャケットは壁を、「WINDNESS」のジャケットは海底を写している。
そういった意味でも「WEAKNESS」は上巻、「WITNESS」は中巻、「WINDNESS」は下巻となっている。
3部作というのは全く意識してなかったけど、掘れば掘る程、最初からこうなる運命だったんじゃないかと思ってしまう。
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2018.11.22 「WINDNESS」発売及びライブ開催の告知
2018.11.29 取材初日
2018.12.9 「shut it up」MV打ち合わせ
2018.12.19 「shut it up」MV撮影
アー写撮影の際にも若干怪しかったけど、この数日後から身体の鈍痛が酷くなって病院を転々としていた。
経験した事のない痛みで死に繋がる病気であるかもしれないと覚悟していた。
4軒ほど回っても原因が分からず、MRI検査を受けたところストレス性の神経痛との事だった。(何なら人よりめっちゃ健康だった。)
実家の猫が亡くなってしまった事や先述の女の子と行き違ってしまった事、人として終わってるなと思ってしまう事が多々あったり思い当たる節がわりとあるものの、検査結果が出た時は本当にホッとして。
今思えば原因がわからない事こそが最大のストレスだったというか。
結局何てことない事だったんだけど、でもそれを通して本気で死に至ってしまうと思ったからこそ出来た曲があったり、凄く不安で辛かったけど良い時期だった。
MRI検査を受ける2日前に出来た楽曲はサビで「明日死んでも良いなんて全て叶うまで無しにしようぜ」と歌っている。
こないだレコーディングしたら想像以上に生命力に満ちた楽曲になったし、その曲を作る為の時間だったんだと今となっては思えている。
MRI検査から5日後に「WINDNESS」リリース発表、ライブ告知、アー写発表。
検査結果はもう出ていたけど、この発表を以ってようやく鎧を脱ぎ捨てたような感覚になった。
やっと言えた感が凄くて、告知を終えた後ちょっと寝た。
その一週間後から三宅正一さんによる公式インタビューを皮切りに、取材やラジオコメント収録が始まって。
12月はほぼ毎日それらにまつわる事をやらせてもらって凄く楽しかった。
そんな中でのMV撮影。
楽曲の構成にちなんで前半はループ映像を使いたいって事だったり、後半ディスコ風味にしたいって事だったり、DJもやられてるからか凄く音楽に寄り添ってくれたアイデアをマザーファッ子さんに出してもらって、今までのビデオ撮影の中で一番準備期間も少なかった中で最もと言って良いほど速いスピードで完成まで持っていってくれて、感謝してもし足りない。
「人生を変えるもの(自分にとっての音楽)と出会って、それに全うしようとしている様を表現したい」というのは何となく自分の中にあって、そこで音楽のメタファーとして椎名さんに後半登場してもらい、その椎名さんをより美しく見せようと島原さんと広瀬さんが尽力するという内容が生まれてた。
候補資料の中から椎名さんを指名させてもらって、その時も撮影時もそんな事は思わなかったのだけど、映像の中で観ると光加減とかで俺が高校の頃好きだった女の子に似ていて。
その子が居たから音楽を始めるに至った身としては、偶然とはいえ鳥肌が立った。
色んなマジックが重なって出来た映像だから、改めてご覧ください。
この翌日にシークレットでライブやったり、andropの内澤さんとナチョスを食べながら2人で色々話したりしつつ、曲を書きながら年を越して「WINDNESS」発売、今に至る。
やっぱり年々音楽ありきの生活になってきているというか。
良くも悪くも、もう戻れないくらいがっつり両足を突っ込んでいる。
一昨日くらいに友達と電話してて「お前も俺も音楽以外の部分がしょうがねえから金になろうがなかろうがやってくんだろうな」と言われて、「本当にそうだな」としか言えなかった。
楽しいからやっているというのは勿論だけど、勿論過ぎるし前提過ぎて最早カウントされてないというか。
普通の社会生活に手放しじゃ溶け込めないという事実が心身にめり込んできて、そこから逃げるように、はたまた向き合うように音楽をやっている感覚が芽生えてきている。
「期待の」とか「注目の」とか少しずつ言ってもらえる機会が増えてきてくれていて嬉しいけど、そうやって坂を登る程に下って行くいつかの事も考えなきゃいけなくなる。
結果が出れば引き続きついて来てもらえて、出なければ下手をすれば居なかった事にされるのも知っている。
事実、何度か俺はチャンスを逃して居なかった事にされた事がある。
明日死ぬかもしれないしわりと簡単に時代は変わる。
良くも悪くも絶対はないし、それが絶望に見えるか希望に見えるかもその日次第でコロコロ変わる。
世界も自分もそれくらい曖昧だしチャンス塗れだ。
期待に添えるように頑張りつつ、でも自分のピークは周りの目じゃなく自分に決めさせたい。
だから良い意味でその言葉に甘えず、今まで自分らしく頑張りたいと思う。
「WEAKNESS」、「WITNESS」、「WINDNESS」。
自分でピークを作る為に作っては、それを乗り越えるようにしてまた作品を作ってきた。
今レコーディングしている楽曲たちも「WINDNESS」を乗り越えて、新たな自分のピークになってくれる確信がある。
楽しみにしていて欲しい。
そういえば前回ここでチラッと話したシンガーソングライターだけど、あの文章をアップした翌日にInstagramをフォローされたのでインスタもTwitterもラインも電話もメールも全部ブロックした。
俺は音楽以外、しょうがない。
2019.1.30.PM27:58