韓国「優遇対象国」除外を閣議決定 輸出管理を厳格化

日韓対立
経済
2019/8/2 10:17 (2019/8/2 11:37更新)

閣議に臨む安倍首相(2日午前、首相官邸)

閣議に臨む安倍首相(2日午前、首相官邸)

政府は2日、輸出管理を簡略化する優遇対象国から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。半導体材料の韓国向け輸出管理の厳格化に続く第2弾となる。7日に公布し、28日に施行する。韓国向けの輸出の際に食品と木材を除くほぼ全ての品目で経済産業省が個別審査を求めることができるようになる。韓国政府は強く反発している。

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日本が優遇対象国に選んでいる米国や英国など27カ国のうち、指定を失うのは韓国が初となる。世耕弘成経産相は閣議後の記者会見で「安全保障のための輸出管理制度の適切な運用に必要な見直しをした」と説明した。さらに「いわゆる禁輸措置ではない。手続き、輸出管理をしっかりやれば輸出はできる」と指摘した。グローバルサプライチェーンや日本企業に悪影響が出ないとの認識も示した。

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菅義偉官房長官は記者会見で「連携すべき課題でしっかり連携するのが重要だ」と述べた。日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の更新期限が今月末に迫ることを受け、安全保障分野での連携は継続すべきとの考えを示した。

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日本は2004年に韓国を優遇対象国に指定した。輸出先が優遇対象国であれば、輸出企業は手続きの簡略化などの優遇措置を受けられる。輸出管理の厳格化で、企業が審査対応に手間取れば一部品目の輸出が滞る可能性もある。

政府は韓国を優遇対象国から除外する政令改正案について、7月1日から意見公募を実施し、7月24日に締め切った。意見公募に4万件超の意見が寄せられ、賛成は95%超だった。韓国政府は改正に反対する意見書を提出したが、日本政府は賛成意見を踏まえて政令を改正した。

優遇対象国の指定を外れると、経産省が安全保障上の問題があると判断した輸出案件について、個別に審査を受けるよう求める「キャッチオール規制」の対象となる。28日以降、危険性の低い食品・木材を除くほぼ全ての個別の輸出案件について、新たに審査対象となる可能性が生じる。

ただ、経産省はこの規制に沿って企業に審査を求めても対外的には公表しない。そのため、7月4日から輸出ごとに個別審査を求められるようになったフッ化ポリイミドなど3品目以外にも、個別審査を求められる案件が出るのではないかという警戒感が広がる。

韓国が優遇対象国の指定を失うと、同国企業が中国や東南アジアなどの生産拠点で日本からの輸入品を使う場合の手続きが厳しくなる公算が大きい。

■「ホワイト国」名称見直し
 経済産業省は2日、輸出管理上の国別カテゴリーについて、優遇措置を受けられる国を「ホワイト国」、それ以外を「非ホワイト国」としてきた名称を見直すと発表した。4カテゴリーに分類し、ホワイト国を「グループA」に、非ホワイト国を「グループB~D」とする。非ホワイト国でも実務上の扱いが異なることが理由としている。

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