人事担当者は基本的に、「公平性」を原則として従業員に接しています。ですから相手がどんな人だろうが、どんな状況だろうが、早期退職の内容はルールに従って説明するものなのです。
ですから、「なんで私が?」と人事担当者に怒っても、あまり意味はありません。泣き落としても怒っても、状況はあまり変わらないと考えた方がよいでしょう。
むしろ、早期退職者の募集を1つのチャンスと捉えて詳しく説明を聞くことをお勧めします。今回応募するかどうかはさておき、遅かれ早かれ退職するときは必ず来ます。今後の自分のために今回の募集をうまく使えないか。その視点で冷静に考えて、応募するかどうかを検討してはどうでしょうか。
同情的に面接が始まる
実際、早期退職が良い転職につながることもあります。早期退職者募集の実施は、大企業なら報道を通じて広がります。地方の中小企業の場合も、クチコミや商工会議所のネットワークなどを通じてすぐに伝わります。
その時点で中途採用の求人を出していない企業でも、「あの会社を早期退職する人なら会ってみたい」というケースは少なくありません。結果として、通常の転職よりも話が通りやすいことがあるのです。
例えば都心部にあるWebシステム開発系の会社の場合。ベンチャーでも有形・無形のネットワークがあるので、「業績不振で早期退職者を募っている」という情報はあっという間に伝わります。
こうした場合、面接で退職理由を聞かれる前に「今回は大変でしたね」という採用担当者の一言が入ることもあります。同情的な雰囲気で面接が始まるため、通常よりも有利に進む場合があるのです。
次回は、早期退職者にありがちな失敗について取り上げます。
アネックス代表取締役/人事コンサルタント