そして、ロシア以上に問題なのが、第2の可能性です。それは、なんと韓国です。
上記のように、イスカンデルは外国に売り渡されてはいません。ですが、イスカンデルもどきと呼ぶべきコピー兵器は、北朝鮮よりも先に韓国が開発しているのです。韓国が保有している玄武-2ミサイルは、韓国の国家情報院がスパイ行為を行い、ロシアから盗み出したイスカンデルの部品をリバースエンジニアリングして開発したものだと見られています。韓国は北朝鮮よりも先に玄武-2としてイスカンデルもどきを開発、配備していたのですから、支援を行おうと考えれば当然可能です。
文在寅が大統領に就いたのは2017年5月ですが、ここから支援を開始したのだとすれば、ちょうど2年が経過した今年(2019年)5月に北朝鮮製イスカンデルもどきが発射されたことになります。時期的にも符合します。
日本の素材が使われる可能性も
ムスダンをディプレスト弾道ミサイル化するのには、イスカンデルもどきよりも高度な耐熱、高耐力構造材を必要とするでしょう。
韓国は、電子製品などでは高度な技術を持っていますが、素材技術に関してはまだまだです。玄武-2や北朝鮮製イスカンデルもどきには、韓国が日本から輸入した耐熱素材などが使用された可能性も考えられます。弾道ミサイルと同様に極めて高速で飛翔する弾道ミサイル迎撃ミサイルであるイージスSM-3(ブロックIIA)は、高温にさらされる先端部のノーズコーン部を、軽量な素材を使って日本が製造しています。
北朝鮮製イスカンデルもどきでさえ、日本の製品が韓国を経由して使用されている可能性があります。その上、今後、日本が世界に誇る素材技術を使って、日本に到達可能なディプレスト弾道でのミサイルが製造される可能性が考えられる以上、日本は半導体関連だけでなく、こうした素材についても輸出管理を厳格化し、北朝鮮の弾道ミサイル開発を助ける結果とならないようにする必要があるでしょう。
日本政府は、当然こうしたことも考慮し、関連情報を収集していると思われます。そして、その上で、イージスアショアについても検討を進めていることでしょう。状況によっては、大きく政策が変更される可能性があるかもしれません。