「アインズ様!タブラ様の書物によると、本日はおっぱいの日だとか。ささ、存分にお楽しみ下さい……!!」
そう言うと、アルベドは腰の羽根をバッサバッサと激しく揺らしながらアインズに襲いかかった。定例報告会がお開きになる直前の出来事、という事もあり、誰もが咄嗟に反応出来ずにいた。
「ちょ、ちょっと待てアルベド!お前は私に馬乗りになっていきなり何を言っている!?ちゃんと順を追って説明しないか!」
もの凄い腕力でアインズの腕を掴み、半ば無理矢理胸に触らせようとする、興奮しまくった女淫魔。ハァハァと息を荒げ、瞳を爛々と光らせるその様は、獰猛な肉食獣そのもので。未だ童貞のアインズはドン引きしている。……因みに。そんなアインズの好みの女性は、清楚で可憐な巨乳の女性である。黙っていれば好みドンピシャなのに、と残念に思いつつ襲いかかってくるアルベドを必死に抑えるが、レベルカンストのアインズですら押し負けてしまいそうな剛力であった。
「アルベド!君はまた謹慎になりたいのかね?アインズ様から離れるんだ!」
我に返ったデミウルゴスがそう言って慌てて近付くが。
「邪魔しないで貰える!?私はタブラ様の書物通りに行動してるだけなんだから!!」
そう言ってアインズの腕に込める力を強めたアルベドは、容易に引き剥がせはしない。
「八肢刀の暗殺蟲!何をしているんですか!早く手伝いなさい!君たちも呆けてないでアインズ様をお助けしたまえ!!」
突然のアルベドの暴挙に固まっていた階層守護者たちも、デミウルゴスのその声で我に返ったのか慌てて駆け寄ってくる。
「えっと、その……。ごめんなさい!!」
そう言いながらマーレが蔦でアルベドの四肢を絡め取り。
「バカじゃないの!?アンタこの前の謹慎三日間忘れたの!?」
「わたしを差し置いてアインズ様を押し倒すとは良い度胸でありんすねぇ?」
アウラとシャルティアが左右に分かれアルベドの両腕を引き。(デミウルゴスも八肢刀の暗殺蟲もそれに協力している)
「冷静ニナレ、アルベド」
コキュートスがアルベドの、特に頭部を中心に冷気を送る。
そうする事で、漸くアインズの上から退かされたアルベドを、マーレは容赦なく蔦で雁字搦めに縛り付けた。
「……アルベド」
「はい!アインズ様!!お望みとあればこの場でも私は構いません!!」
そう言いながら、蔦を強引に引きちぎろうとするアルベドに、アインズもその場の全員もドン引きしている。
(……おかしいなぁ。アルベド、別にバーサーカーとか持ってない筈なんだけど……)
そんな事を思いつつ、アインズが口を開く。
「アルベド、先ずは落ち着け。そして、私にタブラさんの書物、とやらの内容を話してくれ。おっぱいの日とやらにも、その書物にも私には覚えが無いんだが……」
アインズが困惑したようにそう言えば、アルベドは不思議そうに小首を傾げる。
「え?この世の殿方は全員おっぱいが好きで、だからこそおっぱいの日が生まれたとタブラ様の書物にはあったのですが……」
(タブラさーんッ!!アンタ何してくれてんの!?るし★ふぁーさんも大概だったけど、遅効性のトラップとかタチ悪すぎません!?)
この場に居ないギルメンに脳内でそう悪態をつきつつも、アインズはアルベドに先を促す。
「……。アルベド。それでは、分からないぞ?普段のお前のように理知的に、理路整然と説明しろ」
「はい、アインズ様!タブラ様の書物には、先程申し上げた通りの説明があり、毎年八月一日がおっぱいの日に当たると記載されておりました」
「そうか。……で、何故おっぱいの日だとお前が私に襲いかからねばならないんだ?」
モモンガが微妙に痛む気がする頭を押さえながらそう問えば、アルベドは満面の笑みを浮かべながら答える。
「おっぱいの日とは、殿方がおっぱいに癒やされる日とありました。アインズ様は私のおっぱいの揉み心地を気に入って下さっていたようでしたので……本日は精一杯ご奉仕させていただこうかと!さぁ、アインズ様!私のおっぱいでどうか癒やされて下さいませ……!!」
そう言うと、アルベドは再び全身に力を込めて蔦を引きちぎろうとする。その様子に、その場の全員が慌ててしまう。
「マーレ!もっと蔦を強化しろ!」
「はい、アインズ様!」
「コキュートス!アルベドの頭部にもう一度冷気を!!」
「畏マリマシタ、アインズ様」
二人が必死でアルベドを正気に返そうとしている最中、デミウルゴスと八肢刀の暗殺蟲、アウラとマーレは蔦が千切られないよう渾身の力でアルベドを押さえ込んでいた。
「アインズ様!私たちがアルベドを押さえている間にどうかお逃げ下さい……!」
(……いや、逃げても多分アルベド追ってくるだろ……。全員をぶち倒して……。さて、どうするかなぁ)
デミウルゴスの言葉に、そう脳内で突っ込んでから。アインズはゆっくりとアルベドの正面に立つ。
「アルベド、体の力を抜け」
その一言で、アルベドは即座に全身の力を抜く。
「はい、アインズ様!次はどう致しましょう?服を脱いだらよろしいですか?」
今にもアインズに飛びかかりそうなギラついた瞳でそんな事を言ってくるアルベドに内心激しく引きつつも、アインズは必死に支配者らしいロールを回す。
「おっぱいの日は、男性がおっぱいに癒やされる日だと、タブラさんが書いていた、と言ったな?」
「はい!ですから、私はこの身を以てアインズ様にご奉仕しようと……!」
体を左右にくねらせながらそう言うアルベド。守護者や八肢刀の暗殺蟲に押さえ込まれているのに、もの凄い力である。
「アルベド、癒やしとはな。お前がしたように相手の気持ちを考えず、強引に押し付ける物では無い。相手の心の機微を読み取り、最適なタイミングでしてこそ癒やされるのだ。お前は如何にも女淫魔としての性質が強いせいか、そういった駆け引きは苦手のようだな」
そう、諭すように言ってやると、アルベドはガックリと項垂れる。
「それでは……私の行為は、アインズ様に癒やしを差し上げられないのですか……?」
「残念ながらな。お前の気持ちは嬉しいが、空回っているぞ?さて、アルベド」
「はい……」
「謹慎、一週間だ。前回の事に懲りていないようだからな、先程の私の言葉をしっかりと脳に刻み、反省するように。……デミウルゴス、他の守護者たちと相談してアルベドが謹慎している間の仕事の分担を決めてくれ。私は部屋に戻る」
アインズはそう言うと、リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンで自室に転移した。
(あーもう!!アルベド怖すぎだろ!!見た目は完璧なのに……何であぁなったかなぁ。ギャップ萌えのタブラさんが創造主だからかな?)
しっかりと自室に<施錠>をし、更に<静寂>まで掛けてから、アインズはベッドにダイブするとゴロゴロと寝転がる。
「おっぱい、かぁ……。重力に引かれて揺れるおっぱいとか、確かに眼福だよなぁ……」
性欲がほぼ無いアンデッドのモモンガでも、人間だった頃の好みは変わっていない。かつては楽しんで見ていたグラビアのデータをアイテムボックスから取り出すと、際どいビキニのグラドルの肢体を眺める。所謂女豹のポーズの巨乳グラドルの胸元は、鈴木悟のお気に入りであった。
「……どうせなら、肉体がある時に触りたかったよ、おっぱい……。パフパフとか男の浪漫だしさぁ……」
淋しげにそう呟くと、アインズはデータを戻すとベッドに突っ伏したのだった。
アルベドにパフパフされたいね!巨乳最高!!