■官邸・維新・吉本の悪のトライアングル

 大阪市解体を巡る住民投票において、最前線で戦った清水氏は言う。

 《かつて橋下徹氏は、「憲法変える安倍さんのためならなんでも応援する」「住民投票は憲法改正のための予行練習」と言い放ち、憲法破壊の突撃隊としての本質をあらわにした。(中略)

 その見返りに、大阪万博誘致に勤しみ、カジノ解禁を急いだのが安倍政権である。この国の将来を憂う人たちにとって日本の政治史上類を見ることのない最凶・最悪のタッグチームだと言えよう》

 こうした「カネ作り」のスキーム、「日本の政治史上類を見ることのない最凶・最悪のタッグチーム」の手法が、日本を覆いつくそうとしている。嘘、デマ、プロパガンダにより、国民の財産が狙われている。

 清水氏は続ける。

《大阪で生まれた維新の会は、二重行政解消の名の下に、医療機関や福祉団体への補助金を削り、9万人という署名が集まったにもかかわらず住吉市民病院閉鎖を強行した。ドル箱だった大阪市営地下鉄を民営化したせいで、単体で赤字運営だったバスは大幅に縮小され市民の移動手段が奪われた。わずか数人の定員割れを理由に公立高校を6校も廃校にした。

 子供たちには競争と序列の教育を押し付けテスト漬けにしている。子育て世代の支持獲得のためか、塾代クーポンなるものを配布してきたが、その結果、大阪市の学力は政令市で最下位。自らの失政を棚に上げ校長や教師にその責任を転嫁するやり方も卑怯極まりない》

 要するに、卑怯なのである。

 お年寄りの生活手段であるコミュニティバスを「赤字だ」という理由で廃止する一方、無駄な出直し市長選や住民投票で巨額の税金をドブにぶち込む。国政においても、生活保護費がカットされる一方で「安倍関連事業」には、赤字が続いていようが100億円が流される。しかもそのカネを使って吉本が教育事業をやるというのだから、笑うに笑えない。

 清水氏は憤る。

《カジノや高速道路などの巨大開発を意のままに進めるためには、大阪市の財源と権限が必要であり、「二重行政解消」「ワン大阪」などのスローガンで住民をかどわかし、一人の指揮官がやりたい放題の大阪をつくることが都構想の狙いである》

 その通りだ。

 連中にとっては最初から「日本」は眼中にない。欲しいのは目先のカネだけ。いみじくも安倍がウォール街の証券取引所で宣言したように「国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去った」のである。

 吉本興業を巡る状況は、今の日本の姿を現している。

 われわれは吉本芸人が右往左往している姿をワイドショーで見て、笑っている場合ではない。「次はわが身」ではなくて「すでにわが身」なのである。