今回は、問い合わせの多い【図書館への寄贈】について書いていきます。
デジタルゲームやボードゲームの方まで解説していきますので長くなると思いますが、よろしくお願いします。
※内容は、あくまで私が個人的に調べた内容になりますので、参考という形でお願いします(2019、7現在)
とはいえ、結構ガチで調べたのでそれなりに有効だと思います。
- 本の寄贈について
- 同人誌の寄贈(納本)について
- デジタルゲームの寄贈(納本)について
という流れで書いていきますので、よろしく追い願いします。
1、本の寄贈について
「うちに貴重なゲームの本があるので、図書館に寄贈したいのだけど」
という、ありがたいお話をよく頂きます。
お気持ちはありがたいのですが、町立・市立・県立図書館レベルでは、受入れるのは難しいと思います。
よくて「受け取りますが、そのままリサイクルになる可能性があります。それでもよろしいですか?」という流れになると思います。
この辺の認識のズレをきちんと説明すると長くなるので、簡単にお伝えしますと。
まず「本を買う基準(選書基準)に無い」というのが大きな理由になります。
あとは予算とか人とかスペースとかに余裕が、、、。
逆に、どんな本なら欲しいかというと「地元の資料となる郷土資料」「今現在、予約が多くかかっているベストセラー」という、わりと生々しい感じになります・・・。
ですので、例えば「地元の図書館にTRPGのルルブを寄贈して、みんなに使ってもらいたい」というのは、かなり難しいです。
特にゲーム関係は、図書館にふさわしくないと判断されることが多いので、、、(経験に基づく個人の感想です)
私はいつもツイッターで「図書館で収集と保存をして、後世に残すんや~」と騒いでいますが、「最終的には国会図書館にあればOK!」という考えです。
というわけで、寄贈するなら国会図書館をオススメします。
①本を寄贈したいときは、国会図書館へ。
国会図書館では、所蔵していない本(重要)の寄贈を受付けており、むしろ無い本は貰えると嬉しいです!というスタンスのようですので、まずは国会図書館にあるか調べてみましょう。
まず国会図書館のサイトにアクセスします。
丸で囲んだキーワードのところに書名を入力すると、所蔵があれば出てきます。
もし出てこない場合でも、探し方を変えると出てくる事があるので、隣の詳細検索をクリックして、著者名など、他のやり方でも調べてみてください。
ちなみに、出てきた情報の横に【デジタル】と書いてある資料は、国会図書館に直接行ければ、館内のPCで全部読めるのでマジオススメです。
私は1日中『ファミ通』と『ゲーメスト』を読んでいた事があります(笑)
話がずれましたが、上記の検索で本が国会図書館に無い場合(所蔵していない)は、寄贈してもらえると、国会図書館の人が喜びます(多分)
②寄贈のやり方
ちなみに、発行人による場合は「納本」、それ以外を「寄贈」と言います。
国会図書館の寄贈のページはこちら。
https://www.ndl.go.jp/jp/collect/collection/index.html#col_01
読んで貰えるとわかりますが、ポイントは「事前にリストを送る」(メールが良いようです)です。
いきなり本その物を送らないようにですね。
また、こちらでも寄贈後の受入れは絶対でなく、廃棄される可能性もあるという事は知っておいてください(極端にカビてるとか)
処理に時間が掛かりますので、寄贈された後は年単位でのんびり持ってもらうとありがたいです。
なにせ国会図書館ともなると、想像ですが扱う寄贈の量が凄そうなので、どうしても時間がかかると思います。
ちなみに、私は現在、大学図書館で寄贈の担当なんですが、仕事が遅いせいもあって、寄贈本が溜まってて毎日ヒィヒィ言ってます(笑)
まとめますと。
・寄贈したい本があったら、国会図書館にあるか検索
・無かったらリストを送って確認
・現物を送る
・心穏やかに年単位でのんびり待つ
近くの図書館にせよ、国会図書館にせよ、寄贈したいときはいきなり持っていったりせず、連絡してからでお願いします&処分されるリスクを理解しておく。という感じですね。
2、同人誌の寄贈について
① 同人誌の寄贈、納本について
納本制度とは、個人、民間、公共を問わず頒布を目的として相当数印刷された出版物を、国会図書館に納める事です。
https://www.ndl.go.jp/jp/collect/deposit/outline.html
部数によっては(具体的な部数は不明) 同人誌も余裕で納本対象です。
つまり、皆さんの書かれた同人誌が共有の文化資源として、永く保存されます。
これは、内容を問わないので、二次創作、オリジナル、成人向けなどでも大丈夫です(ホッチキス本などの簡易なやつは微妙かも、全てOKというわけではないです)
ちなみに納本は一応【義務】となっていますので、勤労、納税、同人誌の納本はオタクの3大義務ですw
成人向け(エロ同人)も大丈夫なのは、少し意外かもしれませんが、100年後とかには今の春画みたいなあつかいになっていると思っています。
美術館で「平成のエロ同人展 ~メガネ、ケモミミなど多様性の夜明け~」みたいな企画展が100年後に開催されるかもしれないと思うと、胸熱ですね!
よっしゃ!メガネ系同人誌を寄贈しないと!(使命感)
更に言うと、50年後くらいでも「当時の表現規制がどうであったか」という事を知る貴重な資料になると思います。
とはいえ、同人誌に関しては図書館に保管されるのを望んでない作者さんもいらっしゃる可能性があるので、基本は納本(発行人による寄贈)が良いかなと思います。
上でも、(発行人による)納本と、(それ以外の)寄贈の違いを説明しましたが、納本の場合、定価の5割程度がもらえます。
ですが、この制度を悪用して、同人誌に法外な値段を付けてウハウハなどはしないでください、多分普通に受け取り拒否されて終わりだと思います。
② 寄贈(納本)前にまず検索
通常本の寄贈と同じように、まずは国会図書館にあるか検索をしましょう。
「いやいや、この同人誌は私が書いたので、国会図書館にはないよ」
と思っても、一応検索をお願いします。
ググると出てくるのですが、自分が知らないうちに50部ほど無料配布した本が国会図書館に寄贈されていた。という楽しい事例もあったりしますので。
③ 寄贈(納本)の具体的なやりかた
寄贈に関しては、上で書いてるやり方と同じです。
納本に関しては、こちらのパンフレット資料と、サイトが参考になります。
サイト、まずはここを読んで連絡を↓
https://www.ndl.go.jp/jp/collect/deposit/request.html
パンフレット↓
https://www.ndl.go.jp/jp/collect/deposit/pdf/deposit_detail.pdf
何は無くとも、まずメールにてご連絡をお願いします。
自分の同人誌が国会図書館にあると、コミケ後などに見に行った時に感動しますよ!
そのときは、国会図書館名物の食堂のカレーも是非w
3、デジタルゲームの寄贈(納本)について
いつもツイッターでデジタルゲームの保存について発言しているので、色々と思いを語りたいですが、長くなるので今は淡々と書いていきますー。
① デジタルゲームの納本について
まず最初に、すでに国会図書館には結構な数のデジタルゲームが保存されています。
https://www.ndl.go.jp/index.html
次に、横の「電子資料」をクリックします。
すると、ゲームソフトのドラクエが出てきます。
一番古い「ドラゴンクエスト3」をクリックすると
このようにデータが出てきます。
といっても、一番古いドラクエのデータで2000年のゲームボーイカラー版のドラクエ3のようですので、ファミコン版とかは無さそうですね。
こちらのソフトが国会図書館で遊べるかと言うと、まだそこまでは難しく、パッケージや説明書を手にとって見る事ができる状態です。
ふと思ったけど、自分でゲームボーイの本体を持っていくと出来るのかな? 今度調べてみよう。
(※調べた結果できない事がわかりました、無念!)
実はデジタルゲームも納本制度の対象になっていますので、メーカーさんには是非納本(納ゲーム?)をよろしくお願いします~。
100年後にメガテン遊べるようにしましょう!w
② デジタルゲームの寄贈について
疑問
ふむふむ、メーカーが納本するのはわかったけど、んじゃ個人がゲームの寄贈ってできるのかな?という疑問が出ると思います。
答え
制度上はできるみたいですが、よくわからんです。事例はあるので興味のある方は問い合わせしてみてください 。
ググると、東方シリーズを寄贈してる方もいたりするので、絶対ダメというわけではないですが、調べた感じだとよくわかりませんでした。
あやふやですいません。
ちなみに、デジタルゲームを収集・保存している団体は結構あって、立命館のゲーム研究センターさんや、ゲーム保存協会さんなどがあります。
スミソニアン博物館には、私の好きなVF3tbがあります。
更にちなみにですが、ニューヨークのストロング国立演劇博物館では、ビデオゲームの殿堂入りを決めたりしています。
https://www.worldvideogamehalloffame.org/
日本も頑張ってくれー!
司書なので国会図書館さんが収集・保存してくれたら嬉しいのですが、言ってしまうと、どこでもいいので収集・保存してくださいー。と思っています。
今、夜中の2時にこのブログの下書きを書いてますけど、完全に趣味ですもん。
アーカイブ化はとても重要で必要だと勝手に思っているので、個人ですがのんびり活動していきます。
あと、ボードゲームの収集と保存ですが、現時点では国会図書館さんはノータッチです。
というか、国内でボードゲームを収集・保存している公的な団体は発見できませんでした。
ドイツにはボードゲーム博物館があるので、日本も早よ!
Deutsches SPIELEmuseum Chemnitz - Home
ボードゲームも含めて、日本でのゲームの収集・保存が進むように、微力ながら頑張っていきます。