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2019-07-30

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

『岩田さん』の発売の日です。
 「ほぼ日」の先行販売は、なんだかいい感じで、
 幸先のよい滑り出しだと思っていましたが、
 本番スタートは、またちょっと緊張感があります。
 このところ、よく思っていることなのですが、
 「当事者」には緊張感や恐怖心があるものです。
 離れたところで他人事としてやっていることは、
 ちっとも怖くないですし、ある意味平常心でいられます。
 でも、「当事者」という立場になると、
 どれだけ安心な要素が山積みに見えていても、
 可能性の少ない不安や恐怖が目に入ってしまうのです。
 そして、そういう緊張を感じたうえで、
 ほんとうの本番になったら、こころを落ち着けて、
 「なにがあっても引き返せるわけじゃない」と、
 覚悟を決めるわけです…みんなそうだと思うけど。

 『岩田さん』という本は、とにかく、
 「その人格のような本」にと、つくられたものです。
 偉そうにみえなくていいし、しっかりと性格のいい本に、
 雰囲気まで含めて岩田さんらしい本になるようにと。
 結果、そういう内容とデザインになったと思います。
 岩田さんは「自薦より他薦が大事」と、
 いろんな場面で考えていた人なので、
 ぼくらも大音量のスピーカーで叫ぶみたいなことは
 しないように気をつけるつもりですが、 
 言えることを確実に届けようという気持ちはあります。
 でも、読んでくれた人たちの「他薦」のほうが、
 なによりありがたいものだということを知っています。

 数式もグラフもありませんが、これは、
 いまの時代に生きるはずの経営の本でもあります。
 また、いろんな働き方が問われている時代に、
 若い人たちが読んでおきたい「はたらく」ことの本です。
 そして、なにより「生き方」の本でもあります。
 岩田さんの関わったゲームで遊んだ人たちにとっては、
 「こういう気持ちが底にあったのか」と、
 劇場の控室で静かに話を聞くような本であるでしょう。
 よかったら、どうぞ、「よかったよ」と伝えてください。
 それが、ひとりずつに伝わっていくことの手伝いが、
 ぼくらの仕事だと思っています。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
不思議だなぁ、じぶんの著作は落ち着いていられるのにね。


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