田口淳之介、小嶺麗奈両被告の判決公判が突然延期され、弁護側が「捜査機関のミス」と延期理由を挙げた。田口被告らは初公判で大麻取締法違反の起訴事実を認めていたが、「無罪判決にもなりかねない」という捜査ミスとは何なのか。
事件は、田口被告らが違法な薬物を使用しているとの情報に基づき、関東信越厚生局麻薬取締部が内偵捜査を続け、家宅捜索で乾燥大麻約2・2グラムを押収、逮捕した。
最近の大麻事件をめぐる裁判では、2016年12月、横浜地裁で警察官が捜索令状を取る際、関係者の供述調書を実際は「バイクの収納スペースにあった」とされた大麻を「自宅の居室にあった」と改ざんし、押収した大麻の証拠能力が失われ、違法な証拠収集として男性被告が無罪となった例があった。
今回、田口被告らの場合、捜索令状取得に至る段階の詳細は判然としないが、無罪の可能性を弁護側が指摘するほどならば、考えられるのは、押収資料の鑑定結果の不備や改ざん、押収の手法に違法性があったことなどだろう。薬物捜査では公判で職務質問での任意性を問われるケースもあるが、今回の事件は、令状に基づく捜索から事件化されたため、考えにくい。
自宅から発見された販売目的とは認められなかった微量の大麻に混合物や量の改ざんがあったり、保管場所のうそがあれば証拠能力もゆらぐ。田口被告らは初公判で「(大麻が入手できれば)3日に1度は使用していた」と明かしており、大麻の存在そのものは認めているだけに、捜査側で証拠品を紛失したり、証拠採用された供述調書に誤認など書類作成のミスが判決直前に発覚したこともあり得る。(元東京新聞警視庁キャップ・三橋正明)