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雌のコウノトリひなが巣立ち 自然繁殖、58年ぶり

休耕田に降り立ったコウノトリのひな=坂井市で(日本野鳥の会福井県提供)

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 県と坂井市は二十六日、同市内の電柱で育っていた国の特別天然記念物コウノトリのひな四羽のうち雌の一羽が巣立った、と発表した。県内で自然繁殖のひなが巣立つのは、一九六一(昭和三十六)年に小浜市羽賀で二羽が巣立って以来で五十八年ぶり。残る三羽も羽をばたつかせ、巣から飛び上がるしぐさを繰り返しており、巣立ちの日は近そうだ。

 コウノトリの巣立ちの定義はひなが巣を飛び立ち、別の地点に着地すること。県自然環境課によると、日本野鳥の会福井県の会員が同日午後五時二十九分ごろ、巣から南へ四百メートルほど離れた休耕田に降り立ったひなを確認。足環(あしわ)から個体番号「J0257」の雌だと分かった。

 巣立った後も、しばらくは巣の周辺でえさを取ったり、夜間には巣に戻ったりするという。親の縄張りから出ていくのは秋以降の見通し。同課や兵庫県立コウノトリの郷公園は、四羽が順調に成長した要因を「九頭竜川に近く、えさが豊富にあった。地域の豊かな自然の証左」と分析。今月八日に足環を装着した際にはひなのくちばしに魚のうろこがたくさん付いていた。

 親鳥は兵庫県豊岡市の人工巣塔で生まれた五歳の雄と六歳の雌。二月下旬からあわら市の北潟湖や坂井市のテクノポート福井周辺、福井市川西地区などを転々とした。鉄塔や電柱に巣を作ろうとしたが、コウノトリの感電や広域停電を危惧する北陸電力が撤去し、その「攻防」は四十回を超えた。四月に現在地へ飛来し、住民と北電の協力で集落内の高さ十四メートルの電柱上で営巣し、産卵。五月下旬から、ひな四羽が順次誕生し、遺伝子検査から雌雄各二羽と判明した。

 (北原愛)

 

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