【ドラニュース】笠原が竜の連敗止めた! 引退覚悟した男が復活の3勝目2019年7月29日 紙面から
長かったトンネルをついに抜けた。中日は28日のDeNA戦(ナゴヤドーム)に4-2で勝ち、連敗を8で止めた。投の主役は6イニングを2失点に抑え、3勝目を手にした笠原祥太郎投手(24)。不整脈を乗り越えて帰還した開幕投手が、反転攻勢の布石を打った。 普段はめったに感情をあらわにしない男が勝利の瞬間、ベンチでガッツポーズを繰り出した。不整脈を克服した笠原が4月19日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)以来となる復活の3勝目。チームの連敗を8で止め、お立ち台ではにかんだ。 「前回やられているし、僕が合流してから連敗が始まったので、何としても勝とうという気持ちで上がりました。ここに戻ってくるのも遅いくらいなんですけど、戻ってこられて良かったです」 1軍に合流した19日から始まった大型連敗。自身も復帰初戦となった21日のDeNA戦(横浜)は4イニング5失点で初黒星を喫した。この日はコンビを組む木下拓と「最初から全球種を使っていく」と確認し、持ち味の緩急を駆使した。 1回無死一塁、筒香を106キロのカーブで一ゴロ併殺打に仕留めて波に乗る。6回無死満塁ではソトに中犠飛を許したものの、続くロペスを111キロのチェンジアップで三ゴロ併殺打。思わず「よっしゃ」とほえ、左拳を握った。 「(球が)浮いて、『やばいっ』と思ったけど、何とかタイミングを外せて最高の形になったので出ちゃいました」。6イニングを4安打2失点。68球で投げ終え、「まだまだいけると思います」と力強く宣言した。 大学2年から自覚していた不整脈が周囲の知るところとなり、4月27日の阪神戦(ナゴヤドーム)で先発を回避。翌日に出場選手登録を抹消された。10連休で検査は先延ばし。発覚のタイミングを恨んだ。 プロ入り後もマウンドで起きていた動悸(どうき)。休めば収まるため「大丈夫」と思っていた。5月10日に「発作性上室性頻拍」と診断され、そのままカテーテル手術を受けることに。部分麻酔で痛みを伴う手術中、思わぬ言葉を耳にした。 「ダメだ。これでは治らない。次」。再度の通電を求める医師のひと言に最悪の事態が頭を駆け巡る。「実家が農業をやっているので、新潟に帰って農業をやろうかと思いました」。もう治らないと早合点した左腕は引退を覚悟した。
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