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『バイオハザード CODE:Veronica 完全版』について

ここでは、2001年3月22日に発売された『バイオハザード CODE:Veronica 完全版』について、杉村升氏が手掛けたシナリオを中心にまとめてみたいと思います。



▼物語▼


アメリカ中西部の小さな街:ラクーンシティ。

国際企業アンブレラ製薬が流出させたT-ウイルスによって、街は崩壊した。

行方不明の兄を捜し、ラクーンシティへ迷い込んだクレア・レッドフィールドは、新任の警官:レオン・S・ケネディと共に辛くも街から脱出したが、それで全てが終わった訳ではなかった。

そして、3ヵ月後…。


S.T.A.R.S.隊員の兄:クリス・レッドフィールドを捜すために、アンブレラ製薬パリ研究所に侵入したクレア。

数々の修羅場を潜り抜けるが、謎の男に捕獲されてしまい、どこかの牢屋へ入れられてしまう。

クレアが意識を取り戻すと、辺りで地響きが起こり、謎の男がやって来た。

「…行け、どこへでも。ここはもうおしまいだ。どこの組織の特殊部隊か知らんが、得体の知れない連中に襲われ、刑務所は全滅した。」

「何ですって?」

「お前の好きにするが良い。島から出られる可能性はほとんどないがな。」

「あなたはどうするの?」

「俺は、ここに残る…。」


謎の男は、クレアを刑務所に護送したアンブレラ製薬パリ研究所第3警備部隊長のロドリゴ・ファン・ラバルという男だった。

牢屋を脱出すると、雨が降っており、突然トラックが爆発する。

そして、トラックの中から燃えたままのゾンビが現れ、地中からもゾンビが現れてクレアを襲った。


ゾンビから逃げて来たクレアは、何者かに銃撃されそうになる。

クレアは銃を拾って反撃するが、銃撃したのはスティーブという少年だった。

「悪ぃな。また化け物が出たかと勘違いしちゃってさ。」

「動かないで!変な真似をすると撃つわよ。」

「そう怒るなよ。謝ったじゃねぇか。俺、スティーブ。この刑務所に捕まってたんだ。あんたもアンブレラって訳じゃないんだろ?」

「違うわ。私はクレア。クレア・レッドフィールド。」

「クレアね。良い名前だな。覚えとくよ。

そうだ、知ってるか?空港があるらしいぜ。そいつを見つけりゃ、こんな所ともおさらばできるぜ。じゃあな。」

「あ、待ちなさい!」

「ダメだぜ、付いて来ちゃ。女は足手まといだからな。」


ゾンビと戦いながら、刑務所内を探索するクレア。

すると、クリスについて調べていたスティーブと遭遇する。

「クリス・レッドフィールドって、あんたの親戚かい?」

「兄さんがどうかしたの!?」

「ふぅん。兄妹なんだ。あんたの兄貴、アンブレラに監視されてるぜ。」

「何ですって!? すぐにレオンに連絡して、監視されてる事を伝えてもらうわ。」

クレアはコンピューターを操作し、外部にアクセスした。

「そこのファイルで、この基地の場所が分かるぜ。ここの場所も教えて、兄貴に助けに来てもらえば?」

「そうね。そうするわ。」

「冗談だよ。いくら兄貴でもここまで来る訳ねぇだろ。」

「兄さんなら来てくれる。絶対に!」

「嘘だ!来るもんか!身内なんか当てにしたって、馬鹿見るだけだぜ!あんたは何も分かっちゃいねぇ!」

スティーブはそう言って、怒って出て行った。


クレアは様々な仕掛けを解き、刑務所から脱出した。

すると、アルフレッドという男の公邸に辿り着き、そこで男女の双子がトンボの羽を千切って蟻に食わせて微笑み合っている映像を見た。

探索を続けていると、スティーブの悲鳴が聞こえ、クレアは声の元へ急いだ。

仕掛けを解き、スティーブが嵌まった罠から解放してやるクレア。

スティーブが手に入れたゴールドルガーを渡してもらおうとするが、スティーブは代わりにもっと凄い武器をくれと要求する。

クレアが悩んでいる隙に、スティーブは逃げて行ってしまうのだった。


スティーブを捜しに行くと、謎の男がクレアに銃撃してきた。

「クレア・レッドフィールド!よくも私の基地をメチャクチャにしてくれたな!」

「一体何の事!?」

「奴らを手引きするために、この基地に潜入したのだろう?」

「何を言っているのか、さっぱり分からないわ。」

「とぼけても無駄だ!私はアルフレッド・アシュフォード。この基地の司令官である。」

「こんな所の司令官だなんて、あなたアンブレラの低級将校ね?」

「何と無礼な!我がアシュフォード家は世界でも有数の名門貴族である。そして、私の祖父はアンブレラ創立メンバーの1人なのだ。

まぁ良い。何故基地を攻撃したのだ?」

「攻撃?」

「貴様が来たと同時にここが攻撃された。この場所は貴様が知らせたはずだ!」

「言い掛かりはよして。そんな事知らないわよ。」

「黙れ!とぼける気か!? 私の大切な基地を破壊し、T-ウイルスをばら撒きおって。おかげでそこら中、ゾンビや化け物だらけではないか!

言え!誰に雇われた?貴様はどこのスパイだ!?」

アルフレッドはクレアを狙って銃撃するが、突然気が変わって好きにさせた。

「どうせ貴様は籠の鳥だ。しばらくは楽しませてもらうとしよう。」


手に入れた操舵輪を使い、潜水艦に乗って移動するクレア。

先へ進むと、そこはスティーブが言っていた空港だった。

スティーブを捜しに戻って来ると、またアルフレッドが襲い掛かって来た。

部屋に閉じ込められ、アルフレッドの声がスピーカーから聞こえてくる。

「ここから先は闘技場だ。特別な場所なので心してくれ。貴様のために用意したのだから。

たっぷりと楽しませてほしい。間違っても呆気なく死んで私をガッカリさせないでおくれ。」


扉を開くと、不気味なクリーチャーがクレアに襲い掛かって来た。

その時、スティーブが助けに現れ、ゴールドルガーを使ってクリーチャーを退治した。

「最高の気分だぜ!ナイトのお出ましだぜ、クレアお姉様。」

「ナイトとはねぇ…。とりあえず、ありがとう。」

「ほら、やっぱ俺が付いてねぇとダメだろ?」

「そうね。だから、これをあげるわ。」

「マシンガンじゃねぇか!俺に?」

「あなたのルガーと交換だけどね。」

「OK、OK!こりゃ最高だぜ!俺にピッタリって感じだな!…あれ?弾が入ってねぇぞ!騙したな!」

「あなたの欲しい物なら、あそこよ。」

「あんな所かよ!?」

「私が取ってあげるから、踏み台になって。」

「ったく…。おい、結構重いな、あんた。早くしろよ。」

「はい、どうぞ。」

スティーブはクレアが拾った弾を受け取った。


その時、アルフレッドが2人を地下へと送り込んだ。

スティーブはマシンガンの試し撃ちも兼ねて、クレアを待たせて1人でゾンビを倒していった。

「ひでぇ所だったけど、バッチリ綺麗にしといたぜ!ざっとこんなもんだ。やっぱ人間なんかより、こいつの方が頼りになるぜ。」

「人間より?…スティーブ、何故ここへ連れて来られたの?家族は…、両親はどこにいるの?」

「うるせぇ!余計な事聞くな!」

「スティーブ…。」

「…気にすんな。行こうぜ!」


先へ進むと、床が抜け落ちてしまう。

クレアは足を挟んで動けなくなってしまい、スティーブの前には1体のゾンビが現れた。

しかし、スティーブはそのゾンビを見て動揺し、撃つ事ができない。

「止まれ…。できねぇ…。…来るな!」

その時、ゾンビはクレアの方に襲い掛かって来た。

スティーブは「親父ーッ!」と叫びながら、そのゾンビをマシンガンで撃ち抜くのだった。


「スティーブ…。」

「親父…。親父…。」

スティーブの父親は、アンブレラの社員だった。

情報を盗んで売ろうとし、それがバレて母親を殺され、父親とスティーブはここへ送り込まれたのだ。

「…気が小せぇ癖に馬鹿な事しやがって。救われねぇぜ…。」

「…しばらくお父さんの側にいると良いわ。」


クレアは1人で探索を続けた。

様々な仕掛けを解き、アルフレッドの私邸に辿り着く。

すると、女性とアルフレッドの会話が聞こえてきた。

「しっかりして、お兄様!あんな小娘相手に何を手こずっているの!?」

「すまない、アレクシア。私だって一生懸命やっているんだ。」

「アシュフォード家の再興はお兄様に懸かっているのよ。」

「分かっているとも、アレクシア。必ずやこの手で栄華を取り戻し、お前を栄光あるアシュフォード家の当主に!」

「後は任せて、お兄様。あの2人の始末は私が…。」

その時、アレクシアと呼ばれた女性がクレアに気付き、クレアは姿を隠した。

やがて、アレクシアとアルフレッドはどこかへ行ってしまった。


刑務所の牢屋に戻って来たクレア。

手に入れた止血剤をロドリゴに渡し、兄から貰ったライターをあげる事にした。


公邸へ行くと、謎の男がクレアに話し掛けて来た。

「お前がクリスの妹:クレア・レッドフィールドか。」

「誰なの?」

「お前の兄:クリスに殺され、復讐のために地獄から蘇った亡霊だ。」

「ウェスカー…。」

「その通り。この島を攻撃したのも、この俺だ。まさかお前がここに捕まっているとは知らずにな。

だが、却ってそれが幸いした。お前はクリスをここに呼んでくれた。妹想いの奴は、必ずこの島へ現れるだろう。楽しみだよ。」

「何があったか知らないけど、あなたの逆恨みよ。兄さんはそんな人じゃないわ!」

すると、「俺はクリスが憎い!」と言って、ウェスカーがクレアに掴み掛かって来た。

「兄さんに何をするつもりなの!?」と言われ、クレアを殴り飛ばして踏み付けるウェスカー。

「お前が死ねば、クリスは悲しむだろう。」


その時、ウェスカーの元に何かの連絡が入った。

ウェスカーはクレアを蹴り飛ばし、「お前にもう一活躍してもらった方が良さそうだ。もう少しその命を預けよう」と言う。

ウェスカーは赤く眼を光らせ、驚異的な身のこなしで姿を消すのだった。


クレアは再び私邸を探索した。

悪趣味な仕掛けを解き、アルフレッドの手記なども発見した。

すると、アレクシアが現れ、クレアに銃を向けて来た。

「やっと会えたわね…。でも、もうお別れよ。私は、アレクシア・アシュフォード。お兄様に成り代わって、お前を殺してやる!」

追い詰められるクレア。


その時、スティーブが助けに駆け付けて来た。

スティーブはアレクシアと相撃ちになるが、「擦り傷だ」と言って、隠し扉に逃げたアレクシアを追った。

部屋の中を調べていると、アルフレッドが襲い掛かって来る。

しかし、アルフレッドは自分の顔を鏡で見て、奇声を上げながら行ってしまった。

「訳分かんねぇよ。何がどうなってんだ!?」

「アレクシアなんて初めからいなかったのよ…。」

「あいつ、二重人格だったのか…!? もうたくさんだ。こんな所、早く出て行こうぜ。」


やがて、基地の爆破装置が作動した。

クレアとスティーブは潜水艦に乗り、空港へ急ぐ。

リフトを動かし、跳ね橋を上げ、飛行機で脱出しようとする。

しかし、爆発5分前になって、アレクシアの人格をしたアルフレッドがタイラントを送り込んだ。

クレアはタイラントと戦ってこれを倒し、スティーブと共に島から脱出するのだった。

「やった!とうとう脱出したぜ!」

「これで自由になれたのね。」

「…クレア、悪かったな。俺、お調子者だから色々迷惑掛けてさ。」

「何言ってるの。お互い様じゃないの。」

「兄さんに会えると良いよな。俺は…、独りぼっちになっちまったけど。」

「スティーブ…。」

「ところで、これからどこへ行く?クレアの行きたい所、どこへでも行くぜ。」

「今頃だと、ハワイがシーズンね。」

「決まりだ!」


しかし、アレクシアの人格をしたアルフレッドが戦闘機に乗って後を追い掛けて来た。

カーゴルームのハッチが開き、クレアが調べに行くと、生き残っていたタイラントが乗り込んでいた。

射出用カタパルトを使用し、タイラントを飛行機から落とすクレア。

だが、飛行機が勝手に自動操縦に切り替わり、アレクシアの人格をしたアルフレッドがモニター越しに話し掛けて来る。

「申し訳ないけど、そう上手くは行かないのよ。」


身を寄せ合い、寒さを凌いでいたクレアとスティーブ。

スティーブはクレアの寝顔を見つめ、そっとキスをしようとした。

その時、クレアが目を覚まし、スティーブは気付かれないように誤魔化して悔しがった。

そして、2人は南極に来ている事に気付くのだった。


先に逃げて行った飛行艇を見つけ、ここもアンブレラの基地だという事を知るクレアとスティーブ。

乱暴に着陸したものの、何とか気を取り戻した。

飛行機を飛び降りたスティーブは、クレアが飛び降りるのを受け止め、思わず抱き締めてしまう。

クレアは何事もなかったかのようにスティーブに手を伸ばすが、スティーブはクレアの手を取らずに立ち上がった。

そして、2人は手分けして出口を探す事にした。


南極基地にもゾンビや化け物はいた。

探索していたクレアは、アレクサンダーの手記という物を見つける。

「私の父:エドワードは、同じ貴族出身のスペンサー卿と協力して始祖ウイルスを発見し、軍事利用のための研究を重ねた。

やがて、研究成果が出始め、始祖ウイルスの変異体を総じてT-ウイルスと呼ぶようになった。

その研究をカモフラージュするために、父たちはアンブレラ製薬を設立した。

息子の私は、遺伝子工学が専門で、父の研究をサポートするための極秘プロジェクトを進めていた。

しかし、私の研究は難航し、プロジェクト半ばにして父は亡くなってしまった。

私の代で、T-ウイルスの研究において他の研究者に大きく遅れを取り、偉大なる始祖:ベロニカから始まるアシュフォードの家名を地に落としてしまった。

このままでは、アンブレラをスペンサーに支配されてしまう。スペンサーに悟られぬよう、プロジェクトを早急に進めなければならない。

私は全てを考慮し、南極の廃坑跡を利用した輸送ターミナルに大規模な最新研究設備を用意する事にした。

設備内には、今は亡きトレバーが遺した我が屋敷の設計図を基に、同じ部屋を作らせよう。

機密保持のため、この極秘プロジェクトをコードネームで呼ぶ事にする。

それは、私が再来を望んでやまない美しきアシュフォードの始祖:ベロニカ。

彼女の名に相応しい研究成果が、再びアシュフォードに栄光をもたらすに違いない。」


探索を続けていたクレアは、スティーブと再会した。

「ここから10kmぐらい先に観測基地があるみたいだ。そこまで行けば助かるぜ!」

「あの掘削機で外へ出られたら、そこまで行けるわね。」

「よし、俺に任せとけ!」

掘削機を持ち上げる操作をしながら、クレアを気にするスティーブ。

余所見をして掘削機をぶつけてしまい、毒ガスが噴き出してくる。

「何やってんだろう、俺…。」

「落ち込んでる暇ないわよ。良い、スティーブ。ここから必ず2人で脱出するのよ。

まず、ガスを何とかしないと。別れて方法を探しましょう。」

飛び出して行こうとするスティーブに、クレアは改めて強調した。

「忘れないで!帰る時は、必ず…一緒よ!」


手に入れたガスマスクとバルブハンドルを使い、毒ガスを止めたクレア。

その時、アレクシアの人格をしたアルフレッドが現れ、クレアに銃を向けた。

すると、スティーブが助けに現れ、アルフレッドを撃ち落とした。

そして、辺りに不気味な咆哮が響き渡り、謎の怪物が動き出した。


クレアとスティーブは掘削機に乗り、壁を突き破った。

外へ出て、脱出を図ろうとする2人。

その時、謎の怪物:ノスフェラトゥが現れた。

ノスフェラトゥの触手で落とされそうになってしまうスティーブ。

クレアは襲い来るノスフェラトゥと戦い、これを倒す。

そして、スティーブに手を伸ばし、引き上げる事に成功するのだった。

「ごめん、またヘマやっちまって…。」

「良いのよ、そんな事。行きましょう!」

「…今度は必ず守るよ、クレア。」


クレアとスティーブは雪上車を発見した。

それに乗り、観測基地まで行こうとする2人。

一方、アルフレッドは研究施設で目を覚ましたアレクシアと再会し、力尽きる。

そして、巨大な触手が雪上車に襲い掛かり、破壊されてしまうのだった。


その頃、クリスはクレアたちがいた島に駆け付け、ロドリゴと出会った。

「まだこの島に生きてる奴がいたのか…。誰だ?」

「妹を捜しに来た。」

「妹を?」

「名前はクレア・レッドフィールド。知らないか?」

「クレアだと?」

「知ってるのか!?」

「心配するな。俺が逃がしてやった。飛行機が何機か飛んで行くのが見えた。多分そいつに乗ってこの島から脱出したんだろう。」

「そうか。妹が世話になったようだ。礼を言う。」

「ここにはもう誰もいない…。残ってるのは俺だけだろう。行きな。妹を追って早くこの島から出て行くんだな。」


その時、ロドリゴが巨大な砂虫に食べられてしまう。

クリスは砂虫を倒し、ロドリゴを吐き出させた。

「おい!しっかりしろ!」

「…こ…これで家族の所に…い…行けるぜ…。こ…これを…。」

「何だ?」

「助けた…礼に…貰ったんだ…。俺には…もう…用がな…い…。」

ロドリゴはクリスにクレアから貰ったライターを返し、力尽きるのだった。


クリスが探索を続けていると、アレクシアがアルフレッドに子守唄を歌っている映像が流れてきた。

それを別の場所で見ていたウェスカーは、クリスが現れた事も確認する。

「クリス…、やはり現れたな。待っていろ、クリス。今、プレゼントを送ってやる。俺から旧友へのささやかなもてなしだ。」


監視ロボットに見つかったクリスは、ウェスカーの送り出したハンターに狙われてしまう。

しかし、クリスはこれを退け、仕掛けを解きながら先へ進んで行った。


やがて、クリスはウェスカーと再会した。

「…生きていたのか!? 何故ここにいる!?」

「目的はアレクシアだ。」

「何?」

「彼女を捕らえるために雇われた。」

「それじゃあ、ここを襲ったのはお前か!まさか、クレアも…!」

すると、ウェスカーは超人的なパワーでクリスに襲い掛かって来た。

「お前が憎い。八つ裂きにしても足らないほどな。お前が俺の計画を打ち壊した…。だから、俺は新たな組織に魂を売った。ここで死ね!」

クリスは抵抗してウェスカーのサングラスを叩き落とすが、ウェスカーは赤い眼をして話を続けた。

「最後に教えてやる。ここのデータからお前の妹は南極にいる事が分かった。そして、アレクシアもな。残念だな。妹に会えずに死ぬとはな。」


その時、アレクシアがモニター越しに笑い掛けてきた。

ウェスカーはクリスを投げ飛ばし、姿を消す。

クリスは現れたバンダースナッチを避け、先へ進んで行った。


戦闘機を見つけたクリスは、それに乗り込んで南極を目指した。

南極基地に到着し、戦闘機を着陸させるクリス。

クレアを捜索していると、アルフレッドの日記を見つけた。

そこには、開かずの間にアルフレッドとアレクシアの出生の秘密が隠されている事、それを知ったアルフレッドが父:アレクサンダーに憎しみを持った事、アレクシアがアレクサンダーに人体実験を施し、それがノスフェラトゥの正体である事、それで何かを掴んだアレクシアが自分自身を実験体にし、15年間の眠りに就いた事などが綴られていた。


監視ロボットを見つけたクリスは、ウェスカーもここにいる事に気付く。

そして、研究施設でアレクシアが記したウィルス研究レポートを見つけた。

「女王蟻から採取したT-Veronica。研究すれば研究するほど、その秘められたポテンシャルには驚かされる。

私はついにウィルスを自分自身に移植し、その力を得る方法を突き止めた。

父で実験した時の失敗を回避するには、低温でウイルスの活動を抑え、緩やかに細胞を変化させれば良い。

私の計算では、ウイルスに対する免疫を持ち、共存できるようになるまで15年は掛かる。

その間、私を守るのはカプセルと、忠実だが無能な兵隊蟻である兄だけだ。

だが、絶大なる力を得るためには、多少の犠牲やリスクはやむを得ない。

復活の時、私は女王として目覚める。そして、我が子らによってT-Veronicaが世界中に放たれ、地球上の全生物が私のしもべとなる。

そう、地球も私の蟻塚のように美しい一つの生態系となるのだ。」

研究施設で謎解きをしたクリスは、現れたカプセルから出てきたアルフレッドの死体から、アルフレッドの指輪を入手した。


手に入れたクレーンの起動キーを使い、クレーンを動かすと、ノスフェラトゥの死体が引き上がる。

すると、笑い声を上げながらアレクシアが現れた。

「それが虫ケラには相応しい最期ね。お前もそうなるのよ。どんな最期がお望みかしら?」

アレクシアはそう言って、大蜘蛛を送り出して姿を消し、クリスはノスフェラトゥの死体の側からアレクサンダーピアスを手に入れた。


クレアの捜索を続けるクリス。

すると、ラクーンシティの郊外にあった洋館と似た場所で、繭の中で気絶しているクレアを見つける。

クリスはコンバットナイフを使ってクレアを救出し、気を取り戻したクレアはクリスとの再会を喜んだ。

「無事で良かった。まずここから脱出しよう。」

「待って。まだスティーブがいるわ。」

「スティーブって?」

「孤島から一緒に逃げたんだけど、襲われた時に離れ離れになって…。」

「もしかして、この基地のどこかに?」

「間違いないわ!」


その時、笑い声を上げながらアレクシアが現れた。

「虫ケラに相応しい死に場所へ今から案内してあげるわ。」

「もしかしたら、彼女がスティーブを!」

「追いましょう!」

アレクシアを追い掛けるクレアとクリス。

すると、巨大な触手が現れ、クリスが負傷してしまう。

やがて、スティーブの叫び声が聞こえ、クリスはクレアを先へ行かせた。


捕らえられているスティーブを見つけたクレア。

しかし、斧で固定されているスティーブを解放する事はできなかった。

「あの女が俺に…自分の父親にしたのと…同じ実験を…してやるって…。完全に…イカれてるよ…。」

すると、突然スティーブが苦しみ出した。

「く、苦しい…!ク、クレア…、助けてくれ…。た、助けて…。ク、クレア…!」


その時、スティーブは血を吐き出し、不気味な怪物へと変貌した。

斧を持ち、クレアに襲い掛かるスティーブ。

檻を下ろして身を守るクレアだが、巨大な触手が襲い掛かって来る。

やがて、檻を破ったスティーブがクレアに近付き、斧を振り下ろそうとする。

しかし、クレアが殺される寸前の所で、スティーブが意識を取り戻し、斧で触手を切り落とした。

そして、触手の攻撃でスティーブは突き飛ばされ、元の体に戻っていくのだった。


「…スティーブ。」

「あ、温かい…。」

「スティーブ…、しっかりして。兄さんが助けに来たの。ここから出ましょう。」

「良かった…。兄さんは来てくれたんだね。俺は…、ダメそうだ…。」

「何を…、何を言ってるの?」

「会えて良かった…。君が…、君が好きだったよ…。クレア…。」

そう言って、スティーブは力尽き、クレアは泣き崩れた。


その頃、アレクシアの前にはウェスカーが現れた。

「とうとう見つけたぞ、アレクシア。一緒に来るんだ。

お前は素晴らしいウイルス:T-Veronicaを作った。そして、そのサンプルは今、お前の体内にしかない。それが欲しいんだ。さぁ!」

「私が欲しいですって?できるものならやってごらん。」

そう言って、アレクシアは怪物の姿に変わり、ウェスカーを攻撃した。

超人的なパワーを持つウェスカーだが、T-Veronicaと一体化したアレクシアには敵わなかった。

様子を見ていたクリスは、ウェスカーに気付かれてしまい、アレクシアの相手を任せられる。

クリスは何とかアレクシアを倒し、側に落ちていたアレクシアチョーカーを手に入れた。


アルフレッドの指輪・アレクサンダーピアス・アレクシアチョーカーから宝石を取り出し、洋館の壁画に填め込むクリス。

すると、開かずの間への通路が開き、コード:ベロニカ報告書というファイルを見つける。

「長年に亘る研究により、知能を司る遺伝因子を特定できた。

その因子の塩基配列を組み替える事によって、人工的に知能の絶対値を操作する事に成功したのだ。

私は偉大なる始祖の遺伝子を基に、その因子を操作して、代理母体の未受精卵に移植した。

予定外だったのは、男女の双子が生まれてきた事だ。男児の方は普通よりは知能は高いが、天才ではなかった。

しかし、女児は史上類を見ないほど天才的な知能を備えていた。彼女は私が目指した物、まさに偉大なる始祖の再来だった。

2人の名は決めてある。女児はアレクシア。男児はアルフレッド。

アレクシアは、アシュフォードの名を栄光の極みに高めるだろう。 アレクサンダー・アシュフォード」


探索を続けていたクリスは、クレアの泣き声を聞いた。

しかし、扉が閉まっていて開かず、対面する事はできない。

「クレア!スティーブも一緒なのか!?」

「…スティーブ…、スティーブが…。」

「良いかい、クレア。すぐにここから出よう。中から開かないのかい?」

「ダメ…。できないの。…兄さん、どこかに自爆装置があるはずなの…。作動させる事ができれば、電磁ロックが解除されるかもしれない…。」

クレアはそう言って、扉の隙間からクリスにセキュリティファイルを渡した。


セキュリティコードを入力し、自爆装置を作動させ、全てのドアロックを解除させたクリス。

爆発まであと5分となったが、クレアと再会を果たす。

急いで脱出しようとするが、巨大な触手が襲い掛かって来た。

そして、触手から復活したアレクシアが生み出された。

「奴は俺が始末する。お前は先に行け!」

「兄さん!でも…、」

「ここは俺に任せろ!行け!行くんだ!」

「…必ず来てね、兄さん!絶対に死なないで!」


クリスがアレクシアを撃つと、アレクシアはさらに強化した怪物へと変貌した。

アレクシアは羽蟻たちが集まってさらに強化するも、クリスに倒されてしまうのだった。


急いで脱出しようとすると、クレアがウェスカーに捕まっていた。

ウェスカーを追い掛けるクリス。

「見事だったな、クリス。結局アレクシアの研究は、大したものではなかった訳だ。こうなったら、後はお前への復讐を果たすだけだ!」

「妹を放せ、ウェスカー。目的は俺だけだろう。」

「良かろう。嬉しいぞ、クリス。アレクシアを追って来て、貴様を殺せるとは思わなかった。」

「悪かったな。アレクシアはもうお前に手には入らないぜ。」

「別に構わんよ。俺の手にはスティーブがあるからな。」

「何ですって?」

「奴の体内にはT-アレクシアが残っている。良い研究材料になるだろう。ひょっとしたら、俺のように蘇り、いつかお前の妹と再会できるかもしれんな。」

「貴様!」

「スティーブを返して!」

「お嬢さん。残念だが、スティーブは先に部下が運び出したよ。」

「お前は先に行くんだ、クレア。」

「兄さんは?」

「俺はS.T.A.R.S.の生き残りとして、奴を倒さなければならない。」

「分かったわ!さっき約束したものね。」

クレアはクリスを信じ、先に脱出した。


「今度こそ決着を付けてやる。貴様のせいで死んでいった仲間たちにあの世で詫びるんだな。」

「大した自信だな、クリス。」

サングラスを捨て、クリスに迫り来るウェスカー。

クリスは鉄パイプでウェスカーに殴り掛かるが、ウェスカーに受け止められて蹴り飛ばされてしまう。

ウェスカーはその後もクリスを殴り続けた。

「どうだ!人間である事と引き換えに手に入れた俺の力は。そのためならどんな手段でも使ってやる。あの世に行くのはお前だ。」

しかし、クリスはウェスカーの攻撃を避け、レバーを引いて大量の鉄柱をウェスカーに落下させた。

だが、ウェスカーは起き上がり、クリスに近付いて来た。


その時、爆発が起こり、ウェスカーの顔に酷い傷跡が現れる。

「悪運の強い奴め。覚えておけ、次に会う時が貴様の最期だ。」

「良いだろう。」

「また会おう、クリス!」

ウェスカーはそう言って、笑いながら爆発に巻き込まれていった。


クレアの元へ急ぐクリス。

爆発の勢いで戦闘機にしがみ付き、クレアと共に南極基地から脱出した。

「兄さん…、約束して。もうどこにも行かないって。」

「すまない、クレア。それはできない。まだ俺にはやり残した事がある。」

「兄さん、まさか!?」

「そうだ!借りは返してやる!アンブレラを壊滅させてな!一気にカタを付けてやるぜ!」




▼解説▼


本作は2000年2月3日にドリームキャストで発売された『バイオハザード CODE:Veronica』を改修した物です。

イベントシーンなども追加されており、後に移植された作品は本作が元になっているようなので、本ブログでも2001年3月22日発売の完全版を記載してきたいと思います。


EDのスタッフロールによると、シナリオには杉村升氏の他、曽田博久氏・宮下隼一氏・浅香晶氏・いしぜきひでゆき氏・鈴木康之氏が関わっているようです。

いしぜき氏以外は全員、東映特撮ヒーロー番組の経験者という所は、意外と知られていない所だと思います。

制作タイミング的には、杉村氏が宮下氏・浅香氏・鈴木氏と組んだ最初の作品だと言えそうです。


冒頭の展開がダイナミックな所は、杉村氏らしいと思いました。

『バイオハザード2』と同じくクレアが主人公ですが、本作ではよりクールかつ強くなっていると言えます。


本作の時系列は、『バイオハザード2』の1998年9月29日(〜30日)から3ヵ月後の1998年12月という設定です。

クレアがアンブレラ製薬パリ研究所で捕まったのは12月17日で、その10日後の12月27日に本作のバイオハザードが発生した事になっています。


島が舞台になっている所は、『バイオハザード ガンサバイバー』を彷彿させます。

刑務所があって囚人が次々と連行されたり、残虐な司令官が登場したりする所も、『バイオハザード ガンサバイバー』を彷彿させました。

ちなみに、本作の島はロックフォート島というようで、南半球にあるようです。(そのため、12月でも夏季になっています。)


スティーブとクレアのやり取りが微笑ましく、ハードな状況の中でホッとできるシーンになっています。

それだけに、スティーブが怪物に変化する展開は悲痛ですし、アレクシアを許せないという気持ちに拍車を掛けていると言えます。

本作は杉村氏にしては珍しい、悲恋物語になっていると思いました。


スティーブが家族に対して苦い思いを持っている所は、杉村氏らしい描写だと思いました。

しかし、スティーブは家族の写真を所持しており、好きだからこそ素直になれない(逆の事を信じてしまう)というのは、いかにも杉村氏らしいキャラクターだと言えます。

兄が来る事を信じていて本当に兄に会えたクレアに対し、素直に心から喜べるように変化している所も、杉村氏らしいと思いました。


アルフレッドの狂っている感じも、杉村氏らしいキャラクターだと思いました。

妹に対する極度のシスコン振りは、同じ杉村作品の『機動刑事ジバン』の直人を彷彿させます。

ちなみに、執事の置き手紙によると、アルフレッドが壊れてしまったのは、幼くして愛する肉親を全て失われた悲しみが原因だとフォローされていました。


アルフレッドとアレクシアはクローン人間でもあるようです。

差別されて育てられた双子という意味では、同じ杉村作品の『五星戦隊ダイレンジャー』の阿古丸とコウを彷彿させます。

自分が生み出した元凶(子ども)にやられてしまうアレクサンダーも、実に杉村脚本らしいキャラクターだと言えます。


あまり強調されていませんでしたが、兄を信じているクレアと、兄を信じていないアレクシアも、対比になっていたのだと思います。

最終的にクレアがアレクシアを倒すのかと思いきや、クリスが倒してしまうという展開も、意外性がありました。


『バイオハザード』との繋がりを持たせている所は、原作との繋がりを大切にする杉村氏らしいと思いました。

自爆装置が作動するのは、バイオハザードシリーズ(カプコンゲーム)恒例ですが、自分から作動させる展開は珍しいと思いました。



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  1. 2016/12/24(土) 17:48:24|
  2. 杉村升コーナー③
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