漆黒の英雄譚   作:焼きプリンにキャラメル水
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※注意※

まず初めにこの作品を読んで頂き感謝致します。

『大幅修正・追加を終了するまで文章を全体的に変更しない』と言っていました。まだ大幅修正などは終わってません。なので文章は変更されていません。
まだ終わってなくてすみません。

ですがどうしても書きたい内容がありましたので本日更新させて頂きました。
ちなみに書きたい内容はまだ少し先の話です。
どうか今後ともどうかよろしくお願いします。

焼きプリンにキャラメル水

※※※※


新たな出会い2

少し時を遡り・・・

 

アインズがモモンと話している時であった。

 

-----<アインズ様。エントマです。至急お伝えしたいことが>-----

 

-----<続けてくれ。エントマ>-----

 

-----<カルネ村に侵入した不審な人物を発見しましたので捕らえました>-----

 

-----<不審な人物?分かった。すぐに向かう>-----

 

そう言ってアインズは転移門(ゲート)の魔法を使用した。

 

 

 

 

 

アインズはカルネ村に帰還した際に使用したのは転移魔法の最上位に位置する<転移門(ゲート)>である。

 

この魔法には大きく分けて二つの性質がある。

一つは「失敗しない」ということだ。転移魔法は通常失敗する可能性がある。だが<転移門(ゲート)>ならば失敗はしない。もう一つは「距離」である。転移魔法とは通常、<転移(テレポーテーション)>などに代表されるように「距離」に制限がある。だが<転移門(ゲート)>の場合はこの限りではない。何と驚くことに転移できる距離は「無限」なのだ。それにより自身の把握する場所であればすぐさま転移できるのだ。要するに任意の場所に転移できるのだ。

 

それゆえアインズは転移先をカルネ村の使われていない家の1つに転移した。理由はエントマから報告を受けた『侵入者』に「アインズが転移魔法を使用できる」と知られたくないからである。

 

「・・・・」

 

アインズはすぐに家のドアに手を掛けて外に出た。

 

 

 

 

 

村の中を歩いていると何やら人が集まっている。

 

(エントマはあそこだな)

 

人ごみとなったその場所から一人の少年がアインズの存在に気付き、駆け寄った。

 

「アインズ様!」

 

「ンフィーレア」

 

「誰かがカルネ村を監視していたらしいです!お願いです。早く来てください」

 

「分かった。すぐに行く」

 

そう言って近づくと周囲の村人がアインズの存在に気付く。

 

 

 

「アインズ様だ」

 

「アインズ様。どうかお願いします」

 

「アインズ様。あの女がカルネ村を監視していました」

 

「アインズ様。あの女は透明になって姿を隠していたらしいです」

 

 

 

彼らが道を空ける様子は無かったので人ごみに近づいたアインズは仕方なく魔法を唱えた。

 

 

 

 

 

アインズは人ごみを通り抜けるために<飛行(フライ)>を唱える。人ごみの先に二人の女を見つけた。

 

一人はシニョンという髪型をしたメイド服を着たアインズの配下。

 

もう一人は後ろ手に縄で拘束されている長い赤毛の女であった。長い赤毛を三つ編みにしており炎の様に輝いていた。褐色の肌が女の赤い毛とこれ以上ないくらいに似合っていた。だがそれと同じくらい非常に端正な顔立ちをしていた。

 

アインズはひとまず自身の配下であるエントマが無事であったことを確認し安堵する。

 

 

 

 

 

アインズが地面に着地する。二人がアインズの存在に気付いたのかこちらに視線を向けた。

 

「いやー!捕まっちゃったっす!」

 

そう言って笑顔で語るのは赤毛の女であった。アインズは赤毛の女をチラリと見るとすぐに自身のメイドであるエントマに声を掛けた。

 

      ・・・・・

「この女か?エヌティマ」

 

「はい。アインズ様。この女が不可視化の状態でカルネ村を監視していました」

 

「いやー!エヌちゃんには参ったっすよ!」

 

 ・・・・・

「エヌティマ、詳しい話を聞かせてくれ」

 

「はい。アインズ様。実は_________」

 

◇◇◇◇

 

◇◇◇◇

 

◇◇◇◇

 

「ふむ・・成程な」

(エントマの言う事から考えるに<不可視化(インヴィジビリティ)>を使用していたのだろう。この女がカルネ村を監視していたのは間違いないな。だが問題は・・)

 

アインズが考えた問題は他国からの偵察などだ。『魔導国』を建国位してまだ時間はそこまで経ってはいない。それゆえ今は他国との争いは望んでいない。

 

(スレイン法国なら面倒だな・・・)

 

スレイン法国とは一度争っている。カルネ村を助けるために王国戦士長であるガゼフ=ストロノーフと共に陽光聖典をほぼ全滅させた。

 

(もしあの時の報復などだとしたら・・・警戒するべきだろうな)

 

 

 

アインズが考えていると赤毛の女が口を開いた。

 

「いやー、あなた様がアインズ様ですか?」

 

「・・そうだが。お前の名前は何という?」

 

「私の名前はルプスレギナっす。ルプーと呼んでほしいっす!」

 

村の監視を命じられた割には随分と明るい喋り方をする女だとエントマは思った。

 

 

 

「どうしてカルネ村にいたんだ?」

 

「いやー!『ある御方』にカルネ村の監視を命じられたっす!」

 

「やはり監視か。それでその『ある御方』とは誰だ?」

 

「それは勘弁してほしいっす!」

 

「教えてもらわないとこちらが困るんだが」

 

「申し訳ないっす!守秘義務っす!禁則事項っす!」そう言ってルプスレギナは両手の人差し指を口の前で交差させた。

 

「この村を監視していたという者をそのまま野放しにするとでも?」

 

「いやいや!そこは本気でお願いするっす!上司にバレたら殺されるっす!」

 

(殺される?・・・随分物騒だな。だが嘘は言っていない様だ・・)

 

 

 

「アインズ様、どうなさいますか?」

 

「そうだな・・まずは・・」

 

 

アインズが尋問しようと手を伸ばした時だった。突然ルプスレギナが両手を拘束された状態で逃げ出したのだ。

 

「うわあー!!殺されるっす!勘弁してほしいっす!!」

 

「!?っ・・この!!」エントマはアインズの行動を邪魔したルプスレギナに思わず殺気を飛ばしていた。

 

    ・・・・・

「よせ。エヌティマ」

 

「しかし、この女は・・」

 

 

二人がそんなやり取りをしている間にルプスレギナはこちらに身体を向けて両手を差し出した。そこには拘束するために使われているはずの縄がなかったのだ。

 

 

「なっ・・・」エントマは思わず懐から自身の武器を出そうとした。

 

    ・・・・・

「よせ。エヌティマ。ルプスレギナに手を出すな」

 

「しかし!?」

 

 

 

そんな二人を見たからかルプスレギナは突然微笑み、先程までとは異なる口調で話し出した。

 

「アインズ・ウール・ゴウン、それとエヌティマ。あなたたちの名前は覚えたわ。さよなら」

 

そう言ってルプスレギナは二人に背中を見せて全力で走り出した。

 

 

 

「待て!」

 

エントマは追いかけようとした。しかしその様子を見たアインズは腕で制した。

 

「アインズ様!!?」

 

止められたことに驚いたエントマは思わずアインズの方に視線を向けてしまう。ハッとルプスレギナのいた方向に視線を戻すとそこには誰もいなかった。

 

 

 

 

「よい。これで良いのだ。エントマ」

 

「分かりました。アインズ様。ですが一つお訪ねしたいことがあります」

 

「何だ?」

          ・・・・・

「何故先程私のことをエヌティマとお呼びになったのですか?」

 

「簡単だ。それはな___________________」

 

 

 

 

 


 

 

 

カルネ村から大きく離れた位置まで走った。念のためにルプスレギナはカルネ村の方に目をやって追手がいないことを確認する。自身のこめかみに指を当てて<伝言(メッセージ)>を唱えた。

 

<ルプスレギナです>

 

<ご苦労様です。それでカルネ村に偵察に行った結果はどうでしたか?>ルプスレギナは労いの言葉を皮肉に言う相手に対して普段通りの丁寧な口調で返答した。

 

<問題はないかと思われます。ただしアインズ・ウール・ゴウンには思ったよりも警戒されなかった様にも思えました>

 

<問題ありません。少しは警戒はされたのでしょう?ならば問題ありませんよ。これで彼が動く心配はないでしょう。報告は以上ですか?>

 

<それとは別に報告があります>

 

<何ですか?>

 

<アインズ・ウール・ゴウンが建国した『魔導国』ですが、その国の領土であるカルネ村を管理を任されているのは『エヌティマ』と呼ばれる小柄なメイドです>

 

<あなたから見て、そのエヌティマはどうでしたか?勝てそうですか?>

 

<相手の詳しい情報までは得られませんでしたが、接近戦ならば私の方に分があるかと・・>

 

<成程・・・。いい報告が聞けました。そのまま合流地点まで向かって下さい>

 

<確か・・合流地点は王都でしたね?>

 

<えぇ。王都リ・エスティーゼに向かって下さい>

 

                ・・・・・・

<承りました。すぐに向かいます。ヤルダバオト様>メッセージを切ったルプスレギナは自身の胸に手を当てた。胸の奥・・自身の心臓に仕掛けられた『それ』の魔力を感じる。

 

 ・・・・・

(こんなものが無ければ、このまま逃げれる・・・・いや不可能っすかね)

 

(アインズ・ウール・ゴウン殿。あの方ならヤルダバオトに勝てるっすかね?もし・・そうなら・・)

 

ルプスレギナは自分の考えを捨てるように首を2.3度振ると再び走り出した。

 

(ヤルダバオトに人質にされた『あの子』が消されてしまう。今は王都リ・エスティーゼに向かわないと!!)

 

ルプスレギナは王都に向かおうと走り出した。

 

 


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