首都東京への人口集中の煽りを受けて、荒川を越えた先の埼玉県にも多くの住民が移り住んでいる昨今、特に人口流入の激しい「戸田市」は人口増加率が県内1位で10.6%(2015年国勢調査、埼玉県ホームページによる)、人口減少社会の今のご時世で5年で人口が1割も増えている自治体は全国でも稀であるが、その理由は至極単純で、何はなくとも「戸田は東京に近いのに家賃相場がお安い」以外の何者でもない。
首都圏移住組が熱視線を送る街、戸田市の「美女木」にやってきた。ここは戸田市の中でも最も辺鄙で、埼京線の駅からも遠く離れている故に土地の値段がべらぼうにお安く、そのくせ貧乏暮らしをするには欠かせない様々な店舗がやたらと揃っている。お金に困って都落ちしそうになる前に是非この地域の事を知って頂きたい。(埼玉に出た時点で都落ちだろ、という野暮なツッコミは無しでお願いします)
交通超絶至便!「美女木ジャンクション」が貴方の都市生活を支える
戸田市美女木のシンボルマークと言えばこちら、高速道路、一般道路、歩道橋含めて六層構造になっている十字の要塞「美女木ジャンクション」。埼京線の駅から遠いというデメリットも、自家用車さえあれば気にならない。都内から新大宮バイパスや首都高に乗って美女木までサクっと来られる。あの池袋にも渋滞が無ければ30分ちょい(首都高利用)でドア・トゥー・ドア、さらには大宮、さいたま新都心にもすぐ買い物に行ける便利な街なのである。
高速道路の乗り換えで珍しく信号機の付いた交差点がある事で知られる「美女木ジャンクション」。ここから首都高で大宮・池袋・都心方面にも行けるし、外環道を使えば大泉から関越道、川口から東北道、三郷から常磐道へも楽々アクセス可能。さらに外環道の延伸で市川方面に直結し東関東道(成田空港方面)にも行けるし、数年先には杉並、世田谷方面に伸びて中央道や東名高速にも繋がる予定である。これは「美女木最強」と言う他ない。武蔵小杉最強伝説などもはや過去の話なのである。
戸田市美女木暮らしを支えるコスパ最強店舗の数々
さらに戸田市美女木には首都圏の貧乏人各位が咽び泣くコスパ最強の店舗がこれでもかと言うほどに揃っている。
埼玉最強ディスカウントスーパー「ロヂャース戸田店」
その代表格が埼玉を中心に展開するディスカウントスーパー「ロヂャース戸田店」(戸田市美女木1-31-3)である。本店が一店舗だけしれっと都内の吉祥寺に置いてあるものの、他の店舗は全て埼玉県内にあるという「隠れ埼玉企業」…食料品から日用品・衣料まで、圧倒的な品揃えと安さで貴方の貧乏暮らしを支える強力なパートナーになる事請け合いである。
特に弁当コーナーは越谷の「スーパーマルサン」に匹敵する激安価格で販売されているのがロヂャースクオリティ。共に「埼玉県で一番安い弁当」とアピールしまくっている。若鶏竜田揚げ弁当、税抜237円。夕時の惣菜コーナーは仕事帰りのドカチン労働者が群がり軒並み戦争状態である。
土日限定マグロ食べ放題千円「新・函館市場」
人間無いものねだりが常であるが、海なし県・埼玉県民が「海鮮料理」を求める思いの強さは他県の追随を許さない。戸田市美女木にも「マグロ食べ放題」をやっている「新・函館市場」(戸田市美女木4-9-8)という太っ腹な店がある。海だけではなくお金もないビンボーな戸田市民がこの店でも咽び泣くのである。
この店舗では土日限定メニューとして「マグロ食べ放題」を大人1名1000円(税抜)、小学校3年生以下の子供1名500円(税抜)で行っている。赤身とネギトロが載ったマグロ丼、まぐろソースカツ丼、まぐろカツカレー、まぐろメンチカツカレーの四種類のいずれかと、おかわりとして具材を好きなだけ追加出来るシステムだ。
どれだけまぐろを追加注文しても1080円ともあれば、ドカチン各位はひたすら歓喜するしかなかろう。海のない埼玉県でもこれだけのものが食える街、それが戸田市美女木なのである。
神戸牛切落し200グラム500円「神戸ビーフ食品・青空市」
極めつけには日本が誇るブランド和牛「神戸牛」の加工工場兼直売所まであるというのが戸田市美女木。新大宮バイパス沿いに看板を掲げる「神戸ビーフ食品株式会社」(戸田市美女木7-1-10)では毎月第2・4土曜日の朝10時から「青空市」なる直売日を設けており、この日には店の前に長蛇の列が出来る。
この長蛇の列というのが、時には常軌を逸する状況となる。頻繁にテレビ取材を受けている店でもあるので、テレビで紹介された直後だと「3時間待ち」という狂気じみた大行列が出来てしまい(普段は30分~1時間くらいで買える)、目黒のさんま祭りよろしく炎天下に耐える人々の姿が見られる。これだけ並ぶと時給計算だとかなり損している気もするが、そこを突っ込むのは野暮というものだ。
なぜこれだけ行列が出来るのかというと、普通のスーパーではまず同じ値段では買う事の出来ない「神戸牛切落し」が200グラム500円という大特価で売り出されている他、神戸牛の各部位や加工食品がかなりお安く販売されるので、地元の戸田はおろか遠方からも客がガソリン代と貴重な時間を叩いて来るからだ。
目玉商品の「神戸牛切落し」はそのお安さの為か「お一人様1パック限り」と購入上限が決められている為に、客の中には一族郎党掻き集めて10人以上で行列しては10パック根こそぎ買っていく猛者がいたり、乳飲み子まで連れて炎天下で並ばせて1人にカウントさせる、それはどうかと思うお父さんお母さんもいたりとカオスである。ここでは時々「神戸牛入りハンバーグ1000円で詰め放題」イベントも行っているが、この時の光景もなかなか人間の欲の深さを見せつけられる。
この神戸ビーフ食品の青空市、肉を購入する客が多い中で、同時に野菜の青空市も開催していて、むしろこちらの方が要注目である。野菜各種が八百屋で買うよりもお安く大量に手に入る。価格表を見て「お値段異常」と腰が抜けて憤死する事請け合い。これが「首都圏コスパ最強タウン・戸田市美女木」の日常風景なのである。